【18.07.05.】196回2018年通常国会7月5日法務委員会『多様な家族への対応を検討せよ』

196回国会質問

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

参考人質疑も踏まえまして、今回の法案、それから家族法についての大臣のお考えを伺っていきたいと思うんですけれども、櫻井委員、小川委員の質問も踏まえて、ちょっと質問の順番を大臣、変えますね。

まずお尋ねしたいと思うのは、前回の質疑で、この法案で解決しようとする不公平というのは、これ、とりわけ長く連れ合った配偶者の保護を強めて実質的公平を図るんだという点について、大臣もそのとおりだと御答弁をされたと思うんです。

その必要性の根本といいますか背景といいますか、女性が家庭において固定的役割分担を強いられながら、正当に評価さえされず、とりわけ相続、具体的には遺産分割の争いということが多いわけですが、その場面において著しい実質的不公平に置かれてきたという我が国社会、日本社会の現実というのがあるんだと思うんです。

本改正案はそれを少しでも改善しようというものだと思うんですが、大臣はいかがでしょうか。

○国務大臣(上川陽子君) 今回の相続法制につきましての見直しについては、高齢化の進展等によりまして社会経済情勢の変化に対応しての取組ということでございます。

特に平均寿命については、女性の場合についてはこの直近の二、三十年間の間でも十歳程度長くなっているということがございまして、配偶者の一方が死亡した場合に、残されたもう一方の配偶者については一人で長く生活をして、しかも高齢になって長く生活をしている期間が非常に多くなっているということでございます。

そうしたことから、この配偶者、長く連れ添いながら、また、それぞれの家庭の中での役割を担いながら生活をしてきたその配偶者の居住権、このことについて保護するための方策を設けることとしたものでございます。

○仁比聡平君 はっきりお答えにならないんですね、そうすると。

先ほど紹介された事例、早くに夫を亡くして、けれども、義理の親に対して療養看護も含めて貢献をしてきたけれども、相続人でないからという理由でこの遺産分割協議において極めて不公平な扱いを受けてきた、例えばそういう方に対して特別の寄与ということで実質的公平を図ろうとおっしゃる。

その背景にあるのは何かといいますと、つまり、嫁だから無償でそうやって療養看護に努めて当たり前だという、それに対して報いることがないといっても当然だという、そういう我が国社会の中に現実にあるそうした意識じゃないですか。これを政府は固定的役割分担意識というふうに述べてもきたと思われます。

だから、そうした現実、その下で生まれている不公平、これを改めるために、法定の権利あるいは選択のオプションということで、今回の改正では、相続人である配偶者、あるいは親族で相続人以外の者ということですけれども、そこに限るわけですが、そういう人たちではあるけれども、現実に生まれている私が申し上げているような不公平を解決しようとするんじゃないんですか。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。

特別の寄与の制度につきましては、委員御指摘のとおり、相続人ではないけれども無償の看護療養等に努めたという方に対して財産的な金銭請求権を認めるということでございますので、これは、そういった方々の、相続人ではない方についてのそういった実質的な公平を図るものということでございます。

そして、その現実的な、例えば、適用の例といたしましては、委員御指摘のとおり、例えば長男のお嫁さんですとかそういったような方が代表的な、典型的な例としては想定されていると、こういったような位置付けかと思います。

○仁比聡平君 大臣、二回にわたって私通告しているんですよ、これ。

女性が家庭において固定的役割分担を強いられてきている。その下で様々な、端的に言えば男尊女卑のような意識がやっぱり拭い去れないでいる。その下で生まれる実質的不公平は、これは解決しなきゃいけないと、そういう考えに基づいていないんですか、今度の法案は。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。

今回の法律の制度の趣旨といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、相続人以外の方で療養看護に尽くしたという方の貢献等に報いるということでございまして、必ずしも直接的に女性の役割というものを、この法案の制度の改正の直接的な目的としているものではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、現実的にこの制度が適用される場面といたしましては、長男のお嫁さんというようなものが典型的に考えられるということでございます。

○仁比聡平君 いや、今局長が長男の嫁というふうに典型例をおっしゃること自体もその意識の表れだと私も申し上げなきゃいけなくなってしまう。次男の嫁のことだってあれば、いろんな方があるじゃないですか。何をその典型として長男の嫁なんて言うんですか。

大臣、どうですか。実際に女性が家庭において固定的役割分担を強いられると。それは、かつての社会、とりわけ戦前においてはそれはもう典型的にあった、それが押し付けられるということがあった。それが憲法の下、十四条や二十四条の下でもなおその意識が残る。一方で、社会は多様化する、家庭の、家族の在り方というのは大きく多様化するというこの戦後の大きな変化という下の中で、そうした固定的役割分担を強いるような考え方というのは、これはやっぱり拭い去っていかなきゃいけない。いかがですか。

○国務大臣(上川陽子君) 今委員から、憲法の条文を挙げ、また、そのことについての大切な家族の在り方についても多様化しているという実態の中で、かつては性別役割分業があった、しかも固定的にあったということについてのその不公平感について、社会全体が変化する中で、これについてはしっかりとこのことについて着目をし検討すべきではないかと、こういう御指摘であるというふうに思っております。

今回、社会経済の変化が、長寿化していくという中で、取り残された一方の配偶者の方の生活をするための様々な基盤をしっかりとつくっていくということは非常に大事な課題であるということで、寄与分、特別寄与の制度も含めまして今回審議に付したところでございます。

個人の尊厳と両性の本質的平等に基づいて家族、法律はなければいけないという趣旨から考えてみましても、当然のことながら、それぞれそうした寄与をしたり、また家族の中でそうした残された期間をしっかりと生活していくための基盤をつくるためには、この法律の役割というのは大変重いものがあるというふうに思っております。

ただ、これで全てが解決していくわけではなく、今回の委員会におきましても様々な具体的な御指摘もございました。そうした、誰一人取り残さないというこうした社会の実現のためにも、様々な要因の中で委員御指摘のように不公平な立場に置かれているというところについてあるとするならば、それにしっかりと目を向き合って対応していく必要性はこれからも大いにあるというふうに考えております。この法案施行後の取組ということが、まさにそうしたことを考えた上でこの間答弁の中でも申し上げたところでございます。

○仁比聡平君 大臣が後段で、答弁の後段で述べられた憲法二十四条の趣旨、これをこれから頑張っていかなきゃいけないんだという趣旨は私は受け止めたいと思うんですけれども、ちょっとしつこいようですが、一点。

長寿社会、長寿化と私が今申し上げている固定的役割分担という問題の関係なんですけど、つまり、高齢化が進むという中で、長く連れ合って、配偶者、連れ合いを亡くした後の生活というのが長い期間になる、先ほど十年ほどというお話もありましたけれども。そういう中で、にもかかわらず、それまで長く連れ合って、助け合って、もちろん財産も共同に形成をしてきた、だけれども住むところさえ安心して確保できないというのでは余りにも実質的に不公平じゃないかと、だから金銭請求権での清算などの在り方も含めて今回の法定の権利というのをつくったというのが配偶者居住権の趣旨じゃないですか、大臣。大臣、大臣の答弁をはっきりさせたい。

○国務大臣(上川陽子君) 今回の法律案におきましては、長期間、長く連れ添われた御夫婦、片方が亡くなられた、その残された配偶者に対しまして居住用の建物等が贈与された場合に、その間の貢献等を考慮いたしまして、遺産分割におきましての配偶者の取り分を増やす方策、さらには、相続人以外の者が被相続人の療養看護に努め、その財産の維持又は増加に寄与した場合に、その貢献を考慮するための方策などが含まれているところでございます。

今委員がおっしゃったように、長く連れ添われて、そして財産を共に築かれた、その一方が亡くなったときに、そのことによって不利益が生じることがないようにしていく、またさらに、残された生活をしっかりと担保していく、そのための対策として、今回、配偶者の居住権について創設をし、そのことについて実質的な権利を持っていただくということにしたところでございます。

家族の在り方もいろいろ様々であるということについては、この間の御指摘の中でも承ってきたところでございますし、私も実感として、周辺の様々な関係性等のことについても、その前の世代と、その前の世代、一時議論していた世代の前の世代と比べても大きく変化はしているところではございますが、基本のところは、共同してつくった財産について、しっかりとその権利について、残された方がその権利を得るということについては極めて大事なことであるというふうに考えております。

○仁比聡平君 今回の改正案では、その実質的公平を図るための法定の権利あるいは選択のオプションというのが、相続人である配偶者あるいは親族で相続人以外の者に限られているということになっているわけです。そのことが多様性が進む中で矛盾を広げてしまう、排除に至ってしまうということではなくて、広がる多様性を包摂する社会に更に進んでいくということにしなければ、これは政治の責任は果たせないと思うんですね。

これ、そこで、大臣にお尋ねしたいと思うんですが、衆議院の附帯決議でも、多様な家族の在り方を尊重する観点から、その保護の在り方について検討するとされているわけです。この多様な家族の在り方とは何かと。これまでも御答弁があっていますから、繰り返しにならないように確認だけしますが、つまり、ここには事実婚あるいは同性パートナーというのが当然含まれるということですね。

○国務大臣(上川陽子君) 衆議院の法務委員会におきまして附帯決議が付されたところでございます。国会におきまして、委員会での御判断ということでございますので、私からその内容について解釈を申し上げるということについては困難でございますけれども、衆議院の法務委員会におきましての御議論を踏まえて申し上げるところでありますが、附帯決議におきましての多様な家族の在り方等は、事実婚や同性婚のカップルを含む幅広い家族の在り方というものを意味するものであるというふうに理解をしております。

○仁比聡平君 大臣の認識としても、これから、つまり法成立、施行後検討していくとおっしゃっているわけで、そこには事実婚、同性パートナーを多様な家族の在り方として含んで検討していくということですね。

○国務大臣(上川陽子君) 委員の御指摘のとおりでございます。

○仁比聡平君 その多様な家族の在り方を尊重するというのはどういうことなのかと。この法改正のきっかけともなったと言われる平成二十五年の九月四日、婚外子相続分差別違憲決定の理由において、最高裁は、一九四七年の民法改正以降、婚姻や家族の実態が変化し、多様化する中で、婚姻や家族の在り方に対する国民の意識も大きく変化をしているということを踏まえて、こう言っているんですね。「家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らかであるといえる。」ということなわけです。

家族という共同体の中における個人の尊重というこの観点で、多様な家族の在り方を尊重し、これからその保護の在り方について検討する、これが当然だと思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(上川陽子君) 今、最高裁の決定について御指摘をいただきました。平成二十五年九月の、嫡出でない子の相続分に関する最高裁判所の違憲決定ということでございます。家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたという判示でございまして、このことについては認識をしているところでございます。

この中でも特に個人の尊重は極めて重要な理念でございまして、今後もそのような視点を十分考慮しつつ、社会経済情勢の変化、こうしたことも踏まえながら、親族、そして相続法制の見直しにつきましても、この要否を含めて検討していくということが重要であるというふうに考えております。

○仁比聡平君 そうした観点は参考人の質疑の中でも語られておりまして、二宮周平教授は、多様な家庭生活を民法規定に取り込むべきであるとお述べになりました。法制審部会長の大村敦志教授も、様々な家族に対して必要な保護を与えていくことが望まれるとして、今後の方向性、観点も示されたわけですね。

その中で、ちょっと時間が限られてきましたから、一問尋ねたいのは、選択的別姓を求めて夫婦別姓訴訟を取り組んでいる弁護士の榊原富士子さんの文章についての大臣の認識なんですが、様々な事情から夫婦のどちらも改姓することができないカップルが婚姻制度から排除されることによって被る不利益は看過できる程度をはるかに超えている、現在の多様化した家族の実情を無視して、特定の家族像を日本中の家族に押し付けるのは無理があるとおっしゃっているんですが、私、それはそのとおりだと思うんです。

仮に、今回の改正後、この選択的別姓の制度の導入に向けて長く時間が掛かってしまうということになったら、これ婚姻制度から排除されていることによって、法律婚配偶者、あるいは親族、相続人は今回の改正のような法定の権利がある、けれども、事実婚、これ同性婚も含んで、これはもうそれがないという、そうした状態になるわけでしょう。これ、不利益が拡大する、今でも看過できないのに更に拡大するということにこれ当然なってしまうと思うんですよね。

だから、法律婚の女性も、それから現行制度では法律婚できない事実婚や同性婚の人たちも、パートナーが亡くなったときに実質的な不公平を強いられないようにするということが私は政治が速やかに果たしていくべき役割ではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(上川陽子君) これまで、繰り返し選択的夫婦別氏制度についての御質問に対してお答えをしてきたところでございますが、選択的夫婦別氏制度の導入の是非につきましては、我が国の家族の在り方に深く関わる問題でございまして、国民の間にも様々な御意見がございます。また、家族の在り方に関する国民意識の変化、国民的な議論の動向等も踏まえながら引き続き検討をしていくべきものであるというふうに考えております。

もっとも、今委員御指摘のとおりでありまして、今日の社会におきましては家族の在り方が多様化をしているところでございます。また、選択的夫婦別氏制度を導入していないということから婚姻に伴い夫婦の一方が氏を変えることになり、そのために社会生活上の不利益を受けていることにつきましては、いずれも十分に認識をしているところでございます。また、婚姻に伴いまして氏を変えた方が受ける不利益に関する指摘については重く受け止めている状況でございます。

家族のこれからの在り方については、国民的な議論をしっかりと踏まえながら、今回の法律改正におきましても様々な議論があったということをしっかりと受け止めながら、今後の検討に付してまいりたいというふうに考えております。

○仁比聡平君 国民的議論を踏まえながらと大臣がおっしゃるんですけれども、家庭、家族という共同体の中における個人の尊重の問題であるというのは、これはつまり人権問題であり法的問題であるということなんですね。多数者が少数者に特定の家族観を押し付けてはならないという問題なんですよ。その多様性を本当に尊重しなきゃいけない。

前回の参考人質疑で横山参考人から、性的指向というのは自分で選択できるものではない、それを理由として社会で生きづらい状況になるのは非常に望ましくない、同性パートナーにとって相手というのは生存の基礎なのだというお話がありました。私、そのとおりだと思うんですね。こうした多様性を本当に包摂する家族法全体、あるいは財産法を含めた民法の改正がこれからすぐに進んでいくように大臣のリーダーシップを強く求めて、今日は質問を終わります。


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