【18.07.03.】196回2018年通常国会7月3日法務委員会参考人質疑

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○参考人(横山佳枝君) 本日は、参考人としてこのような場を与えていただきましたことを、誠に感謝申し上げます。

私は、第二東京弁護士会に所属しておりまして、その中にあります両性の平等に関する委員会の委員をしております。当委員会は、当初はセクシュアルハラスメント、ジェンダーバイアスの問題などに取り組んでおりまして、数年前からは性的少数者の人権問題についても取り組み、研修会を開催するなど性的少数者に対する理解を深める活動を実施しております。

本日は、性的少数者の方々が直面している困難の解消とその人権擁護の点から、相続法改正のうち、法律案第千五十条に規定されております相続人以外の者の貢献を考慮するための方策に絞って意見を述べさせていただきます。

第千五十条の相続人以外の者の貢献を考慮するための方策とは、被相続人に対し無償で療養看護その他労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者に特別寄与料の支払を相続人に求めることを認めるものです。つまり、相続人以外の者であっても、財産の維持、増加に無償の貢献があった場合に、これを評価し、事実上遺産の一部を取得させることで関係者間の実質的公平を図ることを目的とするものです。

しかし、本年三月十三日に提出された改正案では、この特別寄与者の範囲を被相続人の親族に限定しております。法制審議会の中間試案では、請求権者の範囲を限定しない案も併記されていましたが、最終案ではその案は採用されておりません。特別寄与者の範囲を親族に限定した場合、例えば事実婚を選択している異性カップルのパートナーや同性カップルのパートナーは特別寄与料の請求権を有しないこととなります。したがいまして、何年連れ添い、どれだけ貢献をしたとしても、事実婚の異性のパートナー、同性のパートナーは特別寄与料を請求することはできません。

先ほどお話ししましたように、改正案の趣旨は関係者間の実質的公平を図るというものとお聞きしています。そうであれば、無償の貢献とそれによる財産の維持、増加がポイントであって、請求権者の範囲に身分的限定を課す合理的理由はないと考えます。

特に、同性カップルは、日本の現行法制ではカップルの関係性に伴う法的保護は何もありません。また、いまだあります社会の偏見や無理解により、社会生活上様々な困難に直面しています。そのような状態にある同性カップルからパートナーとの死別後の特別寄与料請求権すらも取り上げてしまうということは、極めて問題であると考えます。

精神的、経済的に互いに助け合い、支え合い、家族として生きている同性カップルは昔から社会に確かに存在しております。しかし、日本では、同性カップルは社会で見えない存在とされ、家族は男女のカップルによりつくられるという観念から、法制度は異性カップルを前提としてつくられてまいりました。他者との親密な関係、互いに精神的、経済的に支え合う関係は、生存の基盤として極めて重要なものです。異性カップルの場合、そのような関係は大切なものとして扱われ、婚姻制度に象徴されるように法的な保護の対象に位置付けられますが、同性カップルは婚姻制度から除外され、何らの法的保護も与えられずにいるのです。

例えば、同性カップルは、どれほど長期間にわたり夫婦同然の生活をしていたとしても、健康保険、介護休業の取得、労災の遺族補償、遺族年金などについて社会保障法による保護を受けることはできませんし、税制上配偶者に認められる優遇措置を受けることもできません。また、生活の基礎となる居住の面でも、同性パートナーの場合は同居を断られるケースがあります。また、入院や手術などの医療行為を受ける場合、法律上の家族には面接権や医療上の同意権など通常認められていますが、同性パートナーに対しては、医療機関の対応に委ねられておりますので、場合により同性パートナーは面会も医療上の同意もできないケースがあります。

さらに、同性パートナーが亡くなった場合、相続人ではないことから遺産を相続することはできません。ただ、生活の実態を見れば、同性パートナーが築いた遺産はカップルの相互扶助により築かれたものとして、残された同性パートナーの権利が認められるべきものと考えます。

資料として配付しております二〇一八年四月二十六日の東京新聞の記事がありますが、これは本年四月二十六日に大阪地方裁判所に提起された訴訟であり、これは死別した同性パートナーの遺産に関する紛争です。四十年以上にわたり共同生活をし、自営業を共に営むことで財産を築いたにもかかわらず、同性パートナーの急逝により、相続人である同性パートナーの妹が全ての遺産を取得し、同性パートナーが名義上代表していた自営業についても、勝手に廃業通知を取引先に出されたことから事業を継続できなくなったという件です。原告は、パートナーの妹に慰謝料の支払と財産の引渡しを求めて争っています。

国際社会では、同性カップルの関係を家族と認め、異性カップルと同様の法的保護を与えようという動きが顕著に見られます。現在、二十五か国で同性間の婚姻が法制化されています。移民政策という国の裁量が前提とされる領域においても、同性カップルの関係性を家族と認め、在留資格を付与する潮流にあります。

欧州人権裁判所では、同性カップルのパートナーに在留許可を付与しなかった事案において、国家の移民政策における裁量を認めた上で、国は家族生活の尊重という権利を侵害しない方法をもって政策を実施しなければならず、同性パートナーに在留許可を付与しないことは性的指向に基づく差別であると判断しています。

以上述べた国際社会の動きと比較し、日本における同性カップルの法的保護の取組は余りに遅れていると言わざるを得ません。G7構成国のうち、いまだに同性間の婚姻制度も登録パートナーシップ制度もないのは日本のみです。

もっとも、日本においても、現時点で七つの地方自治体において同性カップルのパートナーシップ制度に関する条例や要綱を制定しています。また、企業においても、同性カップルを家族として扱うようサービスを変更したり、就業規則を改定する動きも見られます。このような地方自治体や企業の施策により、同性カップルに対する法的保護を実現する動きが全国的に広がりつつあります。

なお、同性カップルを家族と認めるべきことに関連し、同性婚と憲法について一言お話しします。

憲法二十四条一項の「両性の合意のみに基いて」との文言について、憲法を改正しなければ同性婚は認められないという見解がありますが、これは理由がないと考えます。ここの「両性の合意のみに基いて」の意義については、憲法制定当時の経緯によれば、戸主、血族の意思などに関わりなく、婚姻当事者の合意のみによって婚姻をするということを意味すると解されます。

以上まとめますと、異性カップルの結合を前提として構築された政策により、同性カップルは社会の構成単位として認められず、法的主体として承認されていない状況にあります。それにより、同性カップルは社会生活を営む上で多岐にわたる困難に直面しております。

以上述べたところによれば、精神的、経済的に支え合ったパートナーを失い、何らの生活保障もない同性パートナーから、特別寄与料という制度の利用までも奪うべきではありません。同性パートナーや事実婚のパートナーを含め、特別の寄与をした者全てを対象とすることにより、関係者間の実質的公平を図るという趣旨はより貫徹できるものであり、親族要件を課す合理的理由はないと考えます。

以上述べたところによれば、千五十条の特別の寄与をした被相続人の親族という文言は特別の寄与をした者に変更し、特別寄与料の請求から親族要件を外すべきであると考えます。文言の僅かな違いですけれども、これは同性カップルの権利保護に向けた第一歩であり、昨今の自治体の動き、社会の意識の変化、国際社会の動向に鑑みれば、国として今こそその一歩を踏み出すべきと考えます。

以上、御清聴ありがとうございました。

○委員長(石川博崇君) ありがとうございました。

次に、二宮参考人にお願いいたします。二宮参考人。

○参考人(二宮周平君) 相続法改正に関しまして見解を述べる機会をいただき、ありがとうございます。

私は、二〇一三年の十二月三日、民法の婚外子相続分差別規定の廃止、それから出生届の嫡出子、嫡出でない子の区別記載の根拠規定となっている戸籍法四十九条二項の改正がこの法務委員会で可決されました、そのときに参考人として招致されておりまして、言わばそのときの婚外子相続分差別平等が今回の相続法改正の契機となった、大村参考人が述べられたとおりの経過がありますので、非常に感慨を覚えておる次第です。

今次法改正の経過につきましては大村参考人が述べられたところでもありますし、私も実は短い文章を書いておりまして、こちらの調査室の人に作っていただいた関連論文、新聞記事集があります。この中に、「時の法令」、持ってまいりましたが、これの二千四十四号で、「相続法改正要綱案と法律婚の保護」ということで書いているところですので、それを御参照いただければと思います。

今回の相続法改正について大村参考人が述べられました二番目の要点、遺産分割、遺言に関わることについては私も賛同するものです。しかし、大村参考人が述べられました生存配偶者の居住権の新設、持ち戻し免除の推定、そして特別寄与の三点につきましては、私は反対の立場です。

実は、二〇一三年の十二月三日のときに、法律婚配偶者の居住保護がそのときも議論になりました。当時、佐々木さやか委員は、そういった場合には個別事情を考慮して、そのケースで妥当かどうかということが判断されるべきであり、何らかの居住の権利ということで生存配偶者に法定の権利のようなものが認められることになった場合、個別の事情が考慮できなくなるおそれがあり、かえって、配偶者の地位の確保、配偶者の居住権の保護という議論を通じて、せっかく平等が実現される婚外子の相続分についてまた新たな、新しい差別のようなことが生まれはしないかと心配していると述べられました。

今次提案は直接的に婚外子の差別をもたらすものではありません。しかし、法律婚の生存配偶者保護に特化していますから、法律婚以外の家庭生活を排除するおそれがあります。この点で、佐々木委員の懸念は実は正鵠を得ているように思うわけです。

どこがその排除になっているかということを申し上げます。

まず、配偶者居住権の新設ですけれども、高齢社会における居住形態は所有家屋だけではありません。賃貸住宅や施設で暮らしている場合もあります。高齢者の再婚に先妻の子供たちらが反対したことから事実婚で暮らしている場合もあります。長期間、同性カップルで共同生活をしている場合もあります。複数の高齢者ないし親密な者同士で居住している場合など、居住形態は多様です。しかし、今回は相続法という枠組みの中での居住保障ですから、当然、法律婚配偶者に限定された居住保障です。それ以外の家庭生活、所有権以外の居住形態を取っている人は対象外になっています。包括的な高齢者のための居住保護という視点で捉え直すときに、今次法改正は排除の論理が含まれているように思うのです。

二番目は、生前贈与の持ち戻し免除に関わることですが、これは元々、相続法制検討ワーキングチーム、二〇一四年につくられておりますけれども、このときには、遺産を実質的夫婦共有財産と固有財産に分けて、実質的共有財産については配偶者に二分の一の法定相続も認める、残余の固有財産について相続を開始するという、こういう組立てでした。しかし、二つの財産に分けられるのかということについて疑問が提起され、今次の民法(相続関係)部会の中間試案では三つの案が提起されました。被相続人の財産が婚姻後に一定の割合以上に増加した場合、その割合に応じて配偶者の相続分を増やす案、婚姻成立後一定期間が経過した場合、その夫婦の合意により配偶者の法定相続分を引き上げるという案、第三に、婚姻成立後一定期間の経過により当然に配偶者の相続分を引き上げるという案、これらがまとめられました。

しかし、パブリックコメントを取りますと、なぜ配偶者の相続分だけ引き上げるのか、その理由が分からない、被相続人の財産形成に貢献し得るのは配偶者だけではない、それ以外の相続人や、さらには内縁関係にある者にも貢献が認められることがあるなどの批判があり、結局、部会ではこうした反対の意見を考慮をされまして修正されました。それが今次の生前贈与の持ち戻し免除という提案になっています。

しかしながら、この提案についても、パブリックコメントを取りますと反対意見がありました。婚姻期間の長短、つまり二十年で切っていますから、婚姻期間の長短は生存配偶者の生活保障の観点とは直接関係がない、不動産を持たない高齢者についても生存配偶者の生活保障ができる制度にすべきだ、他の相続人や内縁夫婦についても財産形成への貢献や生活保障の必要性が同じである、居住用不動産以外の相続財産が少額であった場合、他の相続人、子供たちとの間に著しい格差が生じてしまうといった反対意見でした。

現在の判例によりますと、個別対応しています。例えば、自立できない子供がいる場合に、精神的に、身体的にきつい状態にある子供さんのために土地や住宅を生前贈与する、あるいは株式を生活のためにといって生前贈与をする、そういう場合に裁判所は、必要性を認めた場合に持ち戻し免除という黙示の意思表示があったとして具体的に解決をしています。あえてこのように画一的に二十年、居住用不動産の生前贈与のみと限定する必要は何もありません。

相続人以外の者の貢献、特別寄与に関しては、横山参考人からるる御説明がありましたので私の方から追加することはありませんが、私も横山参考人と同じく、同性カップルを始め、事実婚を取っている人たちなどで被相続人の療養看護に尽くすケースはあるわけですから、そういう人たちが今次提案の対象外となるということにも、ここにも法律婚以外の家庭生活を排除するという、そういう考え方を読み取ることができるように思います。多様な生活への配慮が必要ではないかと思います。

事前にお送りいただいた参議院の法務委員会の議事録未定稿版を参照させていただきました。そこで上川法務大臣は、事実婚、同性婚など多様な生き方を排除するものではないとおっしゃっています。また、特に多様な家族の在り方に関する状況に十分熟慮し、今後も必要な検討を行うと発言されています。今次改正に反映させなくて、排除するものではない、十分留意しと言えるのでしょうか。

法律婚では、居住保障、それから特別寄与の保障がありますが、事実婚では、上川法務大臣によれば、遺言とか事前の契約を結べば対応できるとおっしゃるのですが、法律婚カップルの場合には求められない自助努力を、なぜこうした事実婚の人たちに求めるのでしょうか。同じ家庭、共同生活であるのにそこに区別があるということは、やはり排除の論理があるように思われてなりません。

民法は基本法ですから、象徴的な意味を持ちます。最高裁大法廷、平成二十五年九月四日、婚外子の相続分差別を違憲とした決定要旨の中に次のようなフレーズがあります。「本件規定の存在自体がその出生時から嫡出でない子に対する差別意識を生じさせかねない」、民法の持つ規定の重さです。

二十一世紀、日本社会の在り方は、もう議員の皆様がお考えと思いますけれども、キーワードは多様性と包摂です。ダイバーシティー・アンド・インクルージョンです。法律婚以外の家庭生活への法的保障を排除することは、このダイバーシティー・アンド・インクルージョンに反しているように思います。だからこそ、法律婚以外の多様な家庭生活への配慮、これを民法の規定に盛り込むべきだと思うのです。

事実婚の選択は多様です。選択的夫婦別氏制度が実現しないために事実婚を取られる方、同性カップルの方は、同性婚は制度化されておりませんから、当然事実婚になりましょう。高齢者同士の再婚に子供たちが反対するために、やむを得ず事実婚を選ばれる方もあります。こうした法律婚以外の事実婚、家庭生活を営む人たちで療養看護に尽くした場合、せめてその場合だけでも特別寄与者として含むと、つまり親族に限定しないということは、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンのそういう思想の一つの反映として多くの人に受け入れられるのではないかと思います。パブリックコメントにおいてもこの方向が支持されていたと聞きます。

さらに、私見を付け加えさせていただきますと、相続の代替措置として、民法七百六十八条、これは離婚の際の財産分与規定ですが、これを事実婚カップルの人たちに適用するということが考えられます。最高裁はこれを認めなかったものですから、あえてこれを法律の条文にする意味があると考えているのです。

七百六十八条の四項に、第一項から前項までの規定は、婚姻の届出がない二人の共同生活関係が当事者の一方の死亡により解消した場合に準用する、こういう規定を新設すれば、財産分与、非常に柔軟な規定ですので、生存当事者の居住や生活保障や療養看護への保障なども可能になります。極めて限られた部分での法的保障でありますが、こうしたことによってダイバーシティー・アンド・インクルージョンを明示的に示す象徴的な役割があると考えますので、こうした考え方の採用を御提案する次第です。

御清聴どうもありがとうございました。

 

 

 

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

今日は、参考人の皆さん、本当にありがとうございます。

〔委員長退席、理事若松謙維君着席〕

ちょっとこれまでの質疑も踏まえて、まず二宮参考人からお尋ねをしたいと思うんですけれども、先ほど来、例えば大村参考人からも御発言があるように、今回の配偶者、法律婚配偶者の保護、あるいは被相続人の親族に限るというこの特別寄与の請求人の限定ということに関して、そうでなければ紛争が複雑化、長期化する、複雑化、長期化を防ぐためであるというような趣旨が語られるわけですけれども、端的に申し上げると、家族、親族間の特に相続をめぐる紛争が裁判規範として働くような場面、実務法曹に相談があったり、あるいは家庭裁判所に調停や審判が申し立てられたりというようなケースというのは、これは複雑化、長期化するものなのであって、この今回のような限定を付したから複雑化しないかというと、そうでは私はないのではないかなと思うんですね。

二宮参考人が論文でも指摘をされているとおり、具体的な事案に応じて実質的な公平を図る解決ということがこれまでも求められてきたし、この改正の後もそれは求められるんじゃないのかと思うんですが、その辺りはいかがでしょうか。

○参考人(二宮周平君) 確かに、特別寄与者を親族に限定するとか、それから事実婚カップルなどに相続権を否定するという、こういった場合に事案の長期化、複雑化ということが言われているんですけれども、少なくとも今回話題、一番の焦点になっています特別寄与者のところについて親族概念を外した場合どうなるかということですが、基本的に療養看護に尽くしている人ですから、共同生活は証明できると思います。療養看護は、今は単体、家族だけではやりません。必ず介護契約を結んでヘルパーさんに来てもらったり、あるいはデイケアとかショートステイとか、そういうことを利用しながらやっていきます。そうすると、療養看護の実態というのは比較的証明しやすいと思います。ですので、特別寄与についてそれを、親族概念を外すと複雑化、長期化するというのは、ちょっと紛争実態に合っていない気がします。

〔理事若松謙維君退席、委員長着席〕

一般論として、事実婚カップル、婚姻登録をしていない人に相続権を認めるのかという話になると、それは複雑化、長期化という議論は出てくるかもしれません。でも、特別寄与に関しては、今申し上げたことから長期化、複雑化ということは起こり得ないと考えています。

○仁比聡平君 先ほど横山参考人がその点について、親族というこの要件はもう外すべきであると、特別の寄与をした者で足るではないかという趣旨の御提案がありまして、私もそうだと思うんです。

そうした場合に、何をもって実質的な公平というのを図っていくかというと、実際に同居してお互い助け合って親密な共同生活を送っている、男女の事実婚であれば子も産み育てているということだってある、そういう家族、法律婚でよく語られる言葉で言うと、実質的な婚姻意思ということがあるカップル、そうした中での関係にふさわしい公平を図っていくというようなことになるのではないかなと思うんですが、親族を外してはどうかという見解、それから、今のその公平の中身の問題については、二宮参考人、いかがでしょうか。

○参考人(二宮周平君) 今、仁比委員がおっしゃったとおりでして、高齢者の介護をしている方は必ずしも同居しない、近接住居で介護をなさる人もいます。でも、ここで、事実婚カップルとか同性カップルを取り込もうといったような場合には、近接型じゃなくてちょっとハードルを高くすることはあり得ると思うのですね。だから、実際に共同生活をして何年も暮らして、一方が介護を必要となったので社会的なインフラを利用しながらやっていると、その利用実態というものは、その契約なり通所している記録で明らかですし、それから住民登録の場所であるとか、それから周囲の人がこの人たちはもう長い間一緒に暮らしておられますよといった証言も得られるわけですから、何も立証において困ることはないと思います。

○仁比聡平君 今の二宮先生の御意見も踏まえて大村先生にお尋ねしたいと思うんですけれども、二宮先生、先ほど多様な家庭生活を民法規定に取り込むべきであるという基本的な方向性、考え方をお示しになられて、大村参考人も、排除ではない様々な形態の家族に法的な保護を必要とするのではないかというそうした方向性、これが今回の改正で働いていくんだという大前提のようなお話をされたと思うんですけれども、二宮参考人からは、財産分与の規定を見直したら公平な解決に進むのではないかというお話もありました。

私は、選択的別氏制度、別姓制度を実現さえしない下で法律婚配偶者だけを保護するということになれば、これは排除という声が出てくるのも当然だとも思うんですけれども、今後の問題、どんなふうにしていくのかということについて、大村参考人、いかがお考えでしょうか。

○参考人(大村敦志君) お答えをいたします。

私は先ほど、様々な家族に対して必要な保護を与えていくことが望まれるのではないかというふうに申し上げました。これは二宮参考人もちょっと触れておられたんですけれども、例えば我々が事実婚というふうに言っているものの中にも様々なタイプのものが含まれているんだろうと思います。

中には、まさに法律婚と同じように暮らしたいのだけれども、例えば議員御指摘の夫婦別姓の問題があってそれが実現できない、実質的には婚姻と同様にしたいというカップルもあろうかと思います。それから、これも二宮参考人おっしゃいましたけれども、財産関係について子供たちに影響を及ぼさないような形にしたい、しかし夫婦の間の関係というのはきちんとしたい、カップルの間の関係はきちんとしたいと、こういうカップルもあろうかと思います。さらに、婚姻というような保護も厚いけれども拘束も強いような制度は望まない、もっと緩い、開かれた薄い保護があれば十分だと、こんなふうな人たちもいるんだろうと思います。これらに見合うような形のものが必要なんだろうと思っています。

一方で、現在の婚姻の概念というのを分節化する、あるいはそこに選択肢を設けるというようなことができるのかどうなのかということを考える、他方で、婚姻よりも保護の程度、拘束の程度の低い類型というのを設けていくと。これは諸外国でそういう形の立法進んでいるわけですけれども、そんな方向で包摂を図っていくということを考えるべきなのではないかと思っております。

財産分与の問題につきましては、夫婦の財産関係の清算、まず夫婦間で清算した上で、残りについて相続の問題でどうすべきだという二宮参考人の意見ですね、原則論としては私も賛成でありまして、個人的にはそういう考え方を持っております。

今回の相続法改正の中で最初に検討されました配偶者の貢献に対する考慮というのはそういう方向で考えていたわけですけれども、財産分与というんでしょうか、清算プラス相続というのはなかなか、私どもが考えたのは、かつて考えられた、一九八〇年に考えられたものよりは使いやすい制度だったつもりなんですけれども、それがやっぱりまだ複雑なのではないかということで現在の提案に落ち着いているということでありまして、研究者として理想として考えていることと国民がそれを受入れ可能だというふうに考えているものの間に落差があるなというふうに考えました。

これ、国民の意識に合わせて立法するしかないというのが今の状況でありますけれども、国民の意識の方に働きかけるということも考えてまいりたい、今の多様化についてもそういうことを考えてまいりたいというふうに思っております。

○仁比聡平君 本当にありがとうございます。

国民の側が求めているのに政治がそれを排除しちゃならないと私は強く思うので、国会が頑張らなきゃいけないことというのはたくさんあるなと思うんですね。

ちょっとその焦点の課題で、同性パートナーの問題について横山参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども、いわゆる内縁保護法理、事実婚の法律婚同様の保護を図っていこうという、これまでの判例も含めた戦後日本社会での様々な努力とその到達点を同性カップルにも適用すべきだというのは、私もそのとおりだと思うんですね。これを進めていく上での実定法上、あるいは社会の側の何か当面の課題といいますか、重要な課題とか、ここを乗り越えなきゃいけないというようなことがありましたら、教えていただきたいと思うんですが。

○参考人(横山佳枝君) お答え申し上げます。

内縁保護法理なんですけれども、これ、判例上積み重ねられてきた法理ですので、特に実定法上あるというものではないですね。社会保障法上は特に配偶者又はそれに準じる関係にある者ということで、それにより、事実婚の配偶者というのは保護される関係にありますけれども。なので、やはり事実婚の配偶者は一定程度保護されているものの、やはり婚姻関係にある配偶者とは歴然とした差があることになります。つまり、相続も排除されていますし、配偶者の優遇税制というものも受けられません。

そういう意味において、事実婚であって、そういう婚姻をしている配偶者とは異なる何らかの制度を設けるというよりも、私は、やはりその事実婚の方がどうして婚姻に踏み切らないのか、その理由は何なのかと。選択的夫婦別姓が認められた場合というのはかなりたくさんの方が婚姻に移行するのではないかと考えております。やはりそちらを解消するべきではないかとまずは考えます。

○仁比聡平君 実際、法律婚から別姓選択をという信条が排除されているということが今大きな問題になっているわけですから、横山先生のおっしゃるとおりなのだと思います。

時間が限られているので、最後、二宮参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども。こうした多様な家庭生活あるいは生き方が法律婚から排除されるというようなことが起こってくる根っこに、戦後、憲法十四条や二十四条の下にありながら、家族法、相続法の中に戦前以来の戸主制度だとか家督相続などの家制度の残滓というものが決して拭い去られていないのではないのかという問題意識を私は持っておりまして、その下で固定的な女性の役割分担を強いるというような意識、あるいはそれが正当に評価さえされずに、特に相続関係において著しい実質的不公平が生じてきたという日本社会の現実もあるのではないかと思うんですけれども。

一問だけ、嫡出ですね。これ、非嫡出子の相続分差別は違憲であるという判決が出て、国会でも法改正がされながら、嫡出でない子という言葉は法制度上残ってしまっている。こういう辺りをどう考えたらいいのでしょうか。

○参考人(二宮周平君) ありがとうございます。

御指摘のように、私も、その嫡出という概念を残すことには反対をしております。つまり、嫡出という概念には正統な子という含意がありますので、子供に正統な子と正統でない子という区別をもたらすようなものですから、子供は子供であって、そこに嫡出、嫡出でないという形容詞を付ける必要はないと思います。欧米諸国でも嫡出概念は既に廃止されています。

ただ、親子関係の成立の過程で、婚姻から生まれた子と婚姻外で生まれた子について成立方法の若干の違いがありますので、婚姻外で生まれたか婚姻内で生まれたかという、こういうことが解釈上区別されることはありますけれども、表記上はもう子に統一されているので、日本もそれをやらなければならない。そのためには、戸籍法の改正をしなければならないと思います。

○仁比聡平君 ありがとうございました。終わります。


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