193通常国会2017年6月14日参本会議質問・反対討論『憲法違反の共謀罪を許さない』
〔仁比聡平君登壇、拍手〕
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、憲法違反の共謀罪法案について関係大臣に質問いたします。
法案が付託された法務委員会において、審議は全く尽くされていませんでした。逆に、僅かな対政府質疑でも、法案の持つ重大な危険性、それをごまかそうとする政府答弁の矛盾や詭弁が更にあらわになっていました。
その法務委員会の審査権を踏みにじり、議案を本会議が取り上げておきながら、その国会を国会でなくす暴挙を行った自民党が、質疑時間を数を頼んで制限する、私は断固抗議をするものです。
まず、法務大臣に伺いたい。昨日から続くこの本会議で同僚議員が明らかにしてきたとおり、審議すればするほど、国民が内容を知れば知るほど、反対、説明不十分の声が大きく広がっていく。それは、大臣、なぜですか。法務大臣は、この国民の声をどう受け止めているのですか。刑法学会、日弁連、特別報告者など専門家が、その正体が、何を考え、合意、計画したか、内心に限りなく踏み込んで捜査、処罰しようとする、紛れもない憲法違反の共謀罪だからである、こう指摘している声をどう受け止めているのですか。
法案は、人々がどんなことをしたら処罰の対象にされるのか全く不明確、曖昧で、それは人の生命や身体、財産などの法益を侵害する危険が、客観的にはない合意を限りなく内心に踏み込んで処罰しようとするものだからです。
政府は、主体を組織的犯罪集団に限定した、計画とそれに基づく実行準備行為という三つの構成要件で限定したと言います。そこで伺いたい。
実行準備行為の意味について、政府は、客観的に相当の危険が認められる予備ではないとする一方、意思の発現として行われる明らかな外的行為、すなわち英米法に言うオーバートアクトとも違うと言い始め、結局、その意味するところは全く不明確、曖昧です。金田大臣が、双眼鏡を持っていれば下見、弁当を持っていれば花見という荒唐無稽な答弁を繰り返してきたのは、法案が刑罰法規として致命的に不明確だからなのです。大臣、改めて伺いたい。実行準備行為とは何ですか。その定義を明確にしてください。
組織的犯罪集団はどうか。政府が繰り返すテロ組織、暴力団、薬物密売組織は例示にすぎません。政府は、組織的犯罪集団なるものの構成員でなくとも共謀罪の主体となることを認めました。それをまだ言い繕おうと、法務大臣は、今度は組織的犯罪集団と関わり合いがある周辺者と言い始め、一層支離滅裂を深める中でこの本会議審議に至っているのです。大臣、周辺者とは何ですか。どの条文のどの文言によって定義され、限定されているのか、明確に御答弁いただきたい。
政府は、一般人が対象になることはあり得ないと言いますが、条文上全く限定されず、結局、警察に捜査対象と目されれば誰もが一般人ではなくなると言っているに等しい暴論にほかならないのであります。
政府は、こうした組織的犯罪集団による計画と実行準備行為が総体として危険だから処罰すると言います。それは、刑法の原則である行為主義、すなわち客観的に危険な行為、危険な結果があって初めて罪に問うとの原則に相入れないとの村井参考人の指摘をどう受け止めますか。それは、戦前、日本やナチスが行為者の危険性を処罰したことがいかに人々の自由を侵害し恐怖に陥れたか、その反省に立った歴史の到達点です。その認識は、大臣、ありますか。
警察が、戦後も、犯罪の未然防止や任意捜査の名目で、犯罪とは無縁の市民の人権、プライバシーを深く侵害する公安警察活動、司法警察活動を行い続けながら、通常業務の一環などと正当化していることが法案審査を通じて大問題になってきました。既に同僚議員が今日も指摘をした岐阜県警大垣署事件で監視された四人の方々は、なぜ情報収集の対象にされたのか。国家公安委員長は、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから答弁は差し控えると答弁をしております。極めて重大です。
監視されたことが分かり、人の目を気にする自分がいる、人を信頼して本音を打ち明けられなくなる監視の怖さ、共謀罪の怖さがあると述べた被害者。勉強会から約一年後、新聞の取材を受けて初めて自分と友人が県警から調べられていたことを知った、県警からは謝罪がない、学歴や病歴まで県警に教えたのは誰か、尾行されていないか、盗聴は、ふとしたときに集落の人を疑心暗鬼の目で見るようになったとうつむいて語った被害者。
警察によってプライバシーをひそかに侵害され、なぜ調査対象になったかも分からない。深い傷を負った被害者に、国家公安委員長、謝罪すべきではありませんか。総理は答弁を避けられましたが、改めて伺いたいと思います。
犯罪と無縁の国民が、警察のさじ加減一つで深く傷つけられるこの重大な危険があります。法務大臣、法案のどこにそうはならないという明確な保証がありますか。どこにもないんです。
国際組織犯罪防止条約の締結に不可欠だという政府が説明する法案の立法事実は、国際社会の指摘によってもはやぼろぼろになっています。
外務大臣に伺います。
TOC条約はマフィア等の国際的な経済組織犯罪の取締りを目的としたものであり、日本政府を含むG7各国こそテロリズムを本条約の対象とすべきでないと主張していました。国連立法ガイドを作成したパッサス教授は、条約はイデオロギーに由来する犯罪のためではない、犯罪の目的について、金銭的利益その他の物質的利益を得ることとあえて入れているのはその表れだと指摘をしていますが、大臣はどのような認識ですか。総理は本会議において、二〇〇四年に立法ガイドが作成されたその後、条約の意義が変わったかのような答弁をされましたが、条約の文言は変わらないのに、意味が変わったとでもいうのですか。
そもそも、この条約の交渉に当たって、日本政府は、日本の国内法の原則では、犯罪は既遂か未遂段階に至って初めて処罰されるのであり、共謀や参加については特に重大な犯罪に限定して処罰される、したがって、全ての重大犯罪について共謀罪や参加罪を導入することは日本の法原則になじまないと、当然の立場から第三のオプションを提案をしました。この提案は、犯罪化の対象を組織的犯罪集団の行為に参加すること、行為への参加にしようとするものであり、これは我が国の共謀共同正犯を含む現行の共犯処罰の範囲とほぼ一致するのではありませんか。
この立場が受け入れられるよう条約交渉に臨み、受け入れられれば共謀罪の新設なくして条約参加ができるようになるとの対処方針ではなかったのか。そうではなく、条約交渉当初から共謀罪新設が必要だという立場だったというのか。そうであるなら、刑法の大原則を転換するそのような対処方針を一体いつ誰が決定したというのか、明らかにしていただきたいと思います。
法案の不明確性が法執行機関の前近代的な秘密体質と結び付いて深刻なプライバシー侵害が引き起こされる、そのことをケナタッチ国連特別報告者の公開書簡は指摘をしています。
外務大臣、結局、法案の英訳を作って提供することもしないまま、この異常な国会の強行採決という事態が恐らくこのまま人権理事会に報告されるだろうことをどう受け止めますか。国際社会の信頼を失墜させる、人権理事国としてまさに恥ずべきことだとは考えないのですか。
以上、質問をいたします。(拍手)
〔国務大臣金田勝年君登壇、拍手〕
○国務大臣(金田勝年君) 仁比聡平議員にお答えを申し上げます。
まず、国民の声や専門家の批判に対する受け止めについてお尋ねがありました。
テロ等準備罪につきましては、その構成要件を明確に限定をしており、懸念、不安を払拭するものとなっている上に、これまでその内容について誠実に説明をしてきたものと考えております。法案成立後も必要があれば丁寧に説明をしてまいりたいと、このように考えております。
次に、実行準備行為の定義についてお尋ねがありました。
実行するための準備行為とは、計画行為とは別の行為であって、計画に基づいて行われ、かつ計画が実行に向けて前進を始めたことを具体的に顕在化させるものであり、その意義は明確になっております。
次に、組織的犯罪集団の周辺者との意味についてお尋ねがありました。
テロ等準備罪は、組織的犯罪集団の構成員又は組織的犯罪集団と関わりのある周辺者でなければ成立しないという文脈における組織的犯罪集団の周辺者とは、組織的犯罪集団の構成員と日頃から行動を共にしており、その活動を認識し、これに同調しているような者が当たるものと考えておる次第であります。テロ等準備罪は、条文上、対象となる団体を組織的犯罪集団に限定をしたことにより、組織的犯罪集団の構成員又は組織的犯罪集団と関わりのある周辺者でなければ成立しないことが明確になりました。
次に、テロ等準備罪が行為主義と相入れないとのお尋ねがありました。
テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の計画をすることに加えて、実行準備行為が行われた場合に限って処罰の対象とするものであって、いわゆる行為主義に反するものではありません。
最後に、テロ等準備罪に関する懸念に関するお尋ねがありました。
テロ等準備罪については、団体を明文で組織的犯罪集団に限定をし、対象犯罪をリスト化し明確化した上、実行準備行為が行われて初めて犯罪が成立するものとしました。これにより、犯罪成立要件が明確かつ厳格なものとされ、恣意的な運用がなされないようなものになっておりますので、御指摘のような懸念は当たらないものとなっております。(拍手)
〔国務大臣松本純君登壇、拍手〕
○国務大臣(松本純君) 岐阜県大垣警察署の活動についてのお尋ねがありました。
大垣警察署の警察官が、公共の安全と秩序の維持に当たるという責務を果たすため、関係会社の担当者と会っていたものと警察庁から報告を受けております。
個別具体的な内容につきましては、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきます。
一般論として申し上げますと、警察としては、テロ対策や犯罪、トラブルの未然防止など、公共の安全と秩序の維持という警察の責務を果たすため、必要な情報収集については行っていますが、もとより法令に基づき適切に職務を遂行していくものであり、法案が成立した場合にも法令に従って適切に行ってまいります。(拍手)
〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(岸田文雄君) 国際組織犯罪防止条約の意義についてお尋ねがありました。
まず、一般論として、国際的な組織犯罪とテロ活動との間には強い関連性があるということが指摘されていますし、本条約に向けた交渉過程においても、対象犯罪を具体的に列挙すべきではないかという議論の中で、テロ活動がその対象となっていました。また、本条約を採択した二〇〇〇年十一月の国連総会決議においても、国際的な組織犯罪とテロ犯罪との関連が増大しており、本条約がこのような犯罪行為と闘うための有効な手段であることが指摘をされておりました。
このように、本条約については、起草段階から現在に至るまでテロ活動を対象に議論が行われてきたのであり、テロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための枠組みであるということが言えます。
そして、国際組織犯罪防止条約の重大な犯罪の合意罪に係る交渉経緯と我が国の立場についてお尋ねがありました。
委員からは本条約の交渉の経緯について御主張がありましたが、実際は、交渉の初期における案文では、重大な犯罪の合意罪について、組織的な犯罪集団が関与するものという要件を付すことが認められていなかった上、重大な犯罪の範囲も定まっておらず、単に重大な犯罪を行うことの合意を処罰するものとされていました。
そこで、我が国は、その当時の案文のままでは受け入れられない旨の意見を述べた上で、重大な犯罪の合意罪について、組織的な犯罪集団が関与するものという要件を加えることを提案いたしました。我が国の提案に基づいて、組織的な犯罪集団が関与するものという要件を付すことができるものとされ、また、累次の議論の結果、重大な犯罪の範囲につき、長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪とされたものであります。
このように、我が国の提案が一定程度受け入れられたことから、我が国は本条約のコンセンサスでの採択に参加したものであり、刑法の大原則の転換との御指摘は当たりません。
そして、カンナタチ氏の公開書簡の受け止めについてお尋ねがありました。
政府としては、一般に、これまでも特別報告者との有意義かつ建設的な対話を実現し、こうした報告が客観的で正確な情報に基づき正しい理解の下になされるよう、特別報告者制度に全面的に協力してきたところであり、このような姿勢は一貫しております。
カンナタチ特別報告者からの日本政府に対して示された懸念や指摘事項に対しては、我が国の取組を国際社会に対して正確に説明する観点から、内容を精査し、追ってしっかりと我が国の立場を回答する予定です。したがって、国際社会の信頼を失墜させるとの指摘は当たらないと考えます。(拍手)
〔仁比聡平君登壇、拍手〕
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、憲法違反の共謀罪法案、組織的犯罪処罰法改正案に断固反対の討論を行います。
法務委員会における審議は全く尽くされていなかった。逆に、僅か十七時間五十分の対政府質疑でも、法案の持つ重大な危険性、それをごまかそうとする政府答弁の矛盾や詭弁は更にあらわになっていました。
その国会審議について、安倍総理は、六月四日のラジオ番組で、不安を広げるための議論を延々としているんだろうと思いますねなどと、口を極めて議員の質問も国会審議の意味も否定する重大発言を行いました。不安を広げるばかりの答弁を繰り返してきたのは政府の方ではありませんか。中間報告を強行し、国会が国会であることを自ら否定せんとするばかりの自民、公明諸君の暴挙は、この安倍発言とうり二つであります。
審議すればするほど、国民が内容を知れば知るほど、反対、説明不十分の声が大きく広がっていく。それは、共謀罪法案の正体が、何を考え、合意、計画したか、内心に限りなく踏み込んで捜査、処罰しようとする、紛れもない憲法違反の治安立法だからであります。
法案に反対する理由の第一は、法案が、人々がどんなことをしたら処罰の対象にされるのか全く不明確で、人の生命や身体、財産などの法益を侵害する危険が客観的にはない合意を処罰するものだからであります。
政府は、主体を組織的犯罪集団に限定した、計画とそれに基づく実行準備行為という三つの構成要件で限定したと言います。しかし、刑法学の専門家が指摘するとおり、条文の規定ぶりを見れば、実行準備行為は処罰条件でしかありません。その意味について、政府は、客観的に相当の危険が認められる予備ではないとする一方、意思の発現として行われる明らかな外的行為、すなわち英米法のオーバートアクトとも違うと言い始め、結局、その意味するところは、先ほどの大臣答弁でもいよいよ全く不明確、曖昧ではありませんか。法案は刑罰法規として致命的に不明確なのであります。
組織的犯罪集団はどうか。政府が繰り返すテロ組織、暴力団、薬物密売組織は例示にすぎません。その団体の結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げられた二百七十七もの罪、すなわち、その絞り込みの基準自体が極めて恣意的で、刑法犯の八割を超える広範な二百七十七の罪を実行することにあると警察に判断されれば、捜査と処罰の対象になり得るのです。
さらに、政府は、組織的犯罪集団なるものの構成員でなくとも共謀罪の主体になることを認めました。それをまだ言い繕おうと、法務大臣は、組織的犯罪集団と関わり合いがある周辺者と言い始め、一層支離滅裂を深めたままですが、先ほどの答弁でも全く明確なお答えはなかったではありませんか。
政府は一般人が対象となることはあり得ないと言いますが、条文上全く限定されず、結局、警察に捜査対象と目されれば誰もが一般人ではなくなると言っているに等しい暴論にほかならないのであります。
政府は、こうした組織的犯罪集団による計画と実行準備行為が総体として危険だから処罰すると言います。しかし、実行準備行為は、外から見れば日常生活と区別は付きません。刑法の原則である行為主義、すなわち客観的に危険な行為、危険な結果があって初めて罪に問うとの原則と相入れないのです。これは、日本やナチスが行為者の危険性を処罰したことがいかに人々の自由を侵害し恐怖に陥れたか、その反省に立った歴史の到達であり、この行為原則を踏みにじる共謀罪は断固として許すわけにはいきません。
内心の捜査と処罰の恣意的な濫用に歯止めは掛けられません。それは、治安維持法と戦前の我が国社会の痛苦の教訓です。だからこそ定められた憲法十九条、二十一条、三十一条に法案は明らかに反し、近代刑法の大原則を根底から覆すものであります。
反対する第二の理由は、本法案が、戦後も犯罪の未然防止や任意捜査の名目で、犯罪とは無縁の市民の人権、プライバシーを深く侵害する活動を行い続けながら、それを通常の業務の一環などと正当化し全く反省のない警察、検察の活動に法的根拠を与え、深刻な人権侵害の危険があるからです。
その危険は、通常の団体が一変したら共謀罪、さらには、環境保護や人権保護が隠れみのなら共謀罪とする政府答弁によっていよいよ浮き彫りになっています。警察組織が住民運動は隠れみのではないかと情報収集を行い、その中で共謀罪の嫌疑を抱けば捜査に移行する、公安情報収集活動と犯罪捜査を連続して行うことがはっきりしました。一変にせよ隠れみのにせよ、労働組合や市民団体も処罰対象にされ得るのです。ここに密告を奨励する自首減免規定が盛り込まれていることは極めて重大です。
大垣事件で監視された四人の方々はなぜ情報収集の対象にされたのか。国家公安委員長は、とうとう、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから答弁は差し控えるという立場を変えようとしませんでした。極めて重大です。深い傷を負った被害者たちに政府は謝罪すべきであります。
犯罪と無縁の国民が、警察のさじ加減一つでプライバシーをひそかに侵害され、なぜ調査対象になったかも分からないまま深く傷つけられる重大な危険があります。法案のどこに、そうはならないという明確な保証がありますか。どこにもありません。皆さん、そんな立法を私たちは断じて行ってはならないのです。指摘される危険が現実になったとき、同僚議員の皆さんはどうやって責任を取るというのですか。
反対する第三の理由は、国際組織犯罪防止条約の締結に不可欠と、政府が法案の立法事実だと言うことは、国際社会の指摘によっていよいよぼろぼろになっていることです。
TOC条約はマフィアなどの国際的な経済組織犯罪の取締りを目的としたものであり、日本政府を含むG7各国がテロリズムを本条約の対象とすべきでないと主張していました。条約の国連立法ガイドを起草したニコス・パッサス教授は、条約はイデオロギーに由来する犯罪のためではない、犯罪の目的について、金銭的利益その他の物質的利益を得ることとあえて入れているのはその表れだと指摘をしています。テロ対策を口実にして法案を押し通そうとするなど断じて許されません。
さらに、パッサス教授は、東京オリンピックのようなイベントの開催を脅かすようなテロなどの犯罪に対して現在の法体系で対応できないものは見当たらないとし、条約を批准することは可能と忠告しているのです。TOC条約は、国内法原則、すなわち日本国憲法に従って国際組織犯罪対処の措置を求めているのです。既に国会承認はなされており、現行法で条約を締結をすべきであります。
法案の不明確性が法執行機関の前近代的な秘密体質と結び付いて深刻なプライバシー侵害が引き起こされる、そのことをケナタッチ国連特別報告者の公開書簡は指摘をしています。国連TOC条約の締結のためと言いながら、国際社会から批判されたら、独立した専門家としての特別報告者の権限も、日本が国連人権理事会理事国になるに当たっての、特別報告者との建設的な対話の実現のために今後もしっかり協力していくという誓約も投げ捨てて、感情的に非難する安倍政権の姿は国際社会の信頼を失墜させるものです。
自分の意に沿わない真実の証言や道理に立った批判は、国内においても、そして国際社会に対しても、敵視し、けなし、封殺しようとする、そのような態度が通用するはずもありません。
森友学園、加計学園、政治を私物化し、安倍総理の進退に関わる重大疑惑には問答無用で蓋をし、一方で、捜査権力の濫用という重大な危険をはらむ共謀罪だけは何が何でも押し通す。言語道断であります。そのような態度がいつまでも通用すると思ったら大間違いであります。
国民には何が秘密かも秘密にして、政府の秘密保全体制をしいた特定秘密保護法。
○議長(伊達忠一君) 仁比君、時間ですのでまとめてください。
○仁比聡平君(続) 憲法九条と戦後日本の歩みを百八十度覆し、日米一体で戦争をする国に変えようとする安保法制、戦争法。そして、物を言う国民を監視し萎縮させようとするこの共謀罪法案。次には、憲法九条の明文改憲に踏み出そうとする。暴走する安倍政権の戦争する国づくりを私たちは断じて許しません。
市民と野党の共闘の力を一層強く大きくし、安倍政権を必ず打倒する。その決意を強く表明し、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(伊達忠一君) これより本案の採決をいたします。
足立信也君外四十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
よって、表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕
○議長(伊達忠一君) 速やかに投票願います。──どうぞ速やかに投票願います。──このままでは投票時間を制限せざるを得ません。速やかに投票願います。──投票時間を制限いたします。ただいま行われております投票につきましては、自後二分間に制限いたします。時間が参りましたら投票箱を閉鎖いたしますので、速やかに投票をお願いいたします。──一分が経過いたしました。──間もなく制限時間となります。──時間です。投票箱を締め切ります。
制限、制限……
〔投票箱閉鎖〕
○議長(伊達忠一君) お待たせをいたしました。
これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕
○議長(伊達忠一君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十五票
白色票 百六十五票
青色票 七十票
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────
○議長(伊達忠一君) これにて休憩いたします。
午前七時四十六分休憩
〔休憩後開議に至らなかった〕