○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
三人の参考人の皆さん、今日は本当にありがとうございました。
まず、鈴木豊田市長にお尋ねをしたいんですけれども、正規の在留資格を失っていく外国人が大変数が多いということは大変残念なことだと思っておりまして、その中で、先ほど来どこに行ったか分からなくなってしまうというお話があるわけですね。これが、中にはルーズな方あるいは悪質な人もいるのかもしれないんだけれども、すべてが自己責任とは私は言えないんじゃないかという問題意識を強く持っているんです。


外国住民の権利や義務の保障と社会参加がなされずに、低賃金、劣悪な労働条件で働く単純労働力として扱われて、ブローカーが暗躍しています。そして、この間の経済危機の下で外国人労働者が物のように使い捨てにされるという実態があると私は思うんですけれども、管理を強化さえすれば済むことにはならないのではないか、外国人住民の権利義務の保障ということをやっぱり考えなきゃいけないのではないかと思うんですが、まずいかがでしょうか。

○参考人(鈴木公平君) 自己責任とは言えないのではないか、不法滞在者に対して、ということについての見解を述べよということなんでしょうか。
不法滞在に関する原因となる状況というのは、私どもは地方行政の中で、少なくとも自治体として把握するというすべは実はありません。ないと思っています。全くないとは言えないと思いますが、正確に把握することはできないと思いますので、そのケースに応じて判断をするということは大事だと思いますけれど、包括的にどうかというのにつきましては、私はある種の自己責任はお持ちであるんではないかという認識の立場です。
ただ、よく分からない中での意見を申し上げましたので、個別の具体の状況が把握できた中でこれはやむを得ないのではないかというケースがあるかもしれないという思いもないわけではございません。
管理強化をすることによって解決できるできないということがありましたけれども、私どもは、不法滞在の方に対しましても自治体としてはサービスをしなきゃいけない領域があるんです。そのことについてどのように具体に現場で取り組めばいいのかという不安があるということを先ほど申し上げました。この辺につきまして何か国としてお示しいただくことがあると全国的に市町村のレベルで取り組みやすいのではないかという見解です。

○仁比聡平君 自己責任云々の問題は今はおくといたしまして、そうした状況の中で自治体が、居住の実態がある、住民としての実態がある外国人住民に対していろんな歴史的な努力も重ねて共生という努力をしてこられたということを私は大変大事なことだと思っています。
ただ、その中で最近残念なことが、市長もおいでになります愛知県下で起こっているというお話がちょっとあるものですから具体的にちょっとお尋ねしたいと思うんですけれども、西三河のある自治体で、複数の日系ブラジル人の御家族に、受けている生活保護を打ち切ってハローワークの帰国支援金を使って帰国をしなさいという指示がなされているのではないかということがメディアでも問題になりました。その中には、仕事中に負傷して手術を必要とするし、労働災害を争わざるを得ないという方もあったのだが、その帰国支援金の手続をしなければ保護を打ち切るというふうに指示されたと、これは後に撤回されたそうですけれども、そうした状況があるという報道なんですね。
こうしたつまり指示ないし指導なり、西三河の地域でも愛知県下でも生活保護が激増しているというお話もありますし、豊田でも同じ状況かと思いますけれども、そういうことがあるのか。
もう一つ、これに併せて、外国人登録がなされているからこそ生活保護を受けていらっしゃるんだと思うんですが、この法改正によって在留資格がないという方がもし生まれてきたときに、住民台帳には載らないという方に対してこうした扱いというのは一体どうなっていくんだろうか、今よりもひどくなるんじゃないかという懸念を私は抱くんですけれども、市長はいかがでしょうか。

○参考人(鈴木公平君) 西三河で具体に起きた、報道されたケースについての見解。

○仁比聡平君 もしお分かりになれば。

○参考人(鈴木公平君) 私ちょっと具体に把握しておりませんのでコメントしづらいんですけれども、少なくとも私の見解として、失業されてお困りの方に対してどういう理由で生活保護を打ち切ったのか、打ち切れたのか分かりませんけれども、ちょっと理解に苦しむなという感じがします。
それから、今回の法改正に伴って住基台帳に載らない人が出てきます。その場合にサービスが行えないケース、これも先生御案内だと思うんですけど、医療保険、介護保険、児童手当、年金それから生活保護、これらについては受給資格、加入資格が喪失するということが起きます。
私は、不安だと申し上げたのは、こういう方も現にお住みですので、子供は学校へ行かなきゃいけません。そういうことがありますので、このサービスが打ち切られたときに様々な生活上の課題、コミュニティーにおける課題は起きるであろうという不安がないとは言えないということを先ほど意見として述べさせていただいたわけです。

○仁比聡平君 今、鈴木市長も懸念としておっしゃられた問題というのを解決しないまま、私はこの法案の云々するということはこれできないと思っております。
石川参考人にお尋ねしたいと思います。日ごろからの御活動、心から敬意を申し上げたいと思います。
庇護を求めて我が国に来る外国人、難民という方々の実情をもう少しお話しいただければと思うんですけれども、仮放免許可を得た方あるいは仮放免の許可待ちの方なども、本国では働く意欲も能力もあって、高い技術だとか資格だとかそうしたものもお持ちの方がたくさんいらっしゃると思います。それが本国で生きていくこと自体がかなわなくなって、中には家族も本国に残したまま命懸けで逃れてこられるという状況にあろうかと思うんですね。
その方が長きにわたって就労できない、医療や社会保障、あるいは御家族がおありであれば教育などの問題でも困難を極めているというこの実態というのをどう私たちは受け止めればいいのか。その方々も居住の実態はあるわけです、先ほど御意見の中にあったように。居住の実態がある以上、住民なのであって、その住民としての権利や義務の保障というのは私はなされなければならないと思っているんですけれども、石川参考人、いかがでしょうか。

○参考人(石川えり君) 御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり、本当に居住の実態がある以上、住民として権利義務の保障をしていただきたいというのは、我々も非常に強く願っているところです。
どのような方がいらっしゃるかというと、本当におっしゃられるとおりで、非常に男性の方が多いと理解しています。家族を本国に残して、まずは危険になった父親一人が逃げてくるという方が多くいらっしゃいます。中には、やはり軍事政権下でどうしても民主化活動を続けていた、その結果刑務所に入って拷問を受けて命の危険があって逃げてきたという方が少なからずいらっしゃいます。故郷で拷問の傷を負っているという方も少なからずいらっしゃいますし、女性であれば、本当に女性をターゲットにした暴力の被害者、また紛争の被害者などの方々も多くいらっしゃいます。そういった方でも、故郷でも家族を養ってきた方も多いですし、日本で働いて生活のリズムを取り戻していかれるという方もいらっしゃいまして、働きたいという意欲を持っていらっしゃる方は非常に多いというふうに感じています。
現在、在留資格のある段階で難民申請をした方、これは法務省の方も先日の総務委員会で半数程度とおっしゃいましたが、そういった方は一定期間、実務上は半年経過した後に就労が認められるという実務になっています。ただ、そのほかの半数程度の方が、そういった就労が許可されない、生活保護が認められない、国民健康保険の加入がないといった状況に置かれていまして、外務省がそういった方のために支援金を用意してくださっているんですけれども、今のところ全員に行き渡っていないという現状がありまして、現場でも対応に苦慮しているというようなところです。
やはり、日本に入ってきてから認定を受けるまで、結果が出るまで、認定を受けた方はその後の定住までスムーズにいくような形で、総合的な法律、できましたら難民基本法というようなものを是非御検討いただければというふうにこちらは考えております。そこには、適正な手続と結果を待っている間の最低限の生活保障、できましたら是非就労も御検討いただきたいと思っておりまして、そういったものが包括的に認められていくようになると、より人道的な対応と言えるんではないかというふうに考えております。
以上です。

○仁比聡平君 我が国に庇護を求めてこられた庇護希望者の方々が我が国において非人道的な扱いを受けるという、こういう実態、現実は改めるのが私は政治の責任だと思っております。
先ほどの御意見の中で、すべての難民申請者が住民基本台帳に記載されるようにするべきであるという石川参考人の御意見がございまして、この点で衆議院でなされた修正部分に期待をされる言葉を述べられたと思うんです。私、いささかその修正部分だけで大丈夫かという思いを持っておりまして、といいますのは、在留資格がなければ住民基本台帳には記載されないという仕掛けに入管法とこの住民基本台帳法の改正案が一体としてなっているとするならば、そうした一元的管理を求めるものだとするならば、実態としては居住実態がある、住民の実態があるにもかかわらず基本台帳に記載されない。作られる基本台帳が言わば在留資格基本台帳になってしまうということになりはしないのかという懸念があるんですが、石川参考人、いかがでしょう。

○参考人(石川えり君) 貴重な御意見をありがとうございます。
私のつたない、法案を拝見させていただいた理解ですと、仮滞在という在留資格がない方若しくは一時上陸許可という在留資格を未取得の方も、今のところ法案の中で住民基本台帳の対象になっているようですので、これは非常に期待をして施行に関して見てまいりたいというふうに思っております。
ただ、本当に在留資格基本台帳が原則となってしまうというようなことがもし仮に起こってしまうとすると、じゃ、こういった在留資格未取得の方に関しては、では住民ではなく入管の収容施設の方にというようなことにももしかしたらなっていくかもしれませんので、そういったところも踏まえて、御懸念が実態となっていかないように私どもも先生に是非御議論いただきたいと思いますし、実施の方を注意して見てまいりたいというふうに思っております。
御指摘ありがとうございます。

○仁比聡平君 段参考人に、最後、端的に。
今回の改正で法務大臣が外国人住民の個人情報を一元的、継続的に管理するという、こういう仕組みがありまして、蓄積されていく個人情報には法的な制約がない、政省令で拡大できるという仕組みになっているやに思うんですね。この点についてどのように思われるでしょうか。

○参考人(段躍中君) 済みません、もう一度それを……

○仁比聡平君 少し難しい制度の仕組みの問題ですから、時間も参りましたので、終わりたいと思います。