○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
今、首切りに走る幾つもの大企業は、派遣労働者を三年の上限を超えて安く使い続けるために偽装請負を始めあらゆる違法をやってきました。
私は、マツダ自動車などが元々派遣元に戻すことにしている派遣労働者をいったんサポート社員などと呼ぶ直接工にして三年の上限規制をクリアしたように見せかけてきたシステムは明白に違法であり、直ちに直接雇用を指導すべきだと求めてまいりました。


舛添大臣もこうしたやり方が違法だと認める場合にはすべての期間が派遣期間に通算されることを答弁され、現在調査中かと思うんですけれども、なお直接雇用の義務は果たされないまま失業給付までも短期で切られようとしているわけです。通算すれば四年、五年雇用保険にも加入して正社員と同じように働き、半年は失業給付を受けられるはずなのに九十日で切られてしまう、これ余りにも理不尽ではないかと私は思います。
違法の実態が認められる場合は、その実態にふさわしい失業給付日数が認定されるべきだと思いますが、舛添大臣、いかがですか。

○国務大臣(舛添要一君) 委員御承知のように、雇用保険制度におきましては、倒産、解雇等による離職者については、特定受給資格者としてこれは受給資格要件や給付日数について手厚い取扱いをしておりますけれども、有期契約労働者の雇い止めの場合には、同一事業主の下で三年以上引き続き雇用されていた場合には倒産、解雇等による離職と同視できるとして、特定受給資格者として取り扱うこととしております。これは、今御指摘ありましたように、有期契約労働者においても、契約更新によって同一事業主に継続して三年以上雇用されている場合は、当該事業主の下で実態的には期間の定めのない労働契約となっている状態だということで、こういう取扱いをしています。
今の御指摘の、いわゆる労働者供給事業に当たるとして、クーリング期間ですね、職業安定法違反であるという、それだけで直ちに特定受給資格者として取り扱うことができないわけですけれども、労働者派遣元事業主との雇用関係が三年以上継続しているという実態が認められれば特定受給資格者として取り扱うこととなりますので、そのように現場において指導しているところでございます。

○仁比聡平君 マツダの例では、サポート社員の間も派遣会社が出勤の確認を行う、派遣元の有給休暇も通算されていたわけです。その期間も実態はずっと変わらないわけですよ。なのに、今月にも給付が切られようとしているわけですから、大臣の今の答弁、大変大事な答弁だと思います。速やかに調査をし、雇用保険の扱いを改めるべきでございます。
我が国では、失業の際のセーフティーネットであるはずの雇用保険が元々不十分な上、この十年、度重なる改悪で壊されてきたことが今日深刻な事態を引き起こしております。厚生労働省に昨日聞きましたら、直近のこの一月、失業給付を受けることのできた人は六十一万八千九百八十一人、約六十二万人にとどまっているんですね。ひどい実態じゃありませんか。求職者は、九月以降、かつてない勢いでうなぎ登りに増えまして、非正規、正規を問わず雇用破壊で、ハローワークに仕事を求める労働者だけでも二百四十万人を超えています。
このパネルを御覧いただきたいと思うんですけれども、(資料提示)この六十二万人程度という数字というのは、この「現在」のところ、三割に届かないわけですよ。二百四十万人の三割に届かない。十年前は、それでも四二・二%、失業給付を受けていましたけれども、現在では、七割、八割近くの方々が失業給付を受けることができないんですよね。一千六万人もの労働者が雇用保険に加入さえできず、加入しても、支給要件や支給日数の改悪で雇用のセーフティーネットが穴だらけにされてきたからでございます。
総理、職と住まいを失った方々が大量に路頭に迷う社会は世界でも異常です。セーフティーネットというなら、働きたいのに仕事に就くことのできない圧倒的な労働者の大方がこの失業給付をちゃんと受けられるようにする、それが本来の姿ではありませんか。

○内閣総理大臣(麻生太郎君) おっしゃるとおりなんですが、この失業給付、再就職の難易度に応じてこれは支給をするということになっているんだというように理解しておりますが、いわゆる離職の理由などに応じていろいろ設定をしておられるのはもう御存じのとおりです。
また、これ一定の制限があるので、いろいろごちゃごちゃ難しい話があってなかなかうまくいかぬ、私の地元でもよく自動車工場がありますので、聞いた話も含めまして申し上げていますけれども、いずれにいたしましても、今般の雇用保険制度というのをいろいろ見直したりして、今こういった問題に関して急に起きてきておりますので、いろいろ対応が後々になってみたり、なかなかうまくいかなかったりしている点はあることはもう率直なところです。
これは、我々としてもこの点については十分に、これは企業の問題であってみたり事情はそれ各企業また個人によっていろいろ違う点があるとは思いますけれども、少なくとも今の場合にはこれは二割五分ということになっているというのは明らかにこれちょっと、せめて倍とは言いませんけれども、四〇やそこらは前回も行っておりますので、常識的なところへ行けば四〇%、五〇%は行かなくちゃおかしいがなというのが率直な実感なんで、ちょっと詳しく知っているわけではありませんが、正直なところ、感じとして二五%というのはちょっと、四人に一人というのはちょっといかがなものかというのが正直な実感です。

○仁比聡平君 そのようにおっしゃるんだけれども、正規を膨大な非正規に置き換えて、そうした仕事にしか就けないようにしてきた、それは自民党政治なんじゃないんですか。失業は自己責任ではないんですよ。
シャープで派遣切りに遭った二十代の女性、仕事は見付からないのに失業保険は九十日でもう三月で切られてしまう。職業訓練も応募しても枠が少なくて落とされてしまう、もうどうしたらいいのか分からないと、途方に暮れていらっしゃいました。
失業中の生活保障は生存権、勤労権に基づく政治の責任であります。雇用保険には六兆円の積立金があるのですから、これを活用した抜本的な拡充を私は強く求めるものでございます。
与謝野大臣に簡潔にお尋ねしたいんですけれども、このパネルは有効求人倍率を私の方で整理をしたものですが、御覧のように地方は極めて厳しいまま、そして愛知を始め輸出大企業の城下町も一気に急落いたしました。内需も外需も総崩れと言われていますけれども、この墜落するかのような雇用破壊が内需を冷え込ませ、景気の悪化と悪循環をもたらしているのではありませんか。

○国務大臣(与謝野馨君) 我々は、そういう悪循環に陥らないように努力をしていかなきゃいけないということで、そういう悪循環に陥る可能性は十分ある、そういう危機感を持ってこれからやってまいりたいと思っております。

○仁比聡平君 根本は首切りをやめさせることであります。派遣法も雇用保険も大改悪を迫ってきたのは大企業です。その認識を問い、社会的責任を果たさせるのがこの国会の責務でございます。
経団連の御手洗会長を始め、輸出関連大企業の代表を参考人としてこの委員会に呼び、集中審議を行うことを日本共産党は改めて求めます。委員長、取り計らいをお願いいたします。

○委員長(溝手顕正君) お申込みの点については、後刻理事会において協議したいと思います。

○仁比聡平君 政府が大企業の不当、無法な首切りをやめさせ、すべての労働者に対するセーフティーネットを拡充することを強く求めて、質問を終わります。