○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
まず大臣にお尋ねをしたいと思うんですけども、更生支援、保護観察の充実のために奮闘しておられる関係者の皆さんに、まず心から敬意を表したいと思います。
ある保護司の方にこの法案の議論に当たってちょっとインタビューをいたしまして、例えば性犯罪再犯防止プログラムというのがあります。保護観察所に行ってこのプログラムを受けてきた対象者は、もうそのプログラム自体がとても濃密でとても疲れて帰ってくると、ほとんどが地域で孤立をしている人ばっかりだと、だから、あれこれもう聞かずに、まずは御苦労さんやったねと受け入れて、安心して来れるようにするということがとても大事だと思っていると。もう一方で、保護司にだけはうそをついたら駄目やと、そういう姿勢で接することが大切と言う方がありました。私、そのとおりだと思うんですよね。
保護観察官と保護司がそれぞれの役割を果たして連携、協働を図っていくということがとても大事だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(平口洋君) 保護観察対象者に対する指導や支援を適切に行うに当たり、保護観察官と保護司との協働態勢と連携というものは極めて重要であるというふうに認識しております。
保護観察官と保護司の協働態勢において、保護観察官は、社会内処遇に関する高い専門性を生かして保護観察処遇等に当たるとともに、保護司の安全確保を含め、その活動を支援する重要な役割を担っております。
本法案においては、保護司の安全確保のための政策を国の責務として実施することや、保護観察対象者に関する情報収集を強化することなどを規定しております。これらの規定の趣旨を踏まえ、例えば、保護観察官は、収集した情報に基づいて保護観察対象者の評価、分析を行い、それを踏まえて適時適切に直接関与を強化するなどの対応を行うことにより、保護司との協働態勢の実効を期することとしております。
○仁比聡平君 今大臣から御答弁あったように、この保護観察官と保護司さんの連携、協働をしっかり実効あらしめていくために、保護観察官の責任というのはこれ極めて大きいと思います。
今日はその点について少し伺いたいと思うんですけれども、まず、大津の事件。この事件は、保護観察付全部執行猶予という判決を受けた対象者が保護司さんをあやめたという事件です。
保護局長、この大津事件の教訓というのをどう受け止めているか。これを踏まえたときに、保護観察所ないし保護観察官が対象者の社会内での自立的更生の条件をしっかり評価していくと、プラス、マイナス両面あると思うんですけれども、これをどのようにアセスメントしていきますか。
○政府参考人(吉川崇君) お答えいたします。
保護観察付全部執行猶予者の再犯防止と改善更生を図るに当たりましては、保護観察官が当該保護観察対象者の再犯リスクを評価するとともに、犯罪に結び付く要因と改善更生を促進する事項を分析することなどを内容とするアセスメントを実施した上で、処遇方針を決定し、これに基づき保護観察を実施する、そういうこととしております。そして、大津で保護司が殺害された事案も踏まえまして、現在、保護観察付全部執行猶予者に対するアセスメントの充実強化を行っているところでございます。
具体的には、保護観察の開始後おおむね三か月間を開始時重点的アセスメント期間として、保護観察官が複数回の面接を行うなどして当該保護観察者に係る情報を十分に収集し、犯罪や非行に至るプロセス等のアセスメントを行い、その結果を踏まえて、保護観察官の直接関与を強化するなどの種々の措置を講じているところでございます。
また、本法案におきます公務所への照会や鑑別の求めの規定の新設によりまして、保護観察官が保護観察付全部執行猶予者に係る情報をより一層進め、これに基づくアセスメントを充実してまいろうと考えているところでございます。
○仁比聡平君 裁判手続において裁判所が保護観察付全部執行猶予という判決を出すと、そこには当然合理的な理由があるわけですよね。一方で、社会内で自立的な更生を図っていくというその対象者、保護観察対象者には、その更生を図っていこうという条件もあれば、再犯に陥りかねないというリスクもあると。ここをしっかり見極めていくという上で、保護観察官の専門性というのは極めて重要だと思うんですが、局長、もう一度いかがですか。
○政府参考人(吉川崇君) おっしゃるとおりでございまして、保護観察官の役割は極めて重要です。
そのため、そのアセスメントにおきます最新のツール等を導入し、あるいはそれをいかに使いこなせるようになるのかということにつきましても保護観察官の研修を随時進めているところでございまして、保護観察官の能力の向上、アセスメントに関する能力向上、あるいは処遇計画を立てる上での能力の向上、それに努めているところでございます。
○仁比聡平君 この保護観察付全部執行猶予ということを初めてその判決を受ける被告人は、それまでの間に、更生保護の観点からの、今の保護観察官の観察、調査のような評価を受けないということになる。つまり、裁判の手続、事実と証拠に基づいて、検察官の起訴、弁護人の弁護、そして裁判官の判断ということになると。そうした事案について、今お話しのように、保護観察所からの照会などの取組ということになるんですが、刑事局長、こうした照会に対してどう協働していくのか。
それから、被疑者、被告人及び弁護人に被疑事実、被告事実についての争いがないというケースがたくさんあります。そうした中で、再犯に至らない環境の調整こそが問われているという事案があるわけですけれども、検察官はどのように対応しているんでしょうか。
○政府参考人(佐藤淳君) まず、最初の御質問についてですけれども、検察庁、個々の検察官になりますが、その犯罪の内容、態様、あるいはその経歴などを見て、例えば、それは一回目の執行猶予になるにしても、観察、保護観察が付いた方がいいのではないかというふうに考えられる事案につきましては、保護観察所と調整したり議論したりという経緯をした上で、保護観察付執行猶予の、例えば保護観察を付けるべきだといった求刑をすることもございます。そういう中で、確かに検察官、心理学等の専門家ではございませんけれども、そういう形で矯正ないしは保護の皆さんと調整をしたり意見を交換するという取組は現に行われているところでございます。
それから、今、次の二つ目の御質問でありますけれども、検察当局におきましては、「検察の理念」におきまして、「犯罪の防止や罪を犯した者の更生等の刑事政策の目的に寄与する。」とされているとおり、被疑者、被告人の改善更生、再犯防止の観点を念頭に置きつつ、個々の事件の捜査・公判活動に当たっているものと承知しております。
具体的には、刑事司法の入口段階、すなわち起訴猶予とか刑の執行猶予等によりまして矯正施設に入ることなく刑事司法手続を離れる者につきましては、保護観察所や弁護士などと連携して、釈放時に福祉サービスや再犯防止支援を実施する機関等に橋渡しをするといった、いわゆる入口支援の取組を実施しているものと承知しているところでございます。
○仁比聡平君 その今御答弁にあった入口支援が、当事者が弁護士あるいは弁護人の法的サポートをしっかり受けた上で真摯に同意をした形で行われるということがとても大事だと思いますし、実際そのように行われていると思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(佐藤淳君) 御指摘のとおりでございまして、検察当局が実施する入口支援を実効性あるものとするためには、対象となる被疑者、被告人自身が再犯防止、改善更生に向けた意思や意欲を持つことが非常に重要であると考えられることから、検察当局におきましては、被疑者、被告人の同意を得た上で、関係機関との調整を実施しているものと承知しているところでございます。
○仁比聡平君 こうした中で、様々な対象者がいるわけですよね。今日もちょっと議論になっていますけれども、その面接場所ということを考えるときに、私は、保護司さんが対象者の特性に合わせて選択することができるということがとても大事だと思います。
自宅で家庭的な環境で面接することがふさわしい方もあれば、そうではなく、やや公のところですよね、公民館やサポートセンターということがよく言われますが、私はファミレスの利用だって当然あっていいと思うんですよ。この選択は保護司さんが相手の特性に合わせて選べるようにすると、そこもはっきりさせると。そして、その費用、実費がもちろん掛かるわけですけど、この弁償は国がちゃんと全額やりますからという姿勢で臨むべきだと思いますが、まず局長、いかがですか。
○政府参考人(吉川崇君) お答えします。
委員御指摘のとおり、保護観察対象者との面接場所につきましては、保護観察対象者の問題性や保護司との関係性等に応じて保護司自らが面接場所を選択できるよう、その選択肢を増やすことが重要であると考えております。
費用負担の関係で申し上げますと、保護司が保護観察を担当したときは、担当事件一件につき一月当たり、一般事件で四千四百六十円、それから処遇困難事件につきましては七千六百六十円の保護司実費弁償金を個別に支給しておりまして、その内訳の中には、その内訳といたしましては、旅費、すなわち交通費ですね、それから通信費、事務用品費と、それから飲食費を想定した接遇費が含まれております。加えまして、令和六年度からは、面接場所借料が発生した場合に、保護司実費弁償金として当該借料を支給するための予算措置を講じております。そういう意味で、このような対応の中で、そのファミレス等を利用した場合の実費が賄えているのではないかと考えているところでございます。
引き続き、保護司の方々から実情をお伺いしながら、保護司活動に伴う経済的な負担の軽減に努めるとともに、保護司の自宅以外の面接場所の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 保護司さんたちからは、やっぱりその経済的な負担ということの声が現実に上がっているわけですし、若い世代に担っていただこうということになれば、そこのところの透明性といいますか、ということもしっかりしていくということが大事なことなんじゃないかと思いますので、よろしく御検討いただきたいと思います。
最後、大臣に、保護司さんたちから、この法案審議の、法案を作る中で、保護観察官が自分たちの町の保護区に例えば月に半日とかという形で座っていただいていろんな相談に乗ってくれるようになるといいのにというような声も上がっていたかと思うんですよね。保護観察官にとってみると大変なんだと思うんですよ。
加えて、冒頭に申し上げたような性犯罪再犯防止プログラムって成果上げているんですけれども、うち一五・一%の方が再犯に陥っているということで、この認知行動療法を更に発展させる、改善するというような役割も保護観察官はとても担っています。対象者のアセスメントや直接担当の話は今もあったとおりですし、福祉的支援や就労支援、見守りなど、地域での活動、ここの要にもやっぱり保護観察官がなっていかなきゃいけないと。
その専門家としての社会的要請が増大しているということを考えたら、抜本的増員、保護観察官の、がどうしたって必要だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(平口洋君) 保護観察官は、社会内処遇に関する高い専門性を生かして保護観察処遇等に当たるとともに、保護司からの相談に応じて必要な助言を行うといった保護司活動の支援など、様々な業務を担っているものと認識しております。
令和八年度概算要求においては、保護司の安全確保等に向けた体制整備を図るため、保護観察所の保護観察官について九十二人の増員を要求しているところでございます。
保護司活動を支援しつつ、再犯防止に向けた保護観察処遇等の充実を図っていくため、引き続きその人的体制の整備に一層努めてまいりたいと考えております。
○委員長(伊藤孝江君) 時間が来ておりますので、おまとめください。
○仁比聡平君 はい。
二年前、小泉元大臣は、保護観察官の高度な専門的な知識と実行力、高度な人間性、これが大きな効果を上げることを期待したいし、コストに対して大きな効果が上がるんだということで増員を求めていきたいという御答弁されました。
是非頑張っていただきたいと申し上げて、質問を終わります。