○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。
私は、会派を代表して、消費者契約法等一部改正案に賛成、法人等寄附不当勧誘防止法案に反対の討論を行います。
二法案は、安倍元首相の銃撃事件を契機に、我が国の重大な政治課題となっている統一協会問題について、霊感商法と高額献金問題に絞って新たな規制を設けようとするものです。
消費者契約法等改正案は、これまでも強く求められてきた付け込み型勧誘への取消し権をようやく霊感商法対策としては導入するなど、前向きな一歩を評価し、不十分ながら賛成します。
しかし、法人等寄附不当勧誘防止法案は、衆参両院の参考人質疑で、全国霊感商法対策弁護士連絡会の川井、阿部両弁護士から、統一協会の被害救済という意味では余りにも不十分と述べられたとおりです。
統一協会の加害行為と深刻な人権侵害の中核は、正体を隠して勧誘し、マインドコントロール下において教義を植え付け入信させ、人々の人生をめちゃくちゃにする信教の自由の侵害にあります。宗教的活動を装いながら、社会的相当性を逸脱したその反社会的不法行為の実態は、既に数々の民事不法行為判決によって明確にされてきました。にもかかわらず、統一協会はなお不法行為をやめず、現に被害者が広がっているのです。
全ての被害者を救済し、被害を根絶する。それが今、国会に問われている重大な責務です。法案は、被害の実態に照らし、極めて不十分であり、実効性を明確にするよう修正されるべきです。我が党は、会期を延長し、更に審議を尽くすべきことを主張してまいりましたが、このまま採決をすることに反対をするものです。
法案の最大の問題点は、寄附の勧誘に関する禁止行為について、法案第四条がいわゆる困惑類型のみを対象としていることです。とりわけ同条六号が、一、寄附の勧誘をするに際し、二、不安をあおり、又は不安に乗じて、三、寄附が必要不可欠と告げることによって、四、困惑させてはならないと定め、政府の、政府もその全てがそろわなければ取消し権は認められず、政府の勧告、命令の対象にもならないことを認めたことは重大です。
昨夜、参考人としておいでいただいた元二世信者の小川さゆりさんは、家庭も将来も顧みない献金被害について、次のような凄惨な体験を語ってくださいました。
幼少期から貧しい暮らしを強いられ、親戚からのお小遣い、お年玉は没収され、誕生日、クリスマスプレゼント、小学校の卒業アルバムなどは買ってもらえませんでした。服はお下がりで、美容院等へは行かせてもらえず、小学校一年生の頃から見た目の貧しさからいじめに遭いました。成人式に至っては、興味がないとしてもらえず、両親が親戚中を勧誘したり、お金を要求したり、そのことで怒られているところも見てきました。また、高校生から始めた五年間のアルバイト代、約二百万円も没収され、一度も返ってきませんでした。このような生活状況にかかわらず、両親は、私たち兄弟に一切相談なく高額な献金を繰り返してきました。
そういった献金につながる教育は幼少期から強制的に行われていきます。献金の歌を毎週歌わされました。感謝の献金、神の国を建てるため、真心込めてささげますという歌詞が入っていました。意味も分からず毎週その歌を歌って、献金箱に百円を入れていました。というのです。
植え付けられた責任感や使命感によって進んで献金させられている統一協会被害者とその家族をこの法案で救済できるのか。入信から献金まで数年、数十年のタイムラグがあっても寄附の勧誘に際しと認められるのか、個々の献金について重大な不利益を回避するために必要不可欠と告げられてはいない被害が救済されるのか、重大な懸念があります。
岸田総理は、いわゆるマインドコントロールによる寄附は、多くの場合、不安を抱いていることに乗じて勧誘されたものと言える、寄附当時は困惑しているか判断できない状態であったとしても、脱会した後、冷静になって考えると、当時不安に乗じて困惑して寄附をしたということであれば、そのような主張、立証を行って、取消し権を行使できる、さらには、入信前後から寄附までが一連の寄附勧誘であると判断できる場合は取消し権の対象となるなどと答弁していますが、条文に照らしどのように読むのか、その解釈が裁判に堪えるのか、被害者やその家族に一体どのように立証せよというのか、極めて疑問です。阿部参考人は、そのような解釈を取るのであれば端的に条文に書き込んでいただきたいと述べましたが、そのとおりではありませんか。
消費者契約法から借用してきた困惑類型に固執せず、全国弁連が求め、我が党も修正案で提起したように、個人を適切な判断をすることが困難な状態に陥らせ、又は、当該個人がそのような状態に陥っていることに乗じ、寄附の勧誘をしてはならないことを明らかにする条文に改めるべきです。
また、献金の領収書を示そうとしない統一協会に対して、高額献金を受け取った場合に帳簿の作成を義務付け、寄附をした本人から求められたときは帳簿の開示を義務付けるべきです。
第二に、自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状態に陥らせないこと、生活の維持を困難ならしめないこと、正体を隠して寄附される財産の使途を誤解させないことを禁止行為とせず、法案第三条に言う配慮義務にとどめたことです。
罰則による強制力がなく、十分に配慮しなければならないというにとどまる修正条文が、私人間の寄附勧誘の場面で裁判上どのように機能するのか、委員会審議でも結局明らかにはならず、また、義務違反が主張、立証できても、それだけでは財産は戻ってこないことも政府は認めました。明確に禁止行為とし、取消し権、また、勧告、命令という行政措置の対象とすべきです。
さらに、修正第六条が配慮義務遵守を求める勧告の極めて厳しいハードルを課していることは、阿部参考人がこの要件ができるだけ高くならないように解釈をと指摘したとおりです。
与党修正案担当者は、禁止行為と比較してより穏やかな規制、不遵守があったとしても謙抑的、慎重に行政権限の行使がされるのが相当などと述べましたが、我々は、統一協会の十分に配慮したなどの弁解を断じて許してはなりません。
債権者代位権の特例についても、本人がマインドコントロールされ取消し権を行使しないとき、家族が取り消す立証は難しいことは明らかです。取り戻せる範囲も僅かな扶養義務の範囲に限定され、法定代理人である親の同意が期待できない未成年の子の保護は極めて困難であるなど、重い課題は残ったままです。
また、取消し権の行使期間は、民法の原則どおり二十年とすべきです。
小川さゆり参考人が、二世被害者から寄せられたアンケートも踏まえ、自分の経験を話すだけでも深く傷つき、皆が体調を崩しながらも訴え続けてきました、それは、政府が本当に動いてくれるのか信じられない、被害拡大の張本人の与党側にそのような動きが見られないから被害者がそこまでやるしかなかったという事実を忘れないでいただきたいですと訴えたことを、私たちは絶対に忘れてはなりません。
福岡地方裁判所で初めての不法行為判決が勝ち取られたのは一九九四年のことでした。日本弁護士連合会は、既に、一九九九年、宗教的活動に係る人権侵害についての判断基準を示していました。そこからでも四半世紀以上がたちます。
岸田総理は、自民党と統一協会の癒着によって被害を拡大させた責任をどう考えるかと問われ、最後まで答弁を避けました。その根本には、岸信介元首相以来、統一協会と、反共、改憲、ジェンダー平等への敵対で一致し、相互に利用し合い、重大な人権侵害の後ろ盾、広告塔になってきた、半世紀を超える深い癒着があります。その中で生まれ、人権侵害にさらされ、声を上げられずに苦しみ続けてきた多くの被害者の方々の苦しみを思うと胸が詰まる思いがいたします。
政府は、速やかに統一協会の解散命令を裁判所に請求すべきであります。
また、相談窓口に寄せられている今日の被害の実態を責任を持って取りまとめ、国会へ報告すべきであります。
二年の見直し期間を待つことなく、我々国会がこのまま統一協会問題の議論を正面から続け、全ての被害者の全面救済の方策を具体化していくことを同僚議員の皆さんに呼びかけ、反対討論といたします。(拍手)