○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。小泉大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、柿沢前副大臣の辞任について大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、十月三十一日の朝に電話をしたと、それから、参議院の予算委員会の休憩中のお昼過ぎ、面会を直接されたということなのですけれど、その際に、前副大臣は江東区長選挙において違法な有料ネット広告を区長に提案していたということを大筋認めていたのではないのでしょうか。
○国務大臣(小泉龍司君) 私から確認しましたのは、新聞記事が出ていますよと、これはどういう経過ですか、実際インタビューがあったんですかというような趣旨のことを尋ねまして、そして、これは間違いなく自分がインタビューを受けて、その結果が記事になっているものでありますと、違法性の意識はなかったけれども深く反省していますと、今申し上げたほぼそのとおりお答えがありました。
○仁比聡平君 先ほど来、この件について、国民、そして国会に不信感を与えてしまったという点を反省というかおわびというか、大臣はしておられるんですけれども、この不信感で済むかという、済まないだろうというのが世論だと思うんですよね。
選挙は四月で、七月には公選法違反ではないかという告発もされて、その後、どこかの時点で東京地検特捜部の捜査は始まって、区長の辞職始めとして大きな騒動になっているわけですよね。その途中で、九月の中旬に柿沢さんが副大臣として任命された。それを任命したというのは、つまり、総理と、それから法務大臣が関与されているということになるわけでしょうけれども、その責任が任命権者として問われているわけじゃないですか。
その点について、十一月一日の予算委員会での未定稿をお手元にお配りしておりますけれども、岸田総理は、違法な有料ネット広告を区長に提案していたということなんですねと問う我が党の山添議員の質問に対して、結論ですね、具体的な事案の内容までは承知しておりませんと述べておられるわけですよ。これは、議場はもちろんですし、報道を通じて国民の皆さんの中に、一体何だと、それは。その中身、つまり、副大臣の認識の、副大臣が大臣にお話しになったことの中身を認めて、あっ、踏まえて辞任を認めたのではないのかと、中身は知らないのかという問いに対して、職を辞したいという強い意向が示されているという報告を受けて手続進めたと述べられ、議員辞職については必要ないとお考えかという質問に対しては、私が判断したのは法務副大臣の辞職についてであります、それ以上の判断はしておりませんというのが岸田総理の答弁なんですね。
それで、私は大臣にお尋ねしたいと思うんですよ。
つまり、大臣は、国家行政組織法の十六条に規定されているとおり、法務省の長として副大臣の任免について内閣に申し出るというお立場にある。だから、その朝、昼の面会の様子に基づいて、大臣が、小泉大臣が内閣そして内閣総理大臣に申し出た、報告をしたということに基づいて岸田総理は判断しているんだろうと思うんですよね。ここでちゃんと、公選法違反ですと、の容疑が掛かっていますということが報告されていれば、総理は、具体的な事案の内容までは承知しておりませんなんて、こんな無責任な答弁することなかっただろうと思うんですけど、その辺りはどうなっているんですか。
○国務大臣(小泉龍司君) 当日の朝、前日の取材、当日の新聞記事、そしてその経緯を私は把握し、電話では短い時間でしたので、昼休み、また法務省で本人と会い、深い反省、その事実を、そういう経緯を認め、そして深い反省、そして強い辞意を述べられました。
ですから、一つ一つの記事の中身、こういうふうに書いてあるけどこれは事実か、これは事実かという聞き方はしていないのです。ただ、その記事自体が自分のそのインタビューによって書かれたものである、インタビューも受けた、取材も受けたということは認めておられます。その状況を報告しました。
○仁比聡平君 ということは、この元々の十月三十一日の朝日新聞の朝刊の一面トップの記事というのは、「柿沢副大臣 ネット広告提案 江東区長選「私が勧めた」」という大見出しで、この記事の中には、柿沢さんが、ユーチューブ広告は効果があるからやった方がいいと勧めた、あるいは、実際の広告が出て後に、結構見られていますなどという報告は受けていたとか、あるいは、私が勧めなければ自発的にはやらなかっただろうと述べたなどの柿沢さんの発言が記事になっていて、それを新聞としては、自身がネット広告の利用を木村氏側に勧めたと証言したというまとめがされているんですけど、こうした記事が柿沢さん自身の認識と一致しているんだと、そういう確認をしたということですよね、大臣。
○国務大臣(小泉龍司君) 取材を受けて、その結果、そういう新聞記事が今朝出ているということを認めています、私が聞いたやり取りの中で。ただ、この記事、こういうふうに書いてあるよねという、文章を読んで確認しているわけではないんですけど、記事全体が間違いなく取材の結果掲げられた記事だということは認めているわけです。
○仁比聡平君 いや、だとですよ、その岸田総理の、この具体的な事案の内容までは承知しておりませんというこの答弁ぶりというか、これはちょっと私はあきれましたけど、議場にいて。これ本当、余りにも無責任じゃないですか。任命責任を感じるとはおっしゃっているけど、だけど取らないと。あなたの責任でしょうと、大臣、言いたくなりません。
○国務大臣(小泉龍司君) 新聞記事にどう書いてあるか、総理がまたどういうふうに認識されていたか、私はよくそこは存じ上げませんので、何ともコメントはできません。
○仁比聡平君 本当に任命責任というものを一体どう考えている政権なのかということがやっぱり今も問われ続けていると思います。
また引き続きは別の場にするとして、私からも、八月四日に前齋藤大臣が記者会見をされた、送還忌避者のうち本邦で出生した子供の在留特別許可に関する対応方針についてお尋ねをしたいと思います。
これまでに御答弁があっていますけれども、この方針に基づいて、入管庁は、各地方入管が、この子供たちとその家族というその対象の世帯に電話で連絡を取って、入管庁に学校に行っているという状況を示す資料、例えば通信簿とか、そういうものを持ってきてくれと。で、私がレクで尋ねると、それ持ってきてもらって話を聞くというふうにされているということなんですけれども、次長、そのとおりでしょうか。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
今回の方針の対象となる御家族に対しましては、地方入管局において対象となる家族に順次御連絡して、地方局に出頭していただく日時の調整をいたします。また、出頭時に子供さんの就学に係る疎明資料の持参をお願いいたします。また、出頭時に生活、最新の生活状況や家族事情などについて聞き取る面接を実施しているところでございます。
○仁比聡平君 そうした家族状況などの、あるいは生活、最新の生活状況を聞き取る意味についてですね、前国会のこれ五月二十六日の予算委員会でのこれもまた岸田総理の答弁なんですけど、家族関係や人道上の配慮の必要性などを考慮して適切に判断をすると、それが齋藤大臣が当時述べていた方向性だったからだという、そういう発言をしておられるんですね。
だから、今のその状況を聞かないとそれは分からないと。今の状況をちゃんと聞いて、適切に人道的に判断しようということを具体化したのがこの八月四日の方針だということだと思うんですけれども、ところが、その方針表明から三か月たちましたけれども、私が聞く限り、対象になっているはずの世帯なのに、つまり、うちの子は日本に来て生まれて、で、学校に行っているという、なのに何の連絡もないという御家族がたくさんあるんですよ。
あるいは、仮放免という地位のときには定期的に地方入管に出頭しなければなりません。次に来るときに通信簿持ってきてくださいという電話はあったけれども、だからそれ持っていったけれども、渡したけれども、渡しただけで何の話も聞かれずに仮放免期間を延長されただけだという方々も幾人もいらっしゃるんですよ、私が聞く限りで。
で、周りには、この取組によって在留特別許可を受けたという、そういう人は一人もいないと。たくさん子供はいるし、非正規滞在の方々がたくさんいるんだけれども、そのコミュニティーの中で一人も聞いたことがないということがこの十一月の中旬にありまして、そうなると、一体これどうなるんだと。期待して待っているのに、このまんまの状態で、先ほど来議論があっているように、来年六月にも新法が施行されて、そうしたら難民申請中でも三回以上になったら送還停止効は剥奪されてしまう。このまんま結局ずるずる行って、で、強制送還されるんじゃないかと、そういう不安や恐怖というのがじわじわ広がってきているんですよね。
このことについて、齋藤前大臣との五月の議論を思い起こすんですけれども、例えば五月の二十五日に、齋藤大臣、こう述べています。私が、閣法によって送還停止効がなくなってしまうと、三回目以上になると、その子たちが、今度面会に行ったら収容されて送還されるんじゃないかという恐怖の中にある、だから急がなきゃいけないのではないかという私の問いに対して、齋藤大臣は、同じ思いでありますと答弁されました。同じ思いであります、御指摘のようなことにならないようにしっかり検討していきたいと思っています。
この大臣答弁の趣旨にもとるようなことがあっては絶対にならないと思うんですよね。
小泉大臣、いかがですか。
○国務大臣(小泉龍司君) 入管法が改正される以前の状態においては、政府の手当てが、措置が不十分であったために在留が長くなって、日本で生まれ、小学校に入るというか、学校に行く、そういう家庭ができて、そして入管法の手当てを今までしていなかったということにおいて、我々がやるべきことがあるんだろうという齋藤大臣の判断でこの措置がとられているわけです。
ですから、まずその入管法の施行ですね、これはまだ決まっていませんけれども、少なくともその施行、予想される施行日にはもう全てその手続を終わっているというのが基本にはなるんだろうと思います。今、鋭意進めています。
そして、その先頭集団というんですか、同時並行で二百一人の方の審査は、これは難しいのでおのずと後先ができます。内容によっても時間が掛かる案件とそうでない案件もあると思います。一定のこの幅の中で、先頭、先頭集団はもう許可が下りています。それがまた通知をされ始めています、まだ少ないと思いますが。その後の、その後のその進捗状況をつまびらかに私はまだ見ていませんけれども、それに続く形で許可を出していくという体制で今進めていますので。
しかし、不安があるというお話も今承りまして、なるほど、何も通知がなければ、動きが見えなければ、このままほごにされちゃうんじゃないか、そういう不安生まれますよね。ですから、そういう御指摘もよく踏まえて、極力急いで、極力また公平にしっかりと進めたいというふうに思います。
思いは齋藤さんと変わっていないです、全く変わっていないです。
○仁比聡平君 齋藤前大臣と思いは変わらないと、先ほどの、今の小泉大臣の答弁は私も信頼したいと思うんですよ。なんですが、これまでの日本の入管行政、在留管理の在り方、なぜこれだけの子供たちが在留資格を持たずにこんなふうに大きくなっているのか、生活しているのか、そうならざるを得ないのか、それを一くくりに送還忌避者と呼んで、難民申請中なのに送還停止効を奪ってしまうという法律が成立するのかというところにやっぱり大きな核心があるんですよ。
今、大臣の御答弁の中で先頭集団というお話がありましたから、複数の世帯ではあるんだろうなというふうには思います。その数はお答えできないというのが先ほどの答弁でありましたから、そこはあえて聞きませんけれども、三か月たって連絡がないっていう事態は、私はこれはあり得ないんじゃないかと思っているんですね。だって、日本生まれで学校に行っている子というのが入管庁が言う二百一人だとしたら、その中には兄弟姉妹もいるわけですから、世帯の数だと二百にはいかないですよ。
次長、何世帯なのか、それから地方入管ごとにどれぐらいの規模なのか。恐らく東京入管がたくさんいるだろうと思うんですけど、ほかの入管だったらもっと少ないでしょう。どういう数字になっているんですか。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
お尋ねの世帯数につきましては、恐らく世帯という用語を同一の居住地で住まわれている御家族というような御想定で利用され、お話しいただいたものと存じますけれども、面接の結果、両親の離婚などの事情により変動が生じている場合があり、これを事前に正確、これらの事情まで事前に正確に把握することが困難であるため、世帯、現在時点把握している世帯数をお答えすることは困難でございます。
○仁比聡平君 つまり、数として私たち国会に、この委員会に示すことはできないとおっしゃっているんですよね。大臣、これおかしいと思いません。世帯数は少なくとも限られているでしょう。それは、この間に離婚されたとか、あるいは新しく赤ちゃんが生まれたとか、そういうおうちありますよ。あるいは、学齢にぎりぎり近づいてきていて、施行まで、つまり来年度ですね、学校に上がるという子が生まれます、出てきますというおうちだってありますよね。そういう個別の事情をきちんと聞いていくという本当に丁寧な取組が人道的な配慮と判断の前提になるのであって、それが三か月たってどういう進捗をしているか答えられませんというのはおかしくありませんか。
私は、今申し上げている世帯数、それから、そのうち連絡が取れた世帯数、で、ヒアリングすると、連絡が付いていない世帯があるというお話もあります。それがどうなっているのか。それから、連絡は付いたんだけれども、入管庁においでになっていない家族というのもおありだということなんですよね。
そうした実態を、大臣、きちんとつかんでいただいて、これ大臣の判断になるわけですから、きちんと速やかに進めるということがとても大事だと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(小泉龍司君) おっしゃる点、よく分かります。我々も一件一件丁寧にやっているわけでありますけれども、しかし時間が掛かり過ぎている、あるいは、あらかじめ電話しておけばそういう不安が生じない、そういう問題もあろうかと思います。
私自身が把握をして、そして、なぜこれ以上早くできないのか、もっと皆さんを安心してもらえる方法はないのか、より良い方法がないのか、そういう観点から、私がこの状況を直接把握して善処したいと思います。
○仁比聡平君 今の大臣の御答弁のとおり御努力いただくと同時に、委員長、この委員会にも、今、先ほど申し上げた項目の数字を提出をいただくように理事会で協議いただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○仁比聡平君 なぜ急がなきゃいけないかということのもう一つに、先ほど牧山理事の御質問の中にもありましたけれども、この十一月の中下旬から十二月、年内、年末が迫ってくるという時期が、子供たちとその家族にとってどんな時期なのかということがあるんですよ。
この二学期の半ばになって、年末、クリスマスになるよねというときというのは、つまり進路を決めていく時期ですよね。進路を決めるというのは、日本人の子にとってもですよ、志望校を決めて受験してという大変な時期ですけれども、この非正規滞在の子供たちにとっては、例えば中学から高校に進もうという子供たち、進む年になる子供たちにとっては、学費が払えるのかと、そういう話になってしまうんですよ。あるいは、高校を更に進んで大学とかあるいは専門学校に進学しようという世代の子供にとっては、本当に学費、あるいはそうではなくて就職かと、就職したいと思っている子も、仮放免というのは就職できないでしょう。その人生の壁に、もう本当に正面にぶつかってしまう時期なんですよ、この秋が深まる時期というのは。
このときに、急いでこの子供たちのもう安心や希望を見出せるようにしていかなきゃいけないというふうに思いますけど、大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(小泉龍司君) おっしゃる事情もよく踏まえて、きめ細かく最善を尽くしたいと思います。
○仁比聡平君 その仮放免の実態について、さきの国会で北関東医療相談会、AMIGOSの長澤参考人が御紹介いただいた資料を皆さんにも改めてお配りをいたしています。
仮放免の実態というのは、入管庁が送還忌避者と呼ぶ、令和四年末でいえば四千二百三十三人のうちの大半を占めるんですね。その実態について、大方が、つまり八七%が二十歳から五十歳までの、二十代から五十代の働ける年齢層の人たちだと。この人たちの就労を禁止しているというのが仮放免なんですよね。大黒柱の就労が禁じられているわけですから、収入がなくて食料の確保が困難、住居の維持確保が困難、水光熱費、家賃は滞納している。医療を受けられない、住民票がなく、健康保険にも入れないということで医療が受けられない。そうした中で子供たちがどうなっているかと。教育を受けることが困難な子供たちというのがたくさんいるわけです。当然ですよね、お金がないんだから、稼いじゃ駄目って言われているんだからそうなりますよね。
次長、伺いますが、これまでのこの二百一人の取組の中で、学齢期になっている、日本で生まれて学齢期に達しているんだけど学校に行っていない子供というのが把握されているのではありませんか。
○政府参考人(丸山秀治君) 申し上げます。
今、私ども、順次地方局からこの二百一人の案件が私どもに送られてきて判断を、順次判断しているところでございますけれども、基本的には学齢期の方は学校に行っていらっしゃるという認識でおります。少なくとも、その二百一人の今手続を私どもが進めている方についてでございますけれども。
○仁比聡平君 つまり、地方入管から本省の部局にちゃんと上がり切っていないのかもしれないですね。それが今の到達点なのかもしれません。
大臣、実際にいらっしゃるんですよ。特に高校は学費が掛かりますし、なかなか難しくてというので、進まなかったりあるいは中途でやめざるを得なくなったりという子たちがいますよね。義務制の小中学校でも、例えば弟、妹たちの世話とか親の日本語通訳、子供たち、すごい日本語上手というか日本語が母国語みたいになっていますから。そういうことで、学校には行っていないとかあるいは行けていないとか、ほかの子供たちと同じように部活だとか修学旅行だとかいうのを、お金が掛かることはできなくなったりとかしてつらい思いをしたりする子たちもいっぱいいる。
そういう中で、学校に行けていないとなればですよ、これ仮の話でもいいですけど、次長、これ、大臣、今回のこの八月四日方針の対象外ということになるんですか。教育を受けている子となっているでしょう。受けていなかったらこれ対象外だなんて、そんなひどい話ないでしょう。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
今回、八月に齋藤前大臣が御表明された基本方針は、現在、小学校、中学校、高等学校へ通っておりということで一つ大きな柱を示されております。
また他方、ここにございますように、その他総合的に判断しても、総合的に考慮して判断していくということも併せて表明しておりますので、個々の事例に沿って最終的には判断をさせていただくということになろうかと思います。
○仁比聡平君 つまり、この八月四日方針にそのまんま文言どおりだと当てはまらないということを前提に今、次長、しておられるわけですよね。だけれども、そこには当てはまらないからといって認めないわけじゃない、個別人道的な状況もつかんでちゃんと判断していくんだとおっしゃっているわけですよ。私、そのことは、日本で幼い頃やってきて育った子、それから、仮放免のまま大きくなって十八歳は超えて、日本の法律でいえば成人になった子なども、あるいは学齢前の乳幼児のいる家族なども私同じだと思うんですよ。
この先ほどの仮放免者の実態の表を、図をちょっと見ていただければと思うんですが、五枚目のところですね。そういう仮放免者が、AMIGOSの調査で、五年以上が八四%いる、中には三十年以上の方もいるという図があります。これ、先国会で与党の皆さんにも御努力いただいて入管庁に出していただいた五月二十三日の資料でいうと、四千二百三十三人の送還忌避者全体の中で五年以上という方が四三%もいらっしゃるんですね。五年、十年というのは帰化だったり永住の要件ですから、基本的には、極めて定住性が高い人たちが半分近くいるわけですよ。加えて、日本で生まれただけじゃなくて日本で育った子も含めて子供の数を見ると、五年以上いる子が九二%もいるんですよ、子供とその家族を合わせると。
つまり、先ほど申し上げたような絶対的貧困、無権利という状態の下で、五年以上、十年以上育って、子供たちは大きくなっている。十八歳以上になった子が、例えば今大学に、支援者の学費の応援で勉強しているという人います。だけど、この仮放免のままだったら就職できないでしょう。そうしたら、もう先の人生ないので、見えないんですよ。
そんな絶望させちゃいけないということが今回のこの方針の趣旨なのであれば、私は、直接はこの対象にならない、小中高の教育を受けているというふうにはならなかったり、学齢前だったり後だったりしても、私は、その趣旨は同じなんだから、大臣が人道的な配慮で判断をして在留特別許可を出すべきだと、日本で安心して暮らしていける、そういう在留資格を出すべきだと思いますけれど、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(小泉龍司君) この二百一人、このスキームに入らない方々においても、おっしゃるように、在留特別許可の許否判断の対象になります。しかし、あらかじめ、必ず許可できますということまでは申し上げられません。個々のケース、やっぱりこれは一つ一つの丁寧な審査と判断が必要になります。在留出入国管理という大きな大きな法的な安定性がもう一方にありますので、それ全部捨て去るわけにもいかない。それを前提にしながら、極力個々の子供たちを救っていく、極力個々の家庭を救っていく、そのための知恵を私も出したいと思います。
○仁比聡平君 ありがとうございました。
在留管理の安定性というけれども、それが差別と排斥になっちゃ駄目なんですよ。それを取り払って、保護と共生という大きな転換が今大臣に問われているし、私たち国会に問われているということを強く申し上げて、今日は質問を終わります。