○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
平口大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
大臣、所信挨拶で、かつてない位置付けで出入国在留管理行政の強化を強調されたわけです。ところが、難民鎖国と批判をされてきた我が国の難民認定率は二〇二四年で二・二%と更に下がりまして、極めて低いという状況にあります。
そこで、まず、同性愛者であることを理由に出身国で迫害され、我が国に難民認定が求められたという事案についてお尋ねしたいと思います。
お配りしている一枚目の資料は、二年前の入管法改定審議の際に弁護士の渡邉彰悟参考人が配付された資料からですが、これ、ウガンダ国籍のレズビアンの当事者が、その次のページにあるように、レズビアンであること、本国で同性愛が違法とされている、これは当時終身刑だったんですが、その後、死刑という法律にこの審議をしていた時期に変わりました。三か月身柄拘束を警察からされて暴行を受けたなどを示して難民申請をしたんだけれども、一次審査で不認定にされ、不服申立てであるところの審査請求を申し立てた。そのときに口頭意見陳述を求めたんだが、参与員の判断で口頭意見陳述は行わないということになったという事案なんですね。
一枚目の通知書を見ていただいたら分かりますが、申述書に記載された事実その他の申立人の主張に係る事実が真実であっても、何らの難民となる事由を包含していない、あなたが言うとおりであっても難民ではないという驚くべきインタビュー拒否の理由が示されているわけです。
この不認定、難民にしないという処分は裁判所によって取り消されました。難民該当性が、当然ですが、認められました。そのことについて、入管はどう認識していますか。
○政府参考人(内藤惣一郎君) まず、前提としまして、個別の事案については、裁判所の判断に係る出入国在留管理庁の認識を含めて、お答えを差し控えさせていただくところでございます。
その上で、あくまで一般論として申し上げれば、委員御指摘の難民手続におけるインタビューにつきましては、出入国在留管理庁としても、適切な難民該当性の判断を行うためには非常に重要であると考えておりまして、例えば、難民認定等事務取扱要領におきましては、難民調査官は原則として申請者又は関係者に対して面接による事情聴取、これを行わなければならないということとしております。
もっとも、例えば、国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランにおいて類型化することとした難民条約上の迫害、これに明らかに該当しない事情を主張しているB案件におきましては、案件によっては、申請書の記載内容や最新の出身国情報等に基づき判断できるため、申請者へのインタビューを行わない場合もあるということでございます。そういう場合にインタビューを行わなかったとしても適切な保護に欠けていることはないと考えられるため、出入国在留管理庁としましては、難民認定手続全体において一律必ず申請者等へのインタビューが必要であるとは考えておりません。すなわち、インタビュー、極めて重要でございますが、やはりケース・バイ・ケースという側面はあろうかというふうに考えております。
いずれにせよ、出入国在留管理庁としましては、保護すべき者については、きちんと引き続き迅速かつ確実に保護してまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 いや、驚くべき答弁なんですよね。インタビュー、重要だと言いながら、やらなかった、不認定にした。で、裁判でどう判決されたか。大阪地裁はこう言っています。
原告がレズビアンであることを理由に、警察官らに逮捕、勾留され、棒で殴られるなどの暴行を受け、相当な傷害を負ったにもかかわらず、敗血症に至るなど重症化するまで、相当長期間にわたって、適切な医療を受けられないまま、身柄を拘束されていたことが認められることからすると、原告がウガンダに帰国すれば、同様に、原告がレズビアンであることを理由に警察官らに逮捕、勾留され、暴行を受けるおそれがあると言えるので、通常人が原告の立場に置かれた場合にも上記のような暴行を受ける恐怖を抱くような客観的事情が存在すると言える。
これは、難民条約、あるいは入管が一般論として難民認定の手引として出している、そうした難民該当性に当たるというのが判決ですよ。だから確定したんですよ。
私が問うているのは、裁判所が原告、難民申請者のお話を丁寧に聞いて、吟味をしていく、その下で、ウガンダという国、あるいはアフリカ諸国のこうした出身国の情報をしっかりと吟味をするということをした結果、こうした難民該当性の事実が認定されるでしょう。ところが、入管庁は、その話も聞かずに不認定にして、追い返そうとしたわけでしょう。そこに反省はないんですかということなんですよ。
というのは、チュニジア国籍のゲイの当事者に関して同じように難民認定が求められた事案がありますが、二〇二四年七月に大阪地裁が難民該当性を認める判決を出しました。ところが、国、つまり入管庁は、これに対して控訴して、今年の二月に大阪高等裁判所から、いや、何を言っているんだといって、難民として該当するんだという判決を受けているわけですよね。つまり、二年前に入管法改定を審議したときに厳しく指摘をされました、このインタビューの重要性というのは。ところが、何の反省もなく、今年の二月まで争い続けている。全く変わっていないということなんじゃないですか。
そこで、数字をお尋ねしたいと思うんですが、二〇二〇年以降、つまり、この五年間ですね、審査請求で口頭意見陳述の申立てが行われたという事案について、実際に口頭意見陳述が実施された事案、これは各年何件ずつありますか。
○政府参考人(内藤惣一郎君) お答え申し上げます。
二〇二〇年、令和二年中に不服申立てに対する裁決、決定がなされたものにつきまして、口頭意見陳述を申し立てたのは二千五百五十一人であり、このうち口頭意見陳述等期日を実施したのは五百十三名でございます。
二〇二一年、すなわち令和三年中に不服申立てに対する裁決、決定がなされたものにつきまして、口頭意見陳述を申し立てたのは三千四百五十二人であり、このうち口頭意見陳述期日を実施したのは、済みません、今私、数字間違えて読んだようで、失礼しました。今、三千四百五十二と申し上げたのは三千五百四十二の間違いでございます。大変失礼いたしました。このうち、口頭意見陳述等期日を実施したのは七百十九人でございます。なお、このとき、口頭意見陳述を申し立てていないものの、難民審査参与員による質問等を行うための口頭意見陳述等期日を実施したのが一名ございます。
次に、二〇二二年、令和四年中に不服申立てに対する裁決、決定がなされたものについて、口頭意見陳述を申し立てたのは千九百七十二人であり、このうち口頭意見陳述等期日を実施したのは六百七十四人でございます。なお、この年も、口頭意見陳述を申し立てていないものの、難民審査参与員による質問等を行うための口頭意見陳述等期日を実施したのが二名ございます。
次に、二〇二三年、令和五年中に不服申立てに対する裁決、決定がなされたものにつきまして、口頭意見陳述を申し立てたのは千二百二十名でございまして、このうち口頭意見陳述等期日を実施したのは三百八十一人でございます。この年も、口頭意見陳述を申し立てていないものの、難民審査参与員による質問等を行うための口頭意見陳述等期日が実施されたのが三名ございます。
最後、二〇二四年、令和六年中に不服申立てに対する裁決、決定がなされたものにつきまして、口頭意見陳述を申し立てたのは千五百八十四名でございます。このうち、口頭意見陳述等期日を実施したのは四百五十一人でございます。なお、口頭意見陳述を申し立てていないものの、難民審査参与員による質問等を行うための口頭意見陳述等期日を実施したのは六名、この年もございます。
○仁比聡平君 もっと短く答弁はできるはずです。
つまり、多く実施したときでも七割近く行っていないんですよ。実施したのが二割、三割程度というのがこのインタビューの現実なんですね。
このインタビューの重要性について、二年前の法案審議の参考人でUNHCRで三十年ほど経験を積まれた小尾尚子参考人は、このようにおっしゃいました。その人がどうして日本に逃れてこなくてはならなかったかということを事実の基に引き出すという、きちんとした難民認定の基準、そして難民認定の面接の仕方、信憑性をどのように捉えるか、その人のしぐさ、表現の仕方、そしてその人がおっしゃっている内容を評価していくか、分析していくか、経験とそれから非常に深い洞察力というものが必要になってくると思いますというふうにおっしゃっていて、難民認定におけるインタビューというのはそういう力が必要なんですよね。専門性を求められるわけですよ。
ところが、話も聞かずに不認定にして、裁判でそうした事実が認定されて該当性が明らかにされたら、これまで入管は裁判に出てきた証拠でそうなったんだからといって、自分たちが一体難民審査でどんな話を聞いてきたのか、どう出身者、出身国情報を吟味してきたのかということについて全く無反省と言わざるを得ないと。
大臣、今、日本の難民認定行政というのはそんな実情にあるんだと思います。だからこそ、これまでの入管行政から独立した難民認定機関を私たちは求めてきたわけですね。
こうした下で、今年の夏、つまり不法滞在者ゼロプランが発表された後ですけれども、両親とともにきょうだい三人が護送官付国費送還をされました。高校三年生のお兄ちゃんは大学の推薦入学が決まっていた、教師を目指していたんです。中学校一年生の妹さんは、バスケの部活で練習試合から家に帰ってきた、帰宅したところを待ち受けていた入管職員に連行されました。
大臣、日本に生まれ育った子供たちの学ぶ権利を奪う、人生、進路に重大な障害をもたらすというこうした強制送還は、私は、二〇二三年の法案審議で当時の齋藤大臣が繰り返した子供の保護は大事な問題だという答弁だったり、その年の八月に示された子供と家族の在留特別許可を与えていく方針だったり、それから、その後、令和六年三月に在留特別許可ガイドラインが改定されました。ここではこんなふうに言っているんですね。本邦で家族とともに生活をするという子の利益、その間の生活の中で構築された日本人の地域社会との関係、本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受けており、本国で初等中等教育を受けることが困難な事情などを積極的に評価する。つまり、在留特別許可を与える方向で積極評価をすると書いてあるんですよ。
実際、そうでしょう。小ちゃい頃に日本に来たと、あるいは日本生まれだというので、母語は日本語です。例えば、親がクルド語を話すからクルド語は何とか話せますけれども、トルコ語は話せませんという、そうした子供を強制送還したら、教育の継続なんてできるわけがないじゃないですか。一体その子の人生どうなるんだということが問われていると思うんですが、こうした政府の積み重ねてきた方針にも子供の強制送還というのは反するのではありませんか。
○政府参考人(内藤惣一郎君) 個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただきますが、その上で、一般論として申し上げますと、令和五年改正前の入管法の下で迅速な送還を実現することができなかった子供のうち、齋藤大臣の措置でございますが、本邦で出生し、小学校、中学校又は高校で教育を受けており、引き続き本邦での生活を希望する子供について、親に看過し難い消極事情がある場合を除き、このときに限り家族一体として在留特別許可をする方向で検討すると、これが齋藤大臣の示された方針であったわけでございます。
また、在留特別許可をするかどうかの判断については、従来より、個別の事案ごとに、在留を希望する理由、家族関係など諸般の事情を総合的に考慮して適切に行っていますところ、その際には、在留特別許可に係るガイドラインに記載しているとおり、日本で家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性や、本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受けているなどの事情は積極要素として我々も考慮しております。
もっとも、委員御承知のとおり、ガイドラインに記載しておりますとおり、在留特別許可の許否の判断におきましては、入管法第五十条第五項に規定する各考慮要素に、考慮事情に認められる積極要素、これに加えまして消極要素、これも総合的に考慮して行うものでありまして、積極要素が存在するからといって必ず在留特別許可がされるというものではございません。
したがって、御指摘のような場合が一般的にあるとしても、個別の判断ではございますが、必ずしも在留特別許可ガイドラインの趣旨に反するという指摘は当たらない場合があるものと考えております。
○仁比聡平君 いや、私は、在留特別許可を出してふさわしいんじゃないかと思います。
齋藤大臣の方針について、親に消極要素がある場合というのは確かに書いてありますよね。けれど、個別しっかりと事情を総合的に判断したときには在特を与えることはあるという方針なんですよ。で、実際にそうやって与えられてきた家族もあるんですよ。
ところが、一体何でこの子たちは強制送還なのかと。ちなみに、この家族の父親は空港でトルコ警察に引き渡されて尋問されることになりました。ほかに、空港でそのまま向こうの、つまりトルコのですね、警察に逮捕されたという方々もあって、やっぱり難民だったんじゃないのかという大問題なんですよね。ノン・ルフールマン原則に反するではないかという厳しい指摘があっているところなんです。
大臣、大臣に今度はお尋ねをしたいんですが、そうした非正規滞在の子供たちが不法滞在者ゼロプランに関してアンケート活動を行いました。そこにこんな記載があります。日本で生まれ育った子供が違法な存在とされるのかというテーマについて、生まれたことが罪なの、そんなわけないでしょうと。別の子供はこう言っています。日本で生活して学校に通って友達もいて、心は日本で育っているのに、違法と言われるのは正しくないと思います、生まれた場所よりもその子がどんなふうに生きているかを大切にしてほしいと思います。日本で生きるとは何ですかという問いに、こう答えている子がいます。自分の努力と心で築いていた、築いてきたこの場所で人として尊重されながら生きることと。
大臣、この子たちが日本人や日本社会の安全や安心を脅かしているとでも言うのか。こうしたことはどう受け止めますか。
○国務大臣(平口洋君) 様々な御意見があることは承知しておりますが、それらについてコメントすることは差し控えたいと思います。
その上で、先ほど出入国在留管理庁次長が答弁したとおり、在留特別許可をするかどうかの判断については、従来より、個別の事案ごとに、在留を希望する理由、家族関係など、諸般の事情を総合的に考慮して適切に行っているところでございます。その際、日本で家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性や、本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受けているなどの事情は、積極要素として考慮しているところでございます。
引き続き、適切に対応してまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 子供たちのこうした暮らしを積極要素として判断してきた、している、つまりこれからもしていくということなんでしょう。その答弁のとおりにならないとおかしいんですよ。
大臣、様々な御意見があるというふうにおっしゃったんですが、私は、様々な意見があるんじゃなくて、現実にそういう子たちがいる、非正規滞在の方々の中にはいろんな人がいるということを前提にしなかったら、行政なんて成り立たないと思います。
お手元の資料の七ページ目に、政府が不法滞在者というふうに呼ぶときに新聞報道などで七万数千人みたいな数字が出るので、一体これは何の数字だと聞いたら、不法残留者のこと、数字を、私、紹介いただきました。左下にありますね、七万四千八百六十三人、これが令和七年一月一日現在だと。
元の在留資格、見てください。短期滞在、それから、次いで技能実習が一万千五百四人ですよね。特定活動が七千五百六十九人。これ、これまで大問題になってきた失踪、つまり受入れ機関側の人権侵害などによって実習継続が困難になったという外国人労働者たちもたくさん含まれているんだと思うんですよ。本来、在留特別許可や難民認定や、あるいはミャンマーなどの緊急避難措置で保護すべきだし、現に入管は保護してきたと思います。
ちょっと時間が迫ったので、一問聞いて終わりたいと思うんですけど、過去も、二〇〇四年から不法滞在者五年半減計画というのが行われました。この計画は、平成十六年の一月時点で二十一万九千四百十八人いた皆さんの言う不法残留者、滞在者が、平成二十一年の一月時点で十一万三千七十二人までほぼ半減したという効果を上げたとされているわけですけれども、そのうち、在留特別許可が出されることによって適正な在留資格、正規の在留資格を得ることになったという人数は何人ですか。その点だけお答えください。
○委員長(伊藤孝江君) お時間になりましたので、答弁を短くお願いいたします。
○政府参考人(内藤惣一郎君) 平成十六年から平成二十年までの五年間に在留特別許可をした件数は、四万九千三百四十三件でございます。
○委員長(伊藤孝江君) おまとめください。
○仁比聡平君 保護すべき者を保護するということはやらずに、国費送還などで人道に反する強制送還一本やりというのは、非正規滞在者に対する差別と排外主義を助長することになると、そんなゼロプランやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。