○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
今日は、まず技能実習生の失踪のことについてお尋ねしたいと思います。
お配りをしている資料の二枚目に入管庁の資料をお配りしましたけれども、技能実習法の施行がされた平成三十年から数えましても、平成三十年に失踪者の総数は九千五十二人、令和元年で八千七百九十六人、令和二年五千八百八十五人、令和三年七千百六十七人、そして令和四年九千六人と。これ、失踪者と言っているのは、行方不明であるということで技能実習の実施困難時届が出された者ですけれども、この技能実習法施行後の五年間取ってみただけで三万九千九百六人に上ると。
この表の読み方は、次長、そのとおりでいいんですか。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
表の見方としては、今委員御指摘のとおりでございます。
○仁比聡平君 私、この失踪という問題についての業所管省庁の責任も重いとこれまで繰り返し指摘をしてまいりました。とりわけ、農業、建設という分野で今日も両省おいでをいただいているんですけれども、ところが、これまで関係する業所管省庁にはこの失踪という届出がその都度個々には共有されないということで来たんですよね。三月の予算委員会で農水大臣御自身がそのことをお認めになって、まあ悔しそうにしておられたと思いますけれども、今後一体どうするのかと。私は、業所管省庁にちゃんと共有すべきだと思います。法案でも、主務官庁、つまり法務、厚労には共有するってなっているんですけれども、農水や国交やそのほか経済産業などいろいろありますけど、共有するということにはなっていない。
そうすると、これまで技能実習で起こってきたように、何で失踪するのかの原因が分からない、まず前提としてそういう事態が起こっていること自体を現場が分からない。そうしたら、再発防止も図れないということになりませんか。大臣、共有すべきじゃありませんか。
○国務大臣(小泉龍司君) 困難時届出には個人情報も含まれるため、その内容を関係機関に提供することについては、個人情報保護等の観点からその必要性や利用目的を確認した上で慎重な検討が必要だというふうに基本的には考えますが、例えば、入管庁と国土交通省との間では情報連携の仕組みを設けて、毎月行方不明となった個々の技能実習生の身分事項等の情報提供を行っております。
したがって、法務省としては、他の業所管省庁の意向に基づいて同様の形で情報提供を行うことができるものと考えております。育成就労制度においても、困難時届出に係る関係機関への情報提供の在り方については、技能実習制度における取扱いを参考としつつ、今申し上げたような取扱いを参考としつつ具体的に検討してまいりたいと思います。
○仁比聡平君 ようやくそういう答弁になってきているんですけれども、プライバシーなどを含むのはこれ当然のことなんですけどね。けれど、個々のこの失踪の原因を明らかにしていくということは、当該当事者の人権回復にとっても当然大切なことなわけですね。
農水省、国交省にそれぞれお尋ねしたいと思いますけれども、これまで、今申し上げているような情報も共有されない下で、しかし現場では、人手不足の現場では人手が欲しいという声がたくさんあるわけじゃないですか。当然、その中でマッチングもうまくいって、うまくいっている好事例というのはつかまれることはあると思うんですね。これを普及するというみたいな取組はしてこられたと思うんですけれども、けれども、闇の部分、つまり人権侵害が起こっている、人がいなくなった、背景にブローカーが悪質な手口で食い物にしているんじゃないかなどの状況について、業所管省庁としてしっかりつかんでいくということがなければ規制のしようがない。不当、悪質な勢力を例えば農村から、あるいは建設現場から排除するためには、業所管省庁の取組というのは極めて重要だと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(勝野美江君) お答えさせていただきます。
農林水産省では、個別経営体からの相談などによって失踪を把握した場合には聞き取りを行い、可能な限り失踪理由を把握するように努めてまいりました。
また、失踪防止のため、農業技能実習事業協議会を通じた現状、課題の共有、相談窓口の設置を行うほか、労務管理上の注意点などを取りまとめたパンフレットや適切な労働条件とキャリアアップや処遇を示した優良事例集、議員御指摘ありましたが、そういったものの周知を図っております。
引き続き、事業協議会などとも活用し、委員御指摘の点も踏まえつつ、入管庁と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○政府参考人(蒔苗浩司君) お答え申し上げます。
建設分野におきましては、入管庁や業界団体等と連携して、事業協議会も活用し、技能実習生の失踪者数や失踪原因等の情報を共有するとともに、失踪防止対策に係る企業の取組等の普及啓発に努めています。
また、本年四月には、入管庁より失踪防止対策に係る三種類のリーフレットを周知するよう依頼があったことを踏まえて、建設業関係団体等に速やかに周知を行ったところでございます。
育成就労制度における対応につきましては、今後、制度所管官庁である入管庁等とも連携しながら検討してまいります。
○仁比聡平君 両省がそういう取組をしているのはそのとおりだと思うんですけど、けれど、現実は令和四年でも九千六人でしょう。建設でも農村でも失踪者が多いじゃないですか。そのことへの反省はないんですか。それぞれいかがですか。
○政府参考人(勝野美江君) 失踪に係る情報は、個別経営体から、先ほども申し上げましたが、相談などがありましたら把握をして、都道府県、地方農政局などを通じて詳しい状況を確認しているところです。
失踪理由につきましては、明確に特定することが困難な面もありますけれども、実習実施者の不適切な取扱いのほか、技能実習生側の事情によるものもあるというふうに聞いております。
なかなか、現時点で把握している案件というのが少数にとどまっておりますので、この失踪に係る情報の把握、失踪防止に向けた取組について、更にどのような対応が可能か検討してまいりたいというふうに考えております。
○政府参考人(蒔苗浩司君) 事業協議会につきましては、コロナの間少し開催頻度が落ちておりまして、その部分につきましては我々としてもきっちり反省しなきゃいけないと考えてございます。
ただし、今後につきましては、先ほど答弁申し上げましたように、新しい制度になりますので、入管庁等と一層連携を深めましてきちっと対応してまいりたいと思います。
○仁比聡平君 今、農水の方から、把握している事例が少数にとどまっているのでというような、まあ弁明といいますか、というのが出てきているように、入管庁がプライバシーだみたいなことを言って在留資格握っていると。その中で、外国人労働者の言わば政策あるいは雇用というようなことを握ってきたということ自体から抜け出さないと私は駄目だと思います。
一つの例として、一枚目の資料に、特定技能外国人の転籍に関して、特定技能雇用契約書のひな形をお配りをいたしました。
ここに、特定技能雇用契約を締結するんだけれども、この効力が開始する時期というのは従事する活動を開始する時点だと、実際の入国日又は許可日に伴って変更されるものとするというふうにありますよね。
この許可というのは、つまり、特定技能外国人の在留資格を認めたり、あるいは変更したりするときの日のことだと思いますけれども、実は、こうした制度の下で、元雇用されていた企業から別の企業に転籍をしたいということで、もう元の企業との雇用関係は終了したと、辞めましたと、だって次の企業が雇ってくれるということになりましたからという条件になったときに、元企業との雇用関係は終了しているのに転籍先企業での就労が何か月も開始されずに、その間もちろん給料も払われないという形で退去をさせられていると。よく話を聞くと、どうも転籍先企業の生産計画の都合だと。物を作るのに人手が必要だからその人手は確保はしておくけれども、実際に働いてもらうのは必要になったときからだということで、何か月も退去をさせると。
こういうことが、この契約書の形態といいますか、こういう仕組み、特定技能の仕組みからしたら、これ行えるということになりますね。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
一般論として、外国人が雇用契約を締結した後、外国人の上陸許可や在留資格変更許可を受けるまでに一定の期間を要することから、これらの許可を受けた後、受入れ機関と外国人との間で実際の雇用開始日を調整する必要があると考えております。そのため、入管庁のホームページに公表している特定技能雇用契約書の様式では、委員御指摘の雇用条件書に記載の、雇用契約期間は実際の入国日又は許可日に伴って変更されるものとするとの文言を記載しております。その上で、受入れ機関と外国人との間で実際の雇用開始日を調整しているものと承知しており、その調整を行うこと自体、特段法令に違反するものではないと考えております。
その上で、外国人に対し特定技能としての上陸許可や特定技能への在留資格変更許可がなされた後、相当な期間が経過してもなお就労が開始できない状況は、公正な在留管理の観点からも望ましくないものと考えております。入管庁におきましては、受入れ機関からの定期的な届出や外国人からの相談などにより、長期間雇用が開始されていない事案を含めた不適正な事案の把握に努めております。
したがいまして、委員御指摘のように、転籍先企業が自社の生産計画の都合によって個々の特定技能外国人の雇用開始日を移す、ずらすような事案を把握した場合には、事案に応じて指導等の必要な対応を行うこととなると考えます。
○仁比聡平君 指導というのはどうするんですか。その特定技能外国人をもうその企業は雇用できないというみたいなことになるわけですか。あるいは、そこに関わる登録支援機関なんかはどんな制裁を受けるんですか。
○政府参考人(丸山秀治君) 申し上げます。
一般的に、情報等提供としまして、各分野を所管する省庁等に対して特定技能制度の適正な運用に関する、資する情報に関する周知を行っております。
その上で、個別事案につきましては、一部の省庁との間では特定技能制度の適正な運用を図るため情報連携の枠組みを構築しており、必要に応じて所管省庁とも必要な情報共有を行って対応したいと思います。
○仁比聡平君 結局、指導なんて言いながら、情報を共有すると言っているだけじゃないですか。相当な期間といって何か月も待たせることが、現に特定技能外国人から相談があっているから私聞いているんですよ。
名前は今日は申し上げませんが、もし申し上げれば、手の届きやすい価格帯でとてもおいしい人気の大手菓子チェーン、皆さんもびっくりされるんじゃないかと、あっ、だから安くできているのかというふうに思われるかもしれないなと思いますけれども、農水省、パン・菓子製造業の特定技能の分野において今申し上げているような例を把握しておられますか。
○政府参考人(小林大樹君) お答え申し上げます。
農林水産省といたしましては、パン・菓子製造業におきます、御指摘のような、転籍先企業が自社の生産計画の都合によって個々の特定技能外国人の雇用開始日を左右するような、こういった事案につきましては把握しておりませんでしたが、法務省などと連携して、こうした事案を把握した場合には事案に応じて必要な対応を行ってまいる考えでございます。
○仁比聡平君 この数か月、こうした特定技能外国人からの御相談があって、民間の相談活動をしていらっしゃる皆さんはこの解決のためにいろいろ努力をしてこられているということなんですよ。今ほどの議論で、つまり、人繰りの都合で不相当に待たせるというのはこれ不当なことなんだということはおよそお認めになったんだろうと思いますけれども、ただ、これをどうやって正すのか、そのことについてははっきりしない。
大臣、これ、今の議論総合すると、そういうことになりませんか。不当だとは言い、不当だというか、望ましくないと、丸山次長、まずおっしゃいました、指導の対象であるというふうにもおっしゃる。だけれども、これどうやって正すのかというと、特定技能分野を所管する業所管省庁に情報を共有するというようなことをおっしゃるだけなんですね。これでは、特定技能外国人労働者自身が不当に待たされて、その間給料も入らない、もちろん母国への送金もできません、そういう中で、食い物にされると、使い捨てにされるということになるじゃありませんか。いかがですか。
○国務大臣(小泉龍司君) 現にそういうことが起こっていると思われます。起こっているんだとすれば、適切な指導等の必要な対応、この中身をしっかりとさせなければならないと思います。法務省だけで決められるものではないかもしれません。農水省とも連携取りながら、適切な対応、まさに適切だと言い得るものを我々は執行しなければならないと思います。
○仁比聡平君 今回の法案で、育成就労に技能実習を変えて、特定技能に接続すると。このことによって、キャリアアップも図られて、日本で必要な労働者として働いてもらえるんだというふうに趣旨をおっしゃるわけですよね。けれども、その特定技能に引き付ければそれで問題解決かというと、全くそうじゃないということなんです。特定技能自身が安上がりの使い捨ての労働者として扱われているということなんですよ。
だから、そうした外国人労働者の扱いというのはおかしいじゃないかという声だと私は思いましたけれども、せんだっての静岡の公聴会で、建設分野の公述人の方から、外国人労働者の引き抜きのような悪質な人材紹介業が起こり得るのではないかという強い懸念が示されました。
母国からの受入れに当たって、送り出し機関やあるいは監理団体とのいろいろな調整もある。危険な現場で働いてもらいながら、それぞれの技能実習生ですね、今日であれば、これからは育成就労ということになるんでしょう、その一人一人を育てていくという、その建設の現場で、見どころがあるなと、ようやく一人で仕事ができるようになったなというふうに思ったらですよ、そこで、人材紹介業のように、ほかのところにぽおんと引き抜いていく。例えば、今でもですよ、日本人労働者だって、保育や介護なんかの分野で、一人紹介して八十万円、百万円みたいな、そんなことがまかり通っているじゃないですか。
そんなことを許してはならないと、今度の法案でそういうふうになってしまうんじゃないのかという懸念にはどうお答えになりますか。
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
育成就労制度で本人意向の転籍に際して不適切なあっせん、仲介がなされることを防止するために、転籍先の受入れ機関が作成することとなります育成就労計画におきまして、転籍に至るまでのあっせん、仲介状況等を明らかにすることを想定しているところでございます。
その上で、転籍につきましては、当面の間、当分の間、民間の職業紹介事業所の関与を認めないこととし、民間職業紹介事業者が職業紹介していることが判明した場合や虚偽の申請等があった場合には、育成就労計画を認定せず、又は取消しの対象とすることなどを想定しております。
また、転籍支援は監理機関、監理支援機関が中心となって行うこととしつつ、外国人育成就労機構やハローワークといった公的機関も適切に支援することとしているほか、分野別協議会における業界ごとの取組により過度な引き抜き行為などが行われないようにすることなども想定しておりまして、このような様々な対策を講じることによりまして悪質な人材紹介が行われないようにしてまいりたいと考えてございます。
○仁比聡平君 今おっしゃっているような取組は当然行われなきゃならないけども、当分の間と冒頭おっしゃいました。当分の間というのをこれ外せるような状況なんか来ないんじゃないですかね。
別の観点から聞きますけども、法案によれば、転籍に当たって、修得した技能、日本語の能力その他育成の程度というのが要件とされています。そうすると、今日も議論ありましたけども、不当にも、受け入れた育成就労生に対して日本語教育をしないとか、あるいは技能試験には行かせないというような、そういう不当な扱いをする就労先では日本語能力が身に付かないということになる。そうすると、勢いそういう不当な就労先や支援機関の下にある就労生ほど転籍できないということになってしまう。これは根本的な矛盾なんじゃないですか。
特に、人手不足分野って、実は、今の実習生なんかと話していても、人と話をする機会が余りありませんというようなことって結構あります。例えば、農村で収穫の作業をずっとやっていれば、キュウリやナスビと仕事をしているわけですよね。あるいは牛と一緒に仕事をしているということになる。そうすると、日本語って身に付かないんですよ。せんだって、横浜華僑総会の曽参考人が、いや、家族帯同して子供が行っていたら、そうしたら見る見る日本語は上手になるよという話をされていたとおりで。
だから、そういう実習生、育成就労生ほど権利侵害の対象にさらされやすいのに、だけども転籍要件を満たさないことになると。これは根本的な矛盾じゃありませんか。
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
育成就労実施者が転籍をさせないために、今議員おっしゃったとおり、育成就労外国人に日本語を学ばせないとか、技能試験を、技能試験を受験させなかったりすることはあってはならず、そのような場合におきましては、監理支援機関や外国人育成就労機構による指導等が行われることとなるほか、育成就労計画に従って育成就労を行わせていないものとして、育成就労計画の認定の取消し等の対応を取ることもあり得るものと考えてございます。
また、そうした悪質な事情が認められた場合には、やむを得ない事情による転籍が認められるものと考えておりまして、監理支援機関等により適切な転籍支援を行っていただくことなどによりまして、外国人の権利保護を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○仁比聡平君 今のようにおっしゃられるんだろうと思いますし、そうした取組は少なくとも厳しくやってもらわなきゃいけないと思うんですけど、もう皆さんお分かりのとおり、今の御答弁や姿勢というのは技能実習法の下で繰り返されてきたんですよ。今のようにこれまでもおっしゃりながら、この技能実習法施行後だけで四万人近くの方々が失踪しているんですよ。今おっしゃっているようなやり方では不正は根絶できないということなんではありませんか。
にもかかわらず、これは厚労、法務、どちらがお答えになるのか知らないけれども、技能実習法によって監理団体は許可制度に変わりました。ですから、悪質な監理団体はその許可を取り消すという制度が入りました。法案審議のときには、この許可の取消しによって悪質な監理団体は排除すると胸を張りました。
ところが、現に失踪者の数はどんどん増えている、かつ、監理団体に対する許可の取消しというのはこの五年間で四十八件しか行われていません、申し訳ない、七年、度も含めてですが、四十八件しか行われていない。改善命令だって三十二件しかありません。今、実習実施者の認定取消しという話がありましたけど、計画認定の数で言って、取り消したのは六千六百二十九ではありませんか。先ほど見た失踪者、合わせて四万人にも上る。それに対して、余りにもこの許可の取消しや改善命令というのは少な過ぎるんじゃないか。
失踪の原因をしっかり究明して、その責任がどこにあるのかということが明らかになれば、実習先も、それから監理団体も、もっとたくさん処分されていておかしくないはずなんですけど、そこは大臣、どうお考えになりますか。
○国務大臣(小泉龍司君) 適切な監理あるいは許可取消しが行われていたのかどうか、これはよく精査をしていきたいと思います。しっかりと精査をして、間違いがあれば、足りていないところがあれば正していきたいと思います。
○仁比聡平君 今おっしゃる精査は、今もう本当にすぐやらなきゃいけないと思います。
この監理団体に関わって、もう一点。今日も皆さんからお話のあった不当な監理費というものをどう考えるかですけれども、これまでも監理費というのは実費ですと繰り返しおっしゃってきました。技能実習法の審査のときにもそうおっしゃいました。けれども、ついこの間も、月一人当たり八万円という監理費ということが我々の耳に入りましたよね。実習生の受け取る給料、報酬がせいぜい十数万円というようなときにですよ、一人頭八万円という監理費なんて、そんなの不当に決まっているじゃないですか。それが今も認められているわけですか。
というのは、申し上げた監理団体の許可取消しや是正命令の中に、申し上げているような監理費の不当、つまり実費以上を取っているということを根拠にして処分をされた例はどうやらホームページなんかでは見当たらないんですが、いかがですか。
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、これまで監理費の取扱いが不適切であるとして許可取消しや改善命令に至った例はございませんが、機構による改善勧告を行った件数は令和四年度末で、までに約三百五十件であり、随時是正を図らせているところでございます。
○仁比聡平君 今の三百五十件というのは監理費が不相当だという改善勧告なんですね。これはどういう方向での改善勧告をしているんですか。
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
実費相当程度に戻すようにという形の方向でございます。
○仁比聡平君 ということは、実費ではない、取っている監理費は実費を超えているという件、ケースというのは皆さんの中に積み上がっていて、こういうことは許されないというものになっているわけですね。ということになると、一人頭月八万円というのはこれ不相当なんじゃないんですか。
○政府参考人(原口剛君) 議員御指摘の適切な監理費ということの御質問かと思いますけれども、どの程度が実費として適正か、適正と言えるかにつきましては、個々の監理団体やその監理事業の内容次第であると考えており、一概に申し上げることは困難でございます。
○仁比聡平君 改善勧告を出していると言いながら、一概には申し上げられないというのでは、氷山の一角というか、モグラたたきというか、あるいはもたれ合いなんじゃないんですか。
監理団体、監理支援機関がなかったらこういう外国人労働者の扱い方はできないから、だから悪質なものでもお目こぼしをしておられるんじゃないですか。こんなひどいやり方は絶対許されないと私は思います。
ちょっと時間が迫ってきて、もう一問別の問題を聞きたいと思いますが、先ほど、石川大我議員が昨日施行された改定入管法に関して、非正規滞在の子供さんたちの在留資格についてお尋ねになりました。一家族を除いて結論は出ているんだが、入管が特別在留許可、在留特別許可はしないと判断したということでしょうか、については告知はまだしていないというお話を聞いて、ちょっと本当に、余りにむごい、こんなむごいやり方をするのがやっぱり日本の入管だと、ちょっと私、怒りを抑え切れないです。
年末から正月辺りに皆さんからインタビューを受けて、もう六か月、七か月たって、面接は行われたが結果待ち、首長くして待っている人たちがたくさんいるんですよ。周りには、家族も含めて在留特別許可出たおうちがあります。何でうちには、あるいはこの子には来ないんだろうと、うちの子だって日本で生まれたのにと、学校に上がっているのにという方々にそんな仕打ちをするんですか。それで、あれですか、仮放免の延長などの面接、面会、出頭のときにそうやって伝えると同時に、仮放免を取り消して収容して強制送還、そんなことをやろうとするんですか。そんな非人道的なことは許されないですよ。
今日の議論聞いて、私は改めて思ったのは、去年の八月のあの齋藤前大臣の新しい方針というのは、もちろん前向きな一歩ではあったけれども、やっぱり、日本で生まれたかどうか、あるいは学齢期になっているかどうかを要件として線引きをするということがどれだけ非人道的なことかということだと思います。
大臣、ちょっと具体的に申し上げますと、家族みんなで一緒じゃなきゃ生活は成り立たないのに、日本生まれの今中学生になっている男の子にだけ在留特別許可を出して、親は別だと、親は関係ないと、その子に対して言った入管庁の職員がいるんですよ。別の家族は、子供を置いて帰れ、そういうふうに言われたと訴えています。そんなやり方というのは、本当に人道に反して許されないんじゃないですか。
大臣、そういう家族も含めて、先ほどは、新しい在留特別許可の方針が、ガイドラインができているわけで、だから、八月四日方針に限らず在留特別許可を出せないかどうかということを慎重に検討していくということなんでしょう。やっぱり、そういう人道的な判断をこれからもしっかりと行い、速やかに在留特別許可を出すべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(小泉龍司君) それぞれの御家族が置かれた状況は連続的に分布していると思うんですよね。グラデーションのように分布していますから、それを一定の基準で切ったわけでありますので、その手前と奥で、僅かな差だけれども扱いが大きく違うということが起こっているということもあろうかと思います。
そこで、在留特別許可、これを申請主義にしました。そして、要件もより分かりやすく明確化し、ガイドラインも三月に改定をしました。その中で、家族が一緒に住むことの重要性により重きを置きましょうという趣旨も書き込んでありますので、この在留特別許可を柔軟に運用することによって対応できるケースもあり得るというふうに考えています。
○仁比聡平君 一方で、そうした御家族の、特に親御さんは、難民認定申請を複数回重ねていらっしゃる方々が多いわけですね。三回目以降になれば送還停止効を奪うという昨年の改悪を絶対に施行を許すなという声は大きく広がっている中で、施行はされたけれども、現に、実際に強制送還するのかと、これは全然別の問題だと思うんですね。
そこで、先ほど福島みずほ議員もお尋ねになっていましたけれども、改めて確認したいと思いますが、今朝の東京新聞に、入管が不認定とした難民申請者を再審査する不服審査で、対面審査の割合が二〇一九年以降一割前後に低迷し、九割近くの人が書類審査だけで不認定とされているという記事が出ました。この中で、対面の件数は昨年も減り、実施率は一四・八%にとどまるという報道があります。
昨年、つまり、我々が、このデュープロセスや難民条約の審査の在り方からしてこの口頭陳述をちゃんと受けて対面で審査するということがどれだけ重要なことなのか、そうしなかったら難民性を認定することはできないんだということをさんざんぱらこれ議論した後の期間も含めて、僅か一四・八%にとどまっていると。
先ほども臨時班をいまだに使って効率、迅速に難民不認定の結論次々ベルトコンベヤーのように出していると丸山次長答えられたけど、そういう中で不認定になっているという人たちだからこそ、名古屋高裁も含めて裁判で難民性が認められるという判決が出ているわけじゃないですか。
である以上は、そうした審査の下で難民性が認められてこなかった方々をもって、難民、送還停止効は剥奪して直ちに強制送還なんて私はあり得ないと思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(小泉龍司君) 日本で共生社会をしっかりとつくっていくためには、やはりルールを守っていただくという側面についても必要な措置はとらなければいけないということであります。ただ、そのときに決して忘れていけないのは、いけないのは、人道的な配慮、これを常に考えなければいけない。しかし、ルールは守っていただく必要がある。そのはざまの中で様々御議論いただいて、その結論として法が施行されました。
もう一度その原点に戻って、立法趣旨を踏まえてしっかりと対応していきたいと思います。
○仁比聡平君 国際人権法も含めたルールを守っていないのは日本政府と入管の側だと強く申し上げたいと思います。
だからこそ、今回の法案に盛り込まれようとしている永住者の資格取消しの問題についても、先週、在日本大韓民国民団が、元々伺っていた数からするとはるかに多く国会にお集まりになって声明を上げられました。日本で生まれ日本語しか分からない二世、三世の永住者も多くいる、この法案が通過すれば永住者とその家族は常に永住資格取消しにおびえる日々を永久に過ごすことになる、それは、永住者とその家族が、この社会の一員、市民ではなく、いつでも疎外され得る極めて脆弱で差別が当然とされる立場に追いやられるものだというこの厳しい指摘を私たちは受け止めて、せめてこの条項は削除すべきだと思います。
底深い排外主義を絶対に拭い去る徹底した審議を改めて強く求めて、時間参りましたので今日は質問終わります。