○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
私も能登震災と外国人労働者の問題についてお尋ねをしたいと思うんですが、先週三月二十六日にこのテーマで関係大臣に認識を伺いまして、これから復旧それから復興に向かう上で外国人労働者がなくてはならないレギュラーメンバーだということは、認識は一致したと、共有できたと思うんです。一方で、政府は、能登震災が起こった一月一日に被災した技能実習生、特定技能外国人について、職種別、それから市町村別の実数、人数というのを三か月たって把握してこられませんでした。
入管庁に改めて聞きますけれども、先ほど清水議員が、この入管ないし実習機構が行ってきた影響調査について概要をちょっと御指摘がありましたけれども、その上で二つ、つまり、能登震災によって適正な実習継続が困難になった実習生、そのうち現在もなお適正な実習が再開できていない実習生は何人なのかと。二つ目は、この三か月間、賃金が一〇〇%支払われていない実習生は何人なんですか。
○政府参考人(丸山秀治君) まず、入管庁から要の部分を御説明させていただきます。
入管庁では、外国人技能実習機構から技能実習実施困難時届出書に関する情報提供を受けておりますが、現時点におきまして、本年一月一日以降の石川、富山、新潟三県における失踪者数を正確に把握するまでの精査には至っておりません。
また、令和六年能登半島地震による災害に伴う対応としまして、技能実習実施困難時届出書については提出が可能となった段階において速やかに届出をすることで差し支えないとの取扱いをしておりまして、現時点におきまして全体像を把握することが困難な面もございます。
○政府参考人(岸本武史君) 厚生労働省から、技能実習の継続状況、それから賃金の支払状況につきまして補足を申し上げます。
まず、技能実習の継続状況でございますが、能登半島地震の技能実習生への影響につきまして、外国人技能実習機構が石川県内の状況について監理団体を通じて確認したところによりますと、具体的には、まず、本年の一月三十一日の時点におきまして技能実習の継続は困難という回答がありました五十三の実習実施者につきまして、最新の四月一日の時点では、再開済み、実習再開済みが十八者、それから、再開まだしていないけれども再開めどがありというところが二十一者、それから、再開のめどは立っておりませんが断水の解消などを見ながら再開をしたいという再開意思を持っていらっしゃるところが三者、それ以外が十一者となっているところでございます。
また、技能実習生の方の数でございますが、再開のめどがあるという二十一者に三十七人の方、再開めどは立っていないが再開意思がありという三者に十九人、それ以外の十一者のうち二者に六人の計六十二名の技能実習生の方が技能実習を再開できていない状況にあるというふうに承知をしております。先週の段階では七十三名でございましたので、失礼、三月十五日時点では七十三名でございましたので、少しずつ実習再開進んでおりますが、引き続き、支援、フォローアップを行ってまいりたいと考えております。
また、賃金の状況でございますが、六十二名の実習実施、実習再開できていない方について、休業中の方が五十七名いらっしゃいます。この五十七名の方に対しましては、直近の状況としては休業補償が一〇〇%支払われていることを確認しております。また、休業補償不払に関する相談等も今のところ受けていない状況でございます。
○仁比聡平君 今、特に厚労省の方からお答えになった数字は、今日初めて明らかになっているんですよ。
もちろん、大きな地震ですから、機構も体制のいろいろ強弱ありますから、すぐにつかむということはできないかもしれないけれども、もう一点、監理団体を通じて実習先の実情をつかんでいくという取組の仕方は、それはあり得ることだと思うんですけれども、ですが、ニーズも変わる、それから三か月という期間が経過する中でもっと早くに、一人一人の実習生あるいは特定技能の外国人労働者がどんな実情に置かれてどんな困難に直面しているのか、その前提として、どこにどんな職種でどれだけの方々が働いているのか、そのことをつかむというのは、これは政府として可能なことだし、やるべきことだったのではないかと思います。
続けてちょっと確認をしますけれども、宿舎が壊れるといった形で居住に困難を来した実習生がいると思います。現在も断水が続くというような中で、不自由を強いられている人たちのそうした実情というのはどのように把握していますか。私は、把握して、各方面、例えば自治体始めとした支援策につなげていくべきだと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
石川県の技能実習生の被災状況につきましては、技能実習の継続の可否の観点から外国人技能実習機構が監理団体等を通じて把握に努めており、現時点で確認していることとしましては、三名の技能実習生が宿舎の損壊により避難所において、避難所にいらっしゃるということを承知しております。
令和六年能登半島地震による技能実習生などの被災状況として把握する内容につきましては、制度を共管する厚生労働省や外国人技能実習機構とともに必要な検討を行い、引き続き適切に状況を把握するよう努めてまいります。
○仁比聡平君 今おっしゃった三名というのは輪島の避難所に避難を続けておられるということで、一月末の時点では三十名ほどが避難しているというお話でしたけれど、その数に限られないでしょう。だって、ほかの町でも支援に入っている方々が実際に宿舎の水が出なくて生活用水にも困難を来していると。日本人であれば、あそこのおうちの井戸の水はみんなで使わせてもらえるよというような情報があって、それで洗濯をしたりとかしているんだけれども、そういう情報が全く伝わらないという中で本当に苦労をしているという実習生たちがいますよ、現に。
ですから、監理団体に聞いて分かっているものだけで物事を捉えようとしたら実情がつかめない。だから、予算委員会でも申し上げたとおり、監理団体から、実習機構はあるいは政府は電話で問い合わせてくるだけで見にも来ない、会おうともしないというような声が上がるわけでしょう。
実際、一月一日の発災直後に、珠洲市まで車で何時間も掛けて自らが監理をしている実習生の救出に行ったという監理団体の方があります。実際、珠洲始めとしてあちこちの実習先から車で拾って、安全な研修センターに避難先を確保して、もちろん食料もありませんから、食料も自らあちこちから買い集めて実習生を支援してきたという監理団体があります。
あるいは、先ほど御紹介があった中に含まれるとは思いますけれども、自ら休業せざるを得ない実習先でも、実習生のみんなが大切だから頑張って賃金を一〇〇%を一月も二月も保障すると、三月も保障すると。雇調金が六割と、いつ入ってくるかも分からないけれども、頑張って、だって大切なレギュラーメンバーだからそういう扱いをしているわけですよ。けれど、一方で、実習生を放置して何の音沙汰もないという監理団体もあるんですよ。
入管庁にお尋ねしたらいいでしょうか。一月一日以降に、石川、富山、新潟の三県で行方不明を理由として実習継続困難時届出、つまり、すなわち失踪ですね、実習機構が言うところの、がされた、届出がされたのは何人かというのは把握できているんですか。
○政府参考人(丸山秀治君) 御指摘の点でございますが、先ほども答弁しましたとおり、現時点で、本年一月一日以降の石川、富山、新潟三県における失踪者を正確に把握するまでの精査には至っていないところでございます。
○仁比聡平君 ゼロではないでしょう。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
幾つか報告は出て、何が原因かとかまではちょっと分かりませんけれども、所在不明になって技能実習の継続が困難になっているという報告は幾らかいただいているところでございます。
○仁比聡平君 ゼロではないんですよ。だけれども、その方々が実習先でどういう苦労をして、なぜ実習先から行方不明にならざるを得なくなったのか、今どこにいるのか、その方々に、先ほども清水議員から御紹介があったような資格外活動を認めていけるのか、あるいは職種の中では実習生も転職をしていいようにしようという特例が出されましたけれども、そういう適用で支援ができるのか、そういうことが全く分からないわけですよね。
けれど、実習機構というのは、元々、適正な実習の実施と実習生の保護を目的として活動しているわけですから、そして調べようと思ったらちゃんと把握できるだけのデータは持っているわけですから、そういう集計はしておりませんと、だから答弁は困難でございますと突き放してどうするんですか。
大臣、私、大切なのは、一人一人の人間として、あるいは労働者として大切にするということだと思うんですよ。こういう大変なときに一人一人を大切にすることができなくて、何で選ばれる国になんかなれますか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(小泉龍司君) 発災から三か月、なかなか困難な状況が続きました。その中で我々も反省点があります。資格外活動を認めていこう、あるいは法テラスを無償化していこう、それよりも何よりも、輪島の法務局で、共同庁舎で三百人の人を受け入れて水を供給する、食べ物を供給する、いろいろな取組やってきました。
しかし、今こうやって先生から御指摘を受けて反省の念を持つんですけれども、一人一人どういう状態なんだ、大丈夫か、技能実習生の方々大丈夫かと地震が来た瞬間に思う、その力が欠けていたなと思います。そこは大事なところだと思います。仕組みを、制度をつくろう、それに対応しよう、それはもう一生懸命できたと思います、まあ満点ではないけど。だけど、一人一人に手を差し伸べていくという発想からできることがまだあると思います。
今後に向けてしっかりと反省をし、またそれを突き詰めていきたいと思います。
○仁比聡平君 突き詰めるのは、もう直ちに今日あした突き詰めて、具体化しないと駄目ですよ。
この特例、さっき、先ほどの二つの特例も、先ほど入管次長が、周知に問題があるという指摘があったのでと。そのうちの一人は私が指摘をしてきたわけですけど。何しろ、ホームページだとか何かではアップはしているけれども、被災関係自治体にも、それから業所管省庁、例えば漁業や水産加工であれば農水省、水産庁ですよね、あるいは建設、介護であれば国交省や厚労省だと、それぞれ実習生や、技能実習生、特定技能外国人を所管して、頑張ってもらおうとしている所管があるわけですよね。
そこに入管や実習機構が取り組む特例が共有されていないと。そうすると、それぞれの県だとか関係業界団体などにも徹底しないということが現に起こっているでしょう。これ、これからどうしますか。
○国務大臣(小泉龍司君) 先般の予算委員会で御指摘いただきましたですよね、地方自治体に言っていないじゃないかと、業所管団体と共有をできていないじゃないかと。これはすぐ手当てをしました。こういうことを、もう一度そのスタートラインに戻って、本来あるべき姿を描いて、それと比べてできていないことについてはしっかりと手を打ちたいと思います。
○仁比聡平君 もう一問、二〇一八年の前回のこの外国人労働者の分野の法改正のときに失踪ということが大問題になりまして、今日も一枚資料をお配りしていますけれども、その後どんどん急増して、令和四年かな、で九千六人ですよね。この失踪、つまり、行方不明という形で届出がされましたというときに、その都度、関係の業所管省庁に問題が共有されているかというと、議事録の最後に、坂本農水大臣に御答弁いただいていますけれども、制度上、農林水産省に共有されないものと承知しておりますということなんですよ。
こんなことで本当に適正な外国人の受入れということをやっていけるのかと。トラブルが起こったら個々やっぱり問題共有して検証し、そんなことが起こらない、再発防止の対策を取っていかなきゃいけないじゃないですか、大臣。
○国務大臣(小泉龍司君) 各省庁の所管というのはありますが、しかし、法務省が総合調整機能を果たすという位置付けをいただいているわけでありますので、我々も、もう少し踏み込んで全体を見る、そういう力を持って、そういう視野を持って取り組んでいかなければいけないと思います。
○仁比聡平君 はっきりしない。
今国会に提出されている法案でも、転籍の自由の制限だったり定住者の在留資格の取消しなど、大問題になるわけですよね。私は、もう外国人労働者政策を入管に握らせるのはやめるべきだと思います。労働者の問題を入管が握って、その関係の所管省庁にも問題共有しない、そんなことで一体何が得られますか。
徹底して議論をしていかなきゃいけないということを申し上げて、今日は質問を終わります。