日本共産党の仁比聡平議員が西日本を中心とする豪雨災害の被災地での調査を踏まえ、2日の参院災害対策特別委員会で提起した具体的要望事項と政府答弁(要旨)は次の通りです。
■壊れた建物や敷地内の土砂は自力、人力では到底撤去不可能。「民地内は自己責任」ではなく、市町村の現場の裁量で全額公費で必要な重機を入れ、「面」で速やかに撤去できるようにすべきだ。
→二次災害の懸念があり、公益上支障となる場合は、自治体が民有地内の土砂を直接撤去可能だ。環境省の災害等廃棄物処理事業と国交省の堆積土砂排除事業、公共施設の災害復旧事業は契約事業者を分けず一体で土砂等を撤去し、事後的に費用を各事業で案分できる(秋元司国土交通副大臣)
■被災者の負担はないか。行政の手当が間に合わず、民間業者に依頼した撤去費用の事後精算もできるか。
→環境省の災害等廃棄物処理事業費補助金による自治体のがれき撤去経費の被災者負担は必要ない。所有者が撤去した場合も、市町村の事業として整理すれば補助対象となり、事後償還も可能(渡嘉敷なおみ環境副大臣)
■空き家のがれき、屋内の床下を埋めた土砂の撤去にも使えるか。
→被災市町村が生活環境保全上実施した場合は補助対象だ(和田篤也環境省政策立案総括審議官)
■全半壊、床上床下などを問わず、災害救助法の未適用地域でも活用できるか。
→住家の被害状況や災害救助法の適用のいかんにかかわらず補助対象だ(同)
■環境省の事務連絡(7月20日付)には「全壊家屋」の公費解体が明記されているが、悪臭がひどく、やむをえず解体する半壊住宅も公費解体の対象に。
→今回は土砂の被害が多く、震災とは異なるので、現場の状況を確認し、迅速な処理に向けて検討する(渡嘉敷環境副大臣)
■長期避難が懸念され、コミュニティーのあり方や被災者のニーズ、地域の気候や高齢化の実情に合わせ、断熱やバリアフリー、台所のつり戸棚の工夫など自由度の高い木造仮設住宅の積極活用を。
→木造やプレハブなどの選定は自治体が判断する。被災者や地域の状況を踏まえ、一刻も早く提供できるよう適切に助言する(小此木八郎防災担当相)
■万が一の災害で速やかに木造仮設住宅を建設できるよう、平時から全都道府県で協定や準備を整えるよう支援を。
→木造建築事業者団体等と都道府県との災害協定締結が進むよう助言していく(小此木担当相)
■持ち家に直接の被害はないが、団地全体が土砂災害に襲われ、裏山から土石流が迫り、生活道路も埋まり、長期に自宅で生活できない被災者にも罹災(りさい)証明を交付し、仮設入居の支援を。
→二次災害で住宅が被害を受ける恐れや、ライフライン途絶、地すべりなどで避難指示を受けている場合など、長期に自宅に住めない被災者も仮設住宅に入居可能だ(海堀安喜内閣府防災政策統括官)
■商工業者への直接支援で、東日本大震災や熊本地震で活用されたグループ補助金の適用、持続化補助金の増額の速やかな実現を。
→グループ補助金による設備復旧支援や持続化補助金による小規模事業者の販路開拓支援への要望も踏まえ、速やかに必要な支援措置を実現できるよう取り組む(平木大作経済産業政務官)
■農地復旧の道筋を示さなければ、営農再開の意欲が折れてしまう。農機具被害だけで1千万円超の生産者に何人も会った。経営体育成支援事業の支援対象や補助率を速やかに具体化すべきだ。
→自治体と連携し、被害状況に応じて早急に検討していく(谷合正明農林水産副大臣)
(しんぶん赤旗 2018年8月3日)