○仁比聡平君 共産党の仁比聡平でございます。
 先週といいますか、さきの土曜日、日曜日に、沖縄県に行きまして、名護からまだ更に北の東村高江に泊まってまいりました。

 お手元に資料をお配りをしているかと思いますけれども、一枚目の写真でやんばるの森が写っているかと思います。もう沖縄はサツキが咲きまして、本土でいえば五月という気候なんですが、写真では本当に到底伝え切れない美しい森です。那覇市の二倍の面積にイタジイというシイの仲間がこうした森をつくっているわけですけれども、新芽が芽吹いて、この森にヤンバルクイナ、ノグチゲラ、そういう絶滅危惧種も生きているわけですね。世界自然遺産に度々推挙をされて、沖縄本島の水源の六割をこの森が担っています。

 高江という村は、この豊かな森に囲まれてあります百六十人ほどの村なんですけれども、千葉大臣、大臣はやんばるには行かれたことはございますか。

○国務大臣(千葉景子君) 大分以前になりますけれども、沖縄を訪れて行ったことはございます。

○仁比聡平君 この豊かな森は、米軍直接統治下の一九五七年に住民の抵抗を封じて接収されまして、ベトナム戦争のゲリラ戦の訓練が行われました。米軍にとって現在、世界唯一のジャングル戦闘訓練センター、日本の提供名でいいますと米軍北部訓練場にされているわけです。

 二枚目の写真は、今年一月に撮影をされた普天間基地所属のCH46という米軍ヘリです。普天間を飛び立って十五分ぐらいでこの高江の海側の方、東側の方から進入をして、低空飛行で高江集落の上空を飛び回るわけですね。

 現在、この北部訓練場、森の中に二十一か所のヘリ着陸帯、ヘリパッドというものがございまして、そのうち東村には十五か所あります。それを使ってホバリングの、あるいは離着陸の訓練をする。海兵隊の兵士やりゅう弾砲に見立てたコンクリートの塊をこのヘリコプターがつり下げて持ち上げて運んでみたり、あるいは兵士の方は、森の中で叫び声を上げて、発砲音を響かせながら、激しい亜熱帯ジャングルでの戦闘訓練を繰り返すわけです。

 このヘリに対しては、住民の皆さんからは石を投げれば当たるぐらいだと。操縦兵の顔も見えるし、こういう森で起伏の大きい土地ですから、庭先に爆音とともにどどどどどっとヘリが上昇してきまして、操縦士と目が合ったという、そういう住民の方もありますし、墜落や火災も繰り返されてきました。

 この高江に住みます安次嶺現達さんという方がいますが、この方は、この小さな村を取り囲むように米軍のヘリパッドが新たに六か所造られようとしています。今も米軍のヘリコプターが私たちの生活を脅かし、昼夜問わず民間地上空を低空飛行で、夜は十一時過ぎまで飛び、私は村や防衛局に何度も抗議の電話をしていますが、現時点で何一つ変わっていません。私たち家族は、ただ普通の生活がしたいだけなのです。やんばるは自然に囲まれ、子供が伸び伸びとたくましく生きていく大切な場所です。ヘリパッド予定地は私の家から約三百メートルしか離れていません。そのことに反対するのは当たり前ですとおっしゃっているんですね。

 三枚目の写真は、この高江の集落の真ん中にあります高江小中学校の二階に私お邪魔をいたしまして、教室から外を見ているわけですけれども、この窓の遠望に先ほどのやんばるの森があります。子供たちは、演習が始まるとこの子供たちの目線で米軍のヘリが飛び回るという中で暮らしているわけです。

 高江区として二回の反対決議が上げられていますとおり、先ほど紹介した安次嶺さんの思いは私は高江住民の総意だと思います。ところが、二〇〇七年の七月に安倍内閣の下で工事が強行着手され、〇八年の十一月に麻生内閣の下で安次嶺さんと伊佐真次さんを始めとした十五人に対して通行妨害禁止の仮処分というのが申し立てられました。そして、今年の一月二十九日に政府は、安次嶺さん、伊佐さんのお二人を被告とする通行妨害禁止の民事訴訟を提訴いたしております。原告は国で代表者は千葉大臣なんですね。その訴状では、少なくとも〇七年七月四日の通行妨害には、被告とされた安次嶺現達さんが、同年八月二十二日の通行妨害には被告ら、つまり安次嶺さんと伊佐真次さんがそれぞれ現に参加したというふうに主張をなさっているんです。

 千葉大臣は、具体的にこのお二人のどのような行為をもって通行妨害だというふうに国が主張をしているのかということは、これはお分かりになりますでしょうか。

○国務大臣(千葉景子君) 御指摘をいただきましたように、国の訴訟につきまして私が代表者になっているという、そういう形で行われております。それは、制度的にそのようなことでございますので、私も承知をいたしております。

 そして、本件については、被告の皆さんに対して通行妨害禁止を命ずる那覇地方裁判所の仮処分決定が出され、そして被告の皆さんからの申立てに基づく起訴命令を受けまして、それに応じて提訴をしたというものでもございます。現在、那覇地方裁判所に係属中のものでございます。

 そういう意味では、今、係属している事件でもございますので、具体的なことについてのコメントはなかなか私もできませんけれども、これまでの仮処分決定の中でも、被告の皆さんが反対派の代表格であるということから、今後も通行妨害の高度の蓋然性を認めたと、この仮処分の中で認められたということは私も承知をいたしているところでございます。

○仁比聡平君 今日、千葉大臣に、鳩山政権の言われる沖縄県民の思いを受け止めるというのはどういうことなのかということを特に伺っていきたいと思うんです。

 今、起訴命令にこたえて提訴したものでもあるというふうにおっしゃったんですけれども、債務者とされた住民が仮処分決定を不当だと思えば、これに対する不服申立ての意思の表れとして起訴命令の申立てをするのは、これは当然のことであって、それは弁護士としての千葉大臣もよくお分かりのとおりだと思うんです。

 しかも、前政権がこの仮処分の申立てをした。この仮処分の審尋の中では、名指しをされた、当初十五人ですが、この債務者が何をやったから妨害だというのかという行為の具体的特定の問題が一貫して問題となり、求釈明を繰り返されながら前政権はそれにこたえてこられていないんですね。仮処分決定を読みましても、安次嶺さんと伊佐さんが何をやったから妨害行為だというのかというのは明らかではありません。

 まして、大臣は先ほど代表格というふうにおっしゃったけれども