○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
前回に続きまして、監理団体を始めとした各受入れ機関からの不正なブローカー排除についてお尋ねしたいと思います。
前回、入管局長に、重大な最賃違反、割増し違反を犯し、挙げ句に実習生を解雇すると、こうした重大な事態が蔓延しているということを踏まえた私の質問に、局長からは、労働法令違反になるということであれば労働法令違反という不正行為に当たる、受入れ停止等の措置が講ぜられるという御答弁があったんですが、まず確認しますけれども、これは実習生と雇用関係を結ぶ実習実施機関だけでなくて監理団体にも当たるということですね。
○政府参考人(井上宏君) お答えいたします。
賃金の支払とか労働のことは、直接的な契約主体は実習実施者と技能実習生ということになるわけでございますが、監理団体がそのような不正行為に関与してこれを主導していたと認められるような場合につきましては、監理団体も実習実施機関と同様の不正行為に当たることになります。
○仁比聡平君 関与し主導していたというお話が今あったわけですけれども、岐阜のアパレル縫製業界で三千人からのベトナム人そして中国人を中心とした実習生が実習を行っているというふうに伺うわけですけれども、この縫製業界で、さきの本会議で経済産業大臣は、三十五の事業所において賃金の未払があったことや、最低賃金を定める労働基準法の規定に違反していたことは誠に遺憾でありますと認識を示されたわけですが、この岐阜アパレルにおいて、監理団体が不正行為認定を受け処分をされたという件数はどれぐらいあるんですか。
○政府参考人(井上宏君) 平成二十七年の数字でございますが、全国で不正行為を認定した監理団体は三十二機関ございます。このうち、岐阜県内に所在するアパレル業関係の監理団体は五つ、五個でございました。
○仁比聡平君 結局、平成二十七年、つまり昨年の一年間だけで入管が不正行為認定をした監理団体が五件あると。現に横行しているということなんですよね。しかも、三千人からの実習生を受け入れている監理団体というのは膨大な数ありまして、この監理団体に係る不正行為を行っているではないかというこの実習生の相談を受けてその監理団体やまつわるところを調べると、同じ住所に幾つも事業協同組合の登記がなされているということが間々あるわけですね。しかも、その登記簿を見ると、およそ組合なわけですが、その財政的基礎が示される払込出資金、この総額というのは百万円にも届かないほんの僅かな、実態なんかあるはずないと。そうした監理団体がたくさんつくられて、入管が一つの監理団体を不正行為認定をしたら、そしたらその別の監理団体で受入れを続けるということが横行しているわけです。
私、監理団体といいながら、その実態がない、あるいは実態がないどころか不正な収益を得ようとするブローカー行為、これを排除する仕組みというのが絶対に必要だと思うんですね。
そこで、今日、金の入り、つまり不正な収益という面とそれから不正な監理というこの二つの面から認識をただしたいと思うんですけれども、前回の質疑で私が、実習生の給料からの水光熱費と称した八千円の天引きだとか、あるいは月実習生一人当たり三万円といった監理費の、この問題について質問をする中で、局長から、運用上も、当局から監理費徴収明示書というものの様式を示しまして、適正な監理費として徴収できる費目の例なども示しておるところでございますという御答弁がありましたので、少し調べさせていただきました。
お手元の資料に、ちょっとめくっていただくと、JITCO、公益財団法人国際研修協力機構が示している「外国人技能実習制度における講習手当、賃金及び監理費等に関するガイドライン」というのがあると思います。その冒頭の趣旨に、二〇〇九年十二月に法務省入国管理局が公表した技能実習生の入国・在留管理に関する指針に示されているところを具体化したものだ、あるいは書いたものだというこのガイドラインの意義が述べられているわけですが、めくっていただいた四ページ目に、「監理費等の取扱い」という項目があります。大きく、受入れ監理費、送り出し管理費、送り出しに要する諸経費という区分をした上で、その取扱いの原則として、透明の原則、公正の原則、適正の原則とそれぞれ御覧のとおり掲げた上で、監理費等の内容及び取扱いについてこう書いています。「監理費等の額の決定に当たっては、これらの費用項目に必要とされる実際の負担額を勘案した適正なものとする必要がある。」と。
ここに言う実際の負担額というのは、入管局長が前回私に答弁した監理業務に通常伴う適正な金額の実費というものと同義だと思うんですが、そういう理解でいいですか。
○政府参考人(井上宏君) お答えいたします。
現行制度におきましては、監理団体は営利等を目的としない団体でありますが、監査、講習等に要する実費については実習実施機関から監理費として徴収することができるとされておるわけでございまして、このJITCOのガイドラインは、このような法務省の示す徴収可能な監理費、すなわち実費の考え方と同じものと理解しております。
○仁比聡平君 そうしますと、入管がこれまでそれをどのように審査してきたのかということが問題になるわけですが、もう少しめくっていただきますと、八ページ、一番上に、「監理団体における受入れ監理費の明細の明示」というのがあります。「監理団体は、在留資格認定証明書交付申請において、「監理費徴収明示書」を提出することとなるが、同明示書では、受入れ監理費の根拠となる経費の費目及び費目毎の金額を明示するとともに、監理費を負担する機関が内容を確認していることも示さなければならない。」としまして、このJITCO様式の監理費徴収明示書というようなものがA4一枚などの形で示されているわけですね。つまり、費目ごとに金額を書くということになっているわけですよ。在留資格申請のときにこれを入管に出すんだということになっているわけですね。
局長、伺いたいんですけれども、ここに監理費として実習生月一人当たり三万円とか五万円という記載がある。これ、例えば岐阜辺りなんかでは月三万円というのはこれ当たり前、なので、言ってみれば相場みたいな格好でみんな三万円取られていると、実習先が、というふうになっているんですけれども、この三万円とかあるいは五万円というのがこれ実際の負担額だということなんですか。
○政府参考人(井上宏君) 監理費の審査につきましては、委員も引用していただきましたように、最初はまず、在留資格認定証明書の交付申請を受けた段階でその監理費を支払う実習実施機関とそれを徴収する監理団体が内容を確認した監理費徴収明示書の提出を求めることにしてございまして、その中で監理費の費目ごとに詳細を記載させることとしてございます。
その審査に当たりましては、監理団体が監理に要する費用を名目として監理とは無関係のものを徴収していないか、監理団体が技能実習生に監理費を負担させていないか、監理団体から送り出し機関に不明朗な金銭の支払いがないかといった観点から確認をしておるところでございます。
例えば、講習費用とか監査に要する交通費などの項目もございますが、それを監理費用として実習実施機関から徴収する場合、それが社会通念上不自然に高額であるような場合には、結果としてそれは技能実習生の待遇にも影響を及ぼすような事柄でございますので、そのような場合には監理団体に対して追加で説明を求めまして、合理的な説明ができるかどうか等含めて慎重に審査をしておるというところでございます。
○仁比聡平君 慎重に審査をしている、不自然な高額だと良くないなんて言うんですよね。
この間、局長、この問題について、定期的には上陸の段階、あるいは二号への資格の変更の段階、あるいは期間の更新の段階というようなときに審査をする、個別具体的に不正行為の情報が入った場合には個別に実態調査をして、その場合にはまさに現場に赴いて帳簿を見たり直接に聴取をしたりしてその実態の解明に努めておるところでございますと、現にやっていますと、そういう御答弁をされたんですが、不正行為の認定が、この受入れ監理費が不正であるという認定をしたことはありますか。
○政府参考人(井上宏君) ただいまお尋ねの監理費が適当でないとして不正行為の認定を行った事例の有無につきまして、改めて過去五年間調べてみましたけれども、そのような理由で不正行為認定した事例はございませんでした。
○仁比聡平君 現実には、そんな基準があるとか、やっているとか、それは建前と、それから本来そうやるべきだとお考えになっているのは分かりますよ。それは是非やってほしいと思うんだけれども、現にやれていないでしょうということなんですよ。
実際、実習生の数だとか、あるいはその実習生をどれだけの実習先に受け入れてもらうかとか、その職種が何かとか、その技能実習の現場のありようで監理業務のコストって違うでしょう。例えば、我々が訪ねたあの大田区の羽田のエリアにたくさん工場があります。私たちが訪ねたところもそうだし、ほかの事業所にも幾つもたくさんの実習生がそこに実習してもらっていると。それを一手に引き受けて監理をしているということなんだったらば、訪ねる回数だとか、その効率性だとか、そういうようなことを考えると、いわゆる監理コストというのは下がっていくんだと思うんですよね。一方で、全国を展開して、あらゆる職種と言っていいぐらいいろんな職種にその実習生を送り込むという、ここにブローカー的な不正な収益が絡み付いていくという、こうした実態がたくさんあります。例えば福山で受け入れて東北の被災地に送る、しかも職種が違うというようなことをやろうとして、それがまさか適正な監理をやろうと思ったら大きなコストが掛かるはずなんですよ。人手も掛かるはずなんですよ。なのに、これが一律三万円でいいとか五万円でもオーケーとか、何でそんなことになるのか。
元々この監理費の適正さというのは、今私が申し上げたような考え方で言わば定められるべきものなのではないんですか。
○政府参考人(井上宏君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、監理に要する費用の本当の実費の考え方といたしましては、まさに御指摘のように、実習生の受入れの人数の多寡でございますとか、受入れの事業所の数でありますとか場所でございますとか、それらに応じて異なり得るものと考えております。
○仁比聡平君 これ、今後どうしていくんですか。この監理費名目で、実際には実費ではあり得ない、そんな金額を申請して、これまで入管が全く知らないというんだったらまたちょっとよその話になるんだけれども、入管に届け出られて、それが言ってみればよしとされているわけですよね。となると、これが後ろ盾を得て、制度の後ろ盾を得て、当然取って当たり前ということになるじゃないですか。
実習実施機関にしてみると、工賃は全然上がらない、技能実習生の監理費だといって五万円取られるところが、これがもし一万円で済むんだったら、その残りの四万円の分はこれは実習生に払えるんですよ。そういう重大な問題なんですから、この監理費の水増しだったり不正だったり、これ絶対しないために基準を明確に定めて、これをシビアに審査していく、不正は排除するということがこれから絶対必要だと思いますが、いかがですか、政府。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えいたします。
新制度につきましてでございますけれども、法案の二十八条におきまして、監理事業に通常必要となる経費を勘案して主務省令で定める適正な種類及び額の監理費の徴収については許容するというふうにしておるところでございます。この法案二十八条に規定をしております通常必要となる経費を勘案した適正な種類及び額に係る主務省令の規定でございますけれども、例えば、監理団体が行う実習実施者に対する監査及び指導、実習実施者と実習生との間における雇用関係の成立のあっせん、実習生の入国後の講習等の業務について必要となる費用を実費相当額に限って認めることを考えております。
具体的にこれをどういった形で確認をするかということについては今後検討してまいることになりますけれども、できる限り明確な基準を示すことにより、適正な額の監理費の徴収が行われるように努めてまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 おっしゃるように、二十八条にそうした規定があって、その考え方について今具体的に示されたわけですが、この二十八条の二項には、適正な種類及び額の監理費というふうに規定をされているわけですが、具体的な金額を、この適正か否かの判断基準になるものをこれ示すと、そういうふうに受け止めていいわけですか。
○政府参考人(宮野甚一君) これ、具体的な基準につきましては、どういう形でお示しをするかということも含めて今検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○仁比聡平君 どういう形で示すかというのを検討するといって曖昧にしてしまったら、結局、幅があるとか考え方しか示されないとかいうことになると、今私が指摘している問題が繰り返されるわけですよ。そんなことに絶対にしてはならないと厳しく申し上げておきたいと思うんですが。
もう一点、お金の問題で、そのガイドラインの六ページに、送り出し管理費という項目の意味や在り方が書いてありますが、この送り出し管理費というのは、外国の送り出し機関、例えばベトナムの送り出し機関が実習生の送り出し業務に要する費用として実習先が監理団体に払うというふうになっているわけですよね。監理団体が送り出し機関に払うということになっているわけですけれども、この送り出し管理費というものをどんなふうに規制をしているのか。
私、いろいろ伺いますと、例えばベトナムの送り出し機関が請求しているもの以上に水増しをする、そういう送り出し費用が掛かるんだと言って実習先から取って、ベトナムの送り出し機関には払わない、そこで不正な収益を手にするというやり方。もう一つには、その送り出し機関と結託して、あるいはその送り出し機関を我が支配下に置いて、大きな水増しされた請求があったようにさせて、その水増し分を母国、例えばベトナムに行って受け取るとか、あるいはベトナムに事業展開して、そこの資金に使って、もう日本にも持って帰らずにやりくりをするとか、そういう手口が存在するのではないかと思うんですね。
お手元に、今のこのガイドラインの続きに、先ほど来議論になっているJITCOのホームページにある、ベトナム労働・傷病兵・社会省の「日本へのベトナム人技能実習生送出し業務の運営是正について」という通知をお配りをしています。ちょっとめくっていただきまして、三ページ、かなり具体的にいろいろ書いているんですけれども、管理費というのがあります。これが送り出し管理費のことだと思いますが、「管理費は一人当たり一か月五千円を下回らないものとし、」というふうにありますが、これ入管局長、そのとおりですね。
○政府参考人(井上宏君) 突然のお尋ねで、申し訳ありません、ちょっとそこ、今具体的に把握できておりません。
○仁比聡平君 突然のお尋ねじゃないんですよ。昨晩、私が通告をして、少なくともこのベトナム政府の文書としてJITCOが紹介をしているこの文書の、今申し上げた管理費は一人当たり一か月五千円という文書の存在は答弁できるでしょうというふうに申し上げたら、それが答弁できないと言っているから今あえて聞きました。それは、先ほど石橋議員の質問に対する御答弁ぶりも含めて、二国間協定、これから進めると言うけれども、これまでの政府の取組というのは一体何なのかと、その構えが問われているということを厳しく指摘をせざるを得ないからです。
だって、ベトナム政府が出しているわけですよ、こういう通知を。具体的に金額まで示しているわけですよ。送り出し管理費についても、これは不正があるならば不正行為認定をするのが法務省の立場なはずです。だったら、送り出し側がどういうふうにしているのか、これ、当然知っていて当たり前といいますか、当事者でしょう。それをお答えになれないわけですから、一体どうなっているんだと。
ここで、管理費一人当たり一か月五千円を下回らないと言っているけれども、この五千円というのがそういう意味じゃ一つの基準になるんです。日本円にすれば一か月五万円になるわけですから、これでも相当な額なんですよね。ところが、これを、一万円と言って水増しして請求をさせたり、あるいは一万円払わなきゃいけないからと実習実施機関に言って送り出し管理費を徴収したりしているというのが今現実です、監理団体が。その現実に対して調査をし、不正行為認定をしたことがありますか。
○政府参考人(井上宏君) 今委員お尋ねの送り出し管理費に係る不正行為認定を行った事例の有無でございますが、この点も改めて調査させていただきましたが、過去五年間に御指摘の理由で不正行為認定した事例はございませんでした。
○仁比聡平君 つまり、不正な収益を得る様々な手口をこれまで入管を始めとした政府は残念ながら見逃してきたわけです。不正行為認定されない、この実習制度の中から排除されないということになれば、それはどんどんどんどん広がっていくわけですよ。
お手元の資料の一枚目に、そうした中で我が党が衆議院の委員会の質疑でも取り上げてきた、福山に所在する櫻花協同組合という監理団体、受入れ団体の櫻太吉という参与の名前が出た「外国人(ベトナム)技能実習制度説明会」という資料をお配りしました。これ、主催は公益社団法人全国ビルメンテナンス協会で、真ん中の宣伝文にあるように、「建設業をはじめ各産業においては、大変な人手不足となっており、ビルメンテナンス業界においても求人難や人材不足に悩まれる企業も多く見受けられ、少子高齢化の国内供給では、解決が困難な課題となっております。」と。こうした、私、出稼ぎ労働の実態ではないかというふうに申し上げてきましたけれども、そうした中でベトナム実習生を活用しませんかという会だと思うんですが。
そこで、概要を、制度を説明し、事例報告など、その中心になっているのがこの櫻太吉という人が参与になっている櫻花協同組合なんですね。この櫻花協同組合の組合の中の資産をめぐって刑事事件がありました。その組合の役員が業務上横領罪に問われた事件ですけれども、検察の起訴によれば、櫻花協同組合が設立をされた二〇〇八年から四年ほどたった二〇一二年の一月から翌一三年三月までの一年余りの間に、ある役員が計一億三百七十九万六千円をその組合の口座から引き出し、そのうち約二千万円を着服したという、そうした被疑事実なわけです。
これ、つまり、四年ぐらいやっていると、それから一年間の間に一億円以上のこの組合の運営費というのが入ってくるということになっているということなんじゃないんですか。監理団体は営利であってはならないわけでしょう。そうしたら、監理業務のそれなりにコストが掛かるわけですから、入ったお金は出ていくというのが当たり前じゃないですか。何でこんなお金がこんなふうにたまっていて、で、着服するなんていうようなことになるのか、理解がかなわないと。
ですから、労働組合が入管の現場の方に、不正行為として調査をし認定をすべきだというふうに求めてきたにもかかわらず、入管は、事業協同組合なので営利団体ではない、不正の類型にはないとして調査をしていないと伺いますが、これ調査しないんですか。
○政府参考人(井上宏君) 個別具体的な事案に関わることでありますのでお答えは差し控えさせていただきますが、一般的に申し上げまして、入国管理局におきましては、不適正な受入れを行っている疑いのある情報の提供がございましたときには、技能実習実施機関や監理団体に対しては実地調査を実施し、不正行為と認められたものについては受入れ停止などの厳格な対応をしておるところでございます。
○仁比聡平君 そうおっしゃりながら、実際には行ってこなかった、あるいは行うことができない体制だった。様々な問題があって、こうした不正な収益を不正な手段で我が物にして、その犠牲が技能実習生たちに押し付けられていると。その認識に立たなければ、この問題を打開することなんて絶対にできないんですよね。
もう一方の、適正な監理業務というのは一体何なのか、不正ではないかという角度にちょっと話を移しますと、この櫻花協同組合もそうなんですけれども、全国に実習生を送るんだということで展開をしているわけですよ。ところが、その実態は全然ない。
ちょっと分かりやすいかなと思って、今のチラシの次のページに、協同組合アキューミューレーションという監理組合のホームページから引用していますが、この協同組合は本社はさいたま市だというわけですね。で、名古屋事務所、新潟事務所というのをそれぞれ置くというわけです。
この事務所というのが何なのか。監理団体によっては支社とか支所とかいろんな言い方をしますけれども、この支所や事務所が例えば東海・北信越エリアの地域に実習生を送る、日常的に監理をするというふうになっているのであれば、これは法案が監理団体の許可を求めようとする申請の中で必要的な記載事項としている監理事業を行う事業所、これに当たるんだろうと思うんですけれども、いかがですか。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えいたします。
まず、新制度におきましては、監理団体の許可を受けようとする者は、申請書に監理事業を行う事業所の名称及び所在地を記載して主務大臣に提出しなければならず、申請書には監理事業を行う事業所ごとの監理事業に係る事業計画書を添付しなければならない、さらに、事業所ごとに監理責任者を選任しなければならないということとされているところでございます。
したがいまして、こうした監理事業を行う事業所ごとにこうした申請をしていただくという必要がございます。
○仁比聡平君 ところが、この事業所というのは、不正があって労働組合が訪ねてみると、看板も掛かっていないマンションの一室で、ここでピンポン鳴らしてやっと人が出てきたと思ったら、若いベトナム人の留学生が一人いるだけと。もちろん、日常的な監理だったりをする体制なんて全くないわけです。実態はないんですよね。それが、今訪ねていったと言って申し上げたのはこの間の正月の話ですから、現に横行しているわけです、ホームページは昨日これ取ったものですから。そうした監理団体をどう適正化するのかということなんですよ。
今、法案についてお話がありましたけれども、法案の二十三条で許可を得ようとするときの申請の項目がありますが、監理事業を行う事業所ごとに事業計画書を出さなきゃいけない。その事業計画書には、実習監理を行う実習実施者の見込み数、技能実習生の見込み数、その他監理事業に関する事項を記載しなきゃいけないとなっていて、二十五条に許可の基準として、私大事だなと思うんですけれども、三つの点が記載されています。つまり、営利を目的としないものであるということ、そして、監理事業を適正に行うに足りる能力を有するものであること、監理事業を健全に遂行するに足りる財政的基礎を有するものであることということなんですね。
私が尋ねている能力という問題でいいますと、三十九条の三項の主務省令で定める基準だというので、その三十九条を見ると、団体監理型技能実習の実施状況の監査その他の業務の実施に関し主務省令で定める基準というふうに言っているんですが、これ、適正な監理事業をやるためにこの主務省令でどんな考え方で体制を求めようとしているわけですか。
○政府参考人(宮野甚一君) お答えいたします。
お尋ねの第三十九条第三項の主務省令についてでございますけれども、これは監理団体の業務の運営基準を定めることとしておりますが、具体的には、団体監理型技能実習の実習状況の監査について三か月に一回以上の頻度で適切に行うこと、技能実習生に修得等をさせようとする技能等について一定の経験又は知識を有する役職員に技能実習計画の作成、指導を担当させること、技能実習生からの相談に適切に対応するために必要な措置を講じていること等を求めることとしております。
詳細につきましては今後検討していくこととなりますけれども、監理事業が適正に遂行されるよう適切な基準を設定してまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、不正な収益を手にしていく手口、これ絶対に排除しなきゃいけないと。そして、監理業務をやるといいながらその実態がない、実態がないどころか逆に実習生を食い物にする、そんなやからを絶対に許しちゃならないと思うんですね。
それぞれ局長に御答弁いただきましたけれども、大臣の決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(金田勝年君) 監理団体は、団体監理型技能実習におきまして重要な役割を果たすものであるということは申し上げるまでもありません。実態のない団体が監理団体を名のるようなことがあってはならないというのはもちろんでありますし、実習実施者に対します監査等を適正に行うことのできる能力を有する団体に監理団体を務めていただかなければならない、このように考えております。
そこで、今局長さん方から答弁がありましたが、新しい制度では、主務大臣及び外国人技能実習機構において、監理事業の許可という手続を通じまして、監理事業を適正に行うに足りる能力を有するかどうかなど監理団体の実態を確認することとしているところでありまして、この新しい制度の下で、不適切な監理団体を排除するとともに、監理事業の実施基準を適切に定めまして監理団体の適正化を図っていきたいと、このように考えております。
○仁比聡平君 そうした御答弁にもかかわらず、新制度の下で私が繰り返しこうした問題を指摘することになれば重大だということをあえて申し上げておきたいと思うんですね。
まずの試金石として、経済産業省製造産業局においでいただいていると思うんですが、本会議で、岐阜アパレル産業の振興に関わって今起こっている事態、これをちゃんと調査するということが必要だと大臣も明確に御答弁をいただきましたが、これどのように、そして速やかに進めるのか、ここは問われていると思うんですね。今の状況をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(三田紀之君) お答えいたします。
ただいま議員御指摘のとおり、十月二十八日の参議院本会議におきまして世耕大臣から、関係府省と連携してその実態を調査していく、この旨お答え申し上げたわけでございますけれども、これを受けまして、岐阜県の縫製企業そしてアパレル企業を対象にアンケート及びヒアリングの調査の準備を今進めているところでございます。
今回の調査では、まず、アパレル企業から縫製企業に対する縫製工賃単価の切下げが行われているのか、最低工賃が引き上げられた際に発注工賃がきちんと引き上げられているのかどうか、事業者間の取引対価は発注側と受注側両者の協議によって定めるものでありまして、経済産業省からも取引対価の決定に当たりまして下請事業者との協議の上で適切な労務費を含めるよう業界団体等要請しておりますが、このような協議が行われているのか、こういった点について調査する予定でございます。現在、関係府省と連携して具体的な調査事項の詰めなど進めておりまして、準備が整い次第、速やかに調査を実施することとしてございます。
なお、経済産業省といたしましては、取引慣行の改善を図ることに加えて、アパレル産業の振興として、サプライチェーンの再構築による各工程の付加価値の向上、業界の認証事業であるJクオリティー制度などを活用したジャパン・ブランドの構築等、繊維産業の付加価値の拡大のための必要な施策も併せて講じているところでございます。
○仁比聡平君 これまで入管や労働基準監督の現場の皆さんが、言わば実習生のこの深刻な実態を目の当たりにしながら格闘してこられたと思うんですね。
やっぱり根っこにあるのは、そうした低賃金、長時間を始めとした深刻な労働条件で実習生に働いてもらわないと成り立っていかないという、そうした産業の現状ということにあるんだと思いますから、この調査を大きな一歩にして、経済産業省を始めとして、この日本の経済と社会と地域が本当にこのままでいいのか、絶対良くないじゃないか、ここを打開するんだということを政府を挙げて取り組んでいただきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、外国人技能実習法案、入管法改正案の両案に反対の討論を行います。
外国人技能実習制度の実態が出稼ぎ労働であることは、当委員会の視察でも明らかになりました。ところが、あくまで建前は技能移転による国際貢献とされ、技能実習生の転籍の自由が認められていないことに付け込んで、様々な名目で真面目に働く実習生を食い物にする悪質なブローカーが横行しています。
本法案は、制度の適正化と言いながら、この構造的矛盾を解決しないまま制度を拡大しようとするものです。それが本法案に反対する最大の理由であります。新機構は、この矛盾を解決できるものではありません。
技能実習制度を悪用して不正な収益を得る送り出し機関、監理業務を自らは行わず、監理費などを名目に法外な天引きをするなどの不正な監理団体、それらの受入れ機関を隠れみのにするブローカーを排除するために、監理業務の委託は全面禁止すべきです。少なくとも、営利目的の株式会社などへの委託や、そこからの監理人材受入れは厳しく禁止されなければなりません。入国管理局、労基署、そして新機構がこの構造に切り込めるのか、そこが問われています。
入管法改正案は、増加する技能実習生の失踪などを理由に、在留資格の取消しと強制退去事由、罰則を拡大しています。これは構成要件が曖昧で、濫用のおそれが否定できません。技能実習制度の構造的矛盾を放置したまま、その責任を技能実習生のみに負わせて国外退去など、何の道理もありません。
新たに創設される在留資格「介護」についても懸念が示されています。既にEPA候補者に対する国家試験では、試験時間一・五倍、全ての漢字に振り仮名を付記するなどの配慮がなされていますが、その下で、国家試験に合格した後、日本語の壁に改めて苦労するEPA介護者が後を絶ちません。そうした行き過ぎた配慮を在留資格「介護」に持ち込むべきではありません。国家資格の信頼性が問われかねず、結局、介護現場に負担が押し付けられることになるからであります。
こうした下で、技能実習の職種に介護を追加する政府方針は許されません。技能実習生の日本語能力について、日本語教育の専門家からは、日本語能力試験は読む、聞くという理解能力は測定しているが、書く、話すという産出能力は測定しておらず、介護現場で必要とされるコミュニケーション能力を担保するものではないと指摘されています。介護分野での労働条件と低賃金を放置し続けたまま、技能実習の職種に介護を追加することは、介護サービスの質の低下や新たなトラブルの可能性が大きいのです。介護報酬や配置基準への算入は断じて行ってはなりません。
以上です。
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