沖縄県東村高江区へのヘリパッド建設をめぐる仮処分申し立ての取り下げと同計画の中止・撤回を求める要請書
沖縄防衛局は昨年十一月、沖縄県東村高江区へのヘリパッド建設に反対して座り込みを行なう住民に対する通行妨害禁止等の仮処分申し立てを那覇地方裁判所に行なった。
「静かな生活を送りたい」「やんばるの貴重な自然を守りたい」と憲法に保障された正当な抗議活動を行なう住民を国が司法を使って排除しようとしたものであり、前代未聞の暴挙である。その後取り下げたものの、当初の処分対象には、八歳の子どもまで含まれていた。
住民の座り込みは、工事強行に対する監視と説得活動であり、保全処分等で排除されるべき妨害行為ではない。しかも、通行妨害の証拠とされた写真に人違いが含まれていることもわかり、防衛局による処分対象選定のずさんさも明らかになった。政府は、不当な仮処分の申し立てをただちに取り下げるべきである。
そもそも高江区へのヘリパッド建設は、一九九六年のSACO最終報告に基づき、北部訓練場の北側半分を返還するのと引きかえに計画されたものである。
高江区の集落を取り囲むようにして米軍ヘリのヘリパッドを新たに六箇所建設するものであり、最も近いヘリパッドは民家から四〇〇mしか離れていない。東村には、すでに十五箇所のヘリパッドが存在し、ヘリによる昼夜を分かたぬ訓練で、住民は騒音や墜落の恐怖にさらされている。
普天間基地に代わる新たな基地が名護市辺野古に建設されれば、訓練はいっそう拡大され、墜落事故を繰り返してきた海兵隊の最新鋭垂直離着陸機オスプレイの危険な訓練場となる。
やんばるの森は、ヤンバルクイナやノグチゲラなど、世界的にも貴重な動植物が生息し、世界遺産への登録も検討されている地域であり、このような地域で新たな基地建設は行なうべきでない。
二度にわたり区民総会で建設反対の決議を上げるなど、高江区民の意思は明白である。
政府は住民の意思を正面から受け止め、「基地のたらい回し」をやめ、ヘリパッド建設をただちに中止・撤回すべきである。
一.沖縄県東村高江区へのヘリパッド建設をめぐる仮処分の申し立てを取り下げること
一.ヘリパッド建設を中止・撤回すること
二〇〇九年十月二十九日
日本共産党国会議員団
衆議院議員 赤嶺政賢
衆議院議員 笠井亮
参議院議員 井上哲士
参議院議員 仁比聡平
防衛大臣 北澤俊美殿