岡山県倉敷市の水島コンビナートJX日鉱日石エネルギー製油所の海底トンネル工事現場で2月7日に発生した「落盤か」とのニュース映像に血が凍った。すさまじい量と圧力の海水が坑道の資機材を破壊し押し流した。行方不明になった5人の労働者の捜索は難航し、3月3日に最後の5人目の遺体が確認された。胸が張り裂ける思いである。
巨大な製油・石油化学工場間の「高度な連携で国際競争力強化を」と、国から補助金も受けゼネコン鹿島が受注した工事の重大災害である。なぜ事故が起こったのか。なぜ工事は許可されたのか。5日、石村智子衆院中国ブロック比例候補、党岡山県議団・倉敷市議団とともに、県・岡山労働局・JX水島製油所を調査のため訪れた。

亡くなった現場責任者は事故直前、携帯電話で「ブレーカー」「漏電」など電気系統のトラブル発生を陸上に伝えていた。専門家からは「掘削機(シールドマシン)の電源喪失で土砂を支えるジャッキの圧力が低下したのではないか」「軟弱地盤に140トンもの掘削機が傾いたのではないか」などの指摘が相次いでいる。徹底した原因究明のために、労働局はじめ関係当局は掘削機の引き揚げを求めるべきではないか。

驚くべきは、鹿島が今回の工事に際して地質調査を行っていなかったことである。労働安全衛生法で求められる工事計画として届けられたのは、並行する第1海底トンネル工事のために実施した10年前の調査報告書だった。私たちの質問で、その調査でも海底トンネルの横坑道部分のボーリング調査は行われていないことが明らかになった。しかも第1海底トンネル工事の際、掘削機の排出口から水や石が噴き出すトラブルで工事が一時中断したことを、鹿島は関係当局に届け出ていないのである。

重大ではないか。JX水島製油所は、第1海底トンネルの工事費27億円に対し第2海底トンネルは17・5億円にすぎないことを認めた。重大な危険をもたらす工事を「企業任せ」にしてはならない。コンビナート災害から労働者と住民の安全を守る規制を抜本的に強化すべきである。(しんぶん赤旗 2012年3月7日)