20161116_1453026 安倍政権は15日、南スーダンPKOの自衛隊に武器使用を辞さない新任務を付与した。多数の部族間の内戦が石油開発や利権もからんで深刻化するなか、平和主義を踏み破る暴挙である。憲法を覆す安保法制の全面的具体化、米軍一体化と肩代わりを推し進める暴走に震える怒りを覚える。

 

その安倍政権が「成長戦略の切り札」としがみつき、「この道しかない」とばかりにTPP(環太平洋連携協定)承認の強行突破を図っているのは、愚の骨頂である。

 

米大統領選挙において「就任初日にTPP離脱を宣言する」と繰り返し表明してきたトランプ氏が次期大統領に決まり、もはやそのまま発効する見通しはなくなるなかで、その国際政治の行方を見極めもせず、政府与党は、何をどう審議しようというのか。大前提が大きく揺らいでも、立ち止まりも、見極めもせず、今国会で承認・成立を図ろうというのか。

 

安倍政権が猛省のうえ見極めるべきは、グローバル資本主義の深い矛盾と行き詰まりである。

 

TPPは、農業と食糧主権、食の安全、知財、医療、保険、公共調達など、国民経済・国民生活のあらゆる分野で関税および非関税障壁を原則撤廃し、多国籍企業と投資家の利益のために主権を侵害するISDS条項を含む重大問題である。米国に広がる格差と失業、貧困、地域の破綻は、その多国籍企業中心のグローバル経済が陥っている深刻な矛盾と行き詰まりを示している。

 

世界と日本の政治に問われているのは、新自由主義から各国国民のくらしと命を守る、いわば行き過ぎたグローバル資本主義の転換である。平等互恵の経済ルール、環境問題の解決、北東アジアの平和と安定、核兵器廃絶。大きな視野に立って激動に立ち向かいたい。(しんぶん赤旗 2016年11月16日)