日本共産党国会議員団は10月8日、「すべての水俣病被害者の早期全面救済」を求める要請書を浅尾慶一郎環境相あてに提出しました。山下芳生副委員長・参院議員、田村貴昭衆院議員、井上哲士、仁比聡平の両参院議員が環境省特殊疾病対策室の森桂室長に要請書を手渡しました。

 要請書は、公式確認から68年がたつ水俣病の被害者を不合理に線引きし、切り捨ててきた国の施策を批判。ノーモア・ミナマタ第2次国賠訴訟で、水俣病被害者救済特別措置法で未救済の原告を水俣病患者と認める判決が相次ぐ一方、5月の環境相と患者団体の懇談中に環境省職員が患者のマイクを切る事態が起きたとして「被害者の声を聞こうとしない誤った姿勢がある」と指摘。「救済をこれ以上遅らせることは人道上も許されない」として6点の実現を求めました。

 狭く不合理な1977年の判断条件や2014年の通知を改め、感覚障害のみで水俣病と認めることや、公害健康被害補償法の運用を改めることを要求。司法の場による救済を図ること、不知火海沿岸・阿賀野川流域に居住歴があるすべての住民の健康調査を行うことなどを求めています。

 山下氏は「これ以上高齢化した患者の救済を放置するわけにいかない。全面救済は政治の責任だ」と主張。田村氏は「裁判では線引きを超え水俣病と認定されており、基準を抜本的に変えないと救済できない」と指摘しました。

 仁比氏は、新しい環境相がこの問題への認識も問われないままの衆院解散を批判し、「被害者が被害者として救済されていない事実から出発すべきだ」と要求。井上氏は「病苦を負って困難な人生を送ってきた被害者の切実な声を受け止めてほしい」と述べました。(しんぶん赤旗 2024年10月9日)