水俣病問題を巡り、手足のしびれなどの症状があるのに救済されない水俣病患者らは6月5日、衆院第2議員会館で国会議員を前に、日常生活もままならない実態を語り、早期救済に向けて協力を求めました。一方、環境省内で開かれた伊藤信太郎環境相との交渉の場では、国が積極的に救済に乗り出すよう決断を迫りました。

 院内集会は「水俣病被害者と歩む国会議員連絡会」が主催。国などを相手にを裁判を闘う「ノーモア・ミナマタ第2次訴訟」の各地の原告らが被害実態を訴えました。日常生活を撮影したビデオが流されました。

 ビデオ出演した鹿児島県出身の女性は、手足のしびれや感覚障害などの症状があります。何かを握るときに震えがひどくなります。小銭がうまくつかめない様子やペンを持つ手が震えて一本線をうまく書けない様子などが映し出されました。

 「子どもに母親らしい事を十分にしてあげられなかった」と述べた女性。一番悔しかった事として、「『危ないから』と言われ子どもを抱っこをさせてもらえなかった」と述べました。

 熊本訴訟の園田昭人・弁護団長は「環境省は救済に踏み込む体制になっていない。そこで大事になるのが国会での働きかけだ」と参加議員に協力を求めました。

 同日には、「第49回全国公害被害者総行動」もありました。環境省内で水俣病被害者団体らは、公害問題の解決に向けて伊藤環境相と交渉を行いました。「水俣病不知火患者会」の岩﨑明男会長は、一日も早い水俣病被害者の救済のために「リーダーシップ」をとるよう求めました。伊藤環境相は、被害者団体との協議の場を継続的に行う意向を示しました。

 院内集会には、日本共産党の山下芳生、仁比聡平、紙智子の各参院議員や野党議員が参加しました。(しんぶん赤旗 2024年6月6日)