○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。

本日、この異例の本会議が行われることとなったのは、甘利明前大臣が、安倍内閣中枢の重要閣僚として政府四演説を行いながら、代表質問の直後に辞任したからであります。しかも、その理由は、前大臣と公設秘書が多額の金銭を受け取って口利きを行ったという、あっせん利得罪を始め、議員の資格そのものが問われる重大疑惑です。大臣を辞めたからといって、幕引きが許されるものでは断じてありません。

まず、伺いたい。甘利前大臣を重んじてきた総理自身の任命責任、真相解明の責任の重大性をどのように認識しているのですか。

甘利前大臣は、報道は記憶と違う部分があると繰り返してきましたが、辞任会見で、自ら、大臣室そして地元事務所でくだんの人物と直接面会し、それぞれ五十万円入りののし袋、計百万円の現金を受け取ったことを認め、違いは内ポケットに入れたかどうかにすぎませんでした。それでも、前大臣は何ら国民に恥じるところはないと述べましたが、安倍内閣ではこうした現金の授受が日常茶飯事なのですか。

総理は、早い段階で前大臣から相談されていたと報じられていますが、その時点で、前大臣が自ら現金を授受したのか否かを聞かなかったのですか。

遅くとも一月二十一日、本院決算委員会において、前大臣は、総理の目の前であれだけ追及され、面会の事実は認める一方で、焦点の現金の授受があったことを否定しませんでした。それでも、総理は現金授受の真否を確認しなかったのですか。それとも、授受を知りながら、総理自身、何ら恥じるところはないと判断して、一月二十七日、この本会議場で、重要な職務に引き続き邁進してもらいたいと続投を明言されたのですか。明確に答弁いただきたい。

前大臣は、辞任会見において、地元事務所での二回目の現金授受に当たって、産業廃棄物をめぐるトラブルについて自ら相談を受け、ファイル二冊くらいの資料を東京の秘書に渡すよう指示し、その上で五十万円を自ら受け取ったことを認めました。ファイルを受け取った東京の秘書は関係行政機関に説明を求めたとのことですが、総理の盟友中の盟友であり、アベノミクスの司令塔と知らぬ者のない甘利大臣の秘書からの説明要請は、甘利大臣の権限に基づく影響力の行使であることは明らかであります。

URへの口利き疑惑について、政府は、決算委員会で石井国土交通大臣が調査を約束しながら、甘利前大臣の辞任会見まで調査中と称して資料を出しませんでした。なぜですか。前大臣とつじつまを合わせたのではありませんか。

URは、甘利事務所と十二回もの接触があったことを明らかにしました。総理、これが口利きでなくて何だというのでしょうか。黒塗りなどせず、メモの原本や電話のやり取りを含め、一切を責任を持って明らかにすべきです。答弁を求めます。

総理、辞任の理由について甘利前大臣は、私の政治家としての美学、生きざまに反するからだと声を詰まらせ、なお、小選挙区だから、いい人だけ付き合っているだけでは選挙は落ちてしまうと金集めを正当化し、居直りました。国民の感覚と懸け離れています。その前大臣を重用し、疑惑が発覚しても、わなを仕掛けられた感があるなどとかばい立てを続けることが総理と自民党の美学ですか。

一体どこを向いた誰のための政治か、そこが問われています。

二〇一二年の安倍政権発足後、大臣辞任は四人目です。二〇一四年、経団連は政治献金の呼びかけを復活し、大銀行や原発利益共同体など、自民党への企業・団体献金は大幅に増加してきました。見返りを求めるからこそ差し出される企業献金への倫理観の麻痺に今回の事件の根源があるのではありませんか。

総理、パーティー券も含め企業・団体献金の全面禁止へ足を踏み出すべきです。その認識を厳しくただし、質問を終わります。(拍手)

〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 仁比聡平議員にお答えいたします。

任命責任と真相解明の責任についてお尋ねがありました。

政治活動については、内閣、与党、野党にかかわらず、一人一人の政治家が国民の信頼が得られるよう自ら襟を正し、説明責任を果たすべきものであります。その上で、閣僚の任命責任は内閣総理大臣たる私にあります。私が任命した閣僚が交代する事態を招いたことについては、国民の皆様に対して大変申し訳なく感じております。

経済の再生は、引き続き安倍内閣の最重要課題であります。正念場にあるアベノミクスを前進させ、デフレ脱却を確かなものとすることにより、国民への責任をしっかりと果たしてまいります。内外の課題が山積する中、今後、更に緊張感を持って政権運営に当たっていく決意であります。

安倍内閣における政治資金の取扱いについてお尋ねがありました。

甘利前大臣は、さきの会見において、自らに係るものについては秘書に指示し政治資金として処理した旨説明しております。政治家たる者は、内閣、与党、野党を問わず、自らの政治資金について国民に疑念を持たれぬよう、法にのっとり適正に取り扱わなければならないことは当然のことであります。安倍内閣においても、政治と行政への信頼を確保するため、公私混交を断ち、職務に関して清廉性を保持することは当然のことであり、各閣僚は政治資金について法にのっとり適正に取り扱っているものと考えております。

甘利前大臣と私との間でのやり取りなどについてお尋ねがありました。

本件については、当初より甘利前大臣自らが事実関係に関する調査をしっかりと行い、説明責任を果たす姿勢を明らかにしていたことから、私は、国会において、自ら国民に対して説明責任を果たし、重要な職務に邁進してもらいたいと申し上げたところです。そして、その翌日、調査結果とともに辞職の意向を示されたため、その重い決断を尊重することとしたものです。

甘利前大臣事務所とURとのやり取りについてお尋ねがありました。

URとの関係については、国土交通省及びURにおいてしっかりと事実関係を調査した上で、個人情報などに配慮しつつ、必要な情報は適時適切に開示しているものと承知しております。

一般に、国民の代表たる国会議員の事務所から問合せがあればできるだけ丁寧に対応することが基本であり、URにおいてもそのように対応したものと聞いております。

甘利前大臣のかばい立てを続けるのかとのお尋ねがありました。

政治活動については、内閣、与党、野党にかかわらず、一人一人の政治家が国民の信頼が得られるよう自ら襟を正し、説明責任を果たすべきものであります。その前提の上で申し上げれば、政治家たる者、国家国民のために何をなすべきかに常日頃から心を砕いているはずであります。

そうした中で、今般、甘利前大臣が、監督下にある事務所が招いた国民の政治不信を秘書のせいと責任転嫁するようなことはできない、そして、いささかといえども国政に停滞をもたらすことがあってはならないと自らの出処進退を決められたことは、大変重い決断であります。

私としては、そのような甘利前大臣の政治家としての出処進退に係る重い決断を尊重したところであり、御指摘のようなかばい立てを行ったことは一度もございません。

いずれにせよ、私が任命した閣僚が交代する事態を招いたことについては、国民の皆様に対し、大変申し訳なく感じております。内外の課題が山積する中、今後、更に緊張感を持って政権運営に当たっていく決意であります。

企業・団体献金の全面禁止についてお尋ねがありました。

政治活動に対する献金の在り方については、長年の議論を経て、企業・団体献金は政党等に対するものに限定されるなど、種々の改革が行われてきたところであります。許してはならないのはお金でもって政策をねじ曲げようという行為です。それは、個人であれ団体であれ同じことであり、企業、団体が政党等に献金すること自体が不適切なものとは考えておりません。

いずれにせよ、この問題は、民主主義の費用をどのように国民が負担していくかという観点から、各党各会派において十分に御議論いただくべきものと考えております。(拍手)