84人の原告全員を再度「被爆者」と認めた7月14日の「黒い雨」訴訟広島高裁判決。原告団長(83)=佐伯区=が「皆さんの証言が認められた」と裁判所前で報告すると、原告らに「よかった」と拍手と笑顔が広がりました。

 広島弁護士会館で開かれた報告集会には50人の原告を含む弁護士や支援者170人が集まり、「国、市、県は上告せず、速やかな被爆者健康手帳の配布を求める」などの声明を発表しました。高野原告団長は「大変ありがたい判決で、感謝しています。明日から上告断念を求めて行動します」と報告しました。

 原告の男性(80)は「一日たりとも延ばしてほしくない。たくさんの人が苦しみながら亡くなりました。原告だけでなく見守っている人もいます。速やかに手帳を配布してほしい」と語りました。

 原告の男性(81)=佐伯区=は「一審も二審も全員勝訴して喜んでいます。黒い雨地域の拡大が認められてよかったし、国や県、市は控訴を断念してほしい。高齢になっているので裁判は終わりにしてほしい」と訴えました。

 広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長は「市や県は被爆者と認めているのだから上告せず、一日も早く被爆者健康手帳が届くよう共に頑張りたい」と述べました。

 弁護団の竹森雅泰事務局長は「一審判決を支持・強化した判決です。被爆者救済は国の義務であり、原告は高齢化しており時間がないので、上告することなく被爆者と認め、被爆者援護行政を見直す必要がある」と語りました。

 被爆から76年。「黒い雨」訴訟の提訴から約6年が経過。原告のうち18人が亡くなりました。

 日本共産党の大平よしのぶ前衆院議員・衆院中国比例候補、仁比聡平前参院議員が参加しました。(しんぶん赤旗 2021年7月15日)