○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

今日は、集団的自衛権と存立危機事態における自衛隊の活動についてお尋ねをいたします。

集団的自衛権は、日本が攻撃されていないのに、密接な他国、米国の戦争に参加し、日本が武力を行使することであり、憲法九条に明白に反する憲法違反です。

ところが、法案は、我が国と密接な他国に対する攻撃を時の政府が存立危機事態だと、明白な危険だと認定すれば、我が国がそれに対して武力を行使するとなっているわけですね。

パネルの一枚目を御覧いただきたいと思うんです。(資料提示)

私どもが入手をいたしました海上自衛隊の海上幕僚監部、幹部学校の作戦法規研究室による平和安全法制についてという内部資料にある表をパネルにしたものです。

御覧のように、船舶の停船検査等、後方支援、機雷掃海、そして米艦等の防護等、この四つの活動を戦争法案の中から特に抜き出して、テーマは存立危機事態における海上作戦と題して説明がなされているわけですね。機雷掃海も、そして下の米艦等の防護等、これ特に赤く強調をされているというふうに私受け止められるんですけれども、ここに書かれているように、自衛隊法八十八条に基づく武力の行使として実施するという説明になっています。

そこで、中谷大臣にまず確認をいたしますけれども、存立危機事態なんですから、武力の行使として機雷掃海も米艦等防護も行われるということですね。

○国務大臣(中谷元君) 存立危機事態におきましては、我が国は存立危機事態を終結させるために必要な行動を取るということで、この場合に我が国が排除することが可能なものは存立危機武力攻撃、すなわち、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合ということでございます。

御指摘の四項目は今回法案で提出をしたものに基づく活動内容でございまして、その存立危機事態におきまして、我が国は存立危機事態を終結させるために必要な行動を取るということで、そこに掲げた行為を実施するということでございます。

○仁比聡平君 いや、はっきりお答えいただきたいんです。

日本が武力を行使するわけでしょう。この機雷掃海と米艦等の防護等ということで書いてある自衛隊法八十八条に基づく武力の行使、今、存立危機武力攻撃とおっしゃいましたが、その存立危機武力攻撃を排除するために日本が武力を行使するということですね。

○国務大臣(中谷元君) そのとおりでありまして、我が国の存立に関わるような状況におきまして、それに行われている武力攻撃、つまり存立危機武力攻撃、それを排除するために自衛隊法八十八条に基づく武力の行使として対応、実施するということでございます。

○仁比聡平君 その上にある後方支援というのはどうなのか。ここに書いてありますように、米軍等行動関連措置法に基づく措置と。この法律も今回の戦争法案の中で改定をされようとあなた方は提案をしておられるわけですが、ここに言う後方支援というのは存立危機事態における後方支援なわけですから、これは、重要影響事態だとか内閣が国際平和というその恒久法、ここに言う後方支援とは違って、武力の行使の一環として実施するということですね。

○国務大臣(中谷元君) 存立危機におきましては、我が国は、存立危機事態を終結させるために、存立危機武力攻撃を排除するために必要な行動を取るほかに、存立危機武力攻撃を排除するために必要な行動を実施している外国の軍隊に対して後方支援、これを実施することが可能でございます。

実施する場所等についても一概にお答えすることはできませんけれども、存立危機事態における武力の行使が基本的に公海及びその上空において行われることになる以上、そのための後方支援についても同様であると考えております。

何が存立危機武力攻撃になるかにつきましては、どのような状況を存立危機事態として認定しているかによって異なりますが、存立危機武力攻撃を排除するために必要な行動を実施している外国の軍隊に対しては、我が国は、米軍等行動関連措置法第十条に基づきまして後方支援、これを実施することが可能でございます。

なお、存立危機事態において新三要件に該当すると判断する場合には、このような後方支援を実施することは憲法上問題を生じるものではないと考えております。

○仁比聡平君 いや、基本的に公海やその上空において行うなんていうようなことが一体どこに書いてあるんだと。これは、この委員会で我が党井上議員からも問われ、まともに答弁ができないでいるというそうした状態なんですが、その問題は後に議論をするとして、この重要影響事態法だとか恒久法とは訳が違うと。我が国が存立危機事態だというので武力を行使している場面での米軍などに対する後方支援なんですね。

今、場所を一概に申し上げることはできないがという趣旨の御答弁ありましたけれども、重要影響事態法やあるいは恒久法案では、他国の武力行使と一体化すると評価されないか否かとか、あるいは現に戦闘行為が行われている現場かどうかというのが問題になっていますが、この存立危機事態における武力行使においてはそんな問題はありませんよね。

○国務大臣(中谷元君) これは自ら武力行使をしている状況の下でございますので、そういうことはございません。

○仁比聡平君 つまり、武力行使として現に戦闘行為が行われている現場であっても、その後方支援をやるというわけですよ。軍事作戦、武力行使の一環なんですね。実際、この行動関連措置法には、米軍の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置と書いてあるだけで、何の留保もありません。これ、なかなか重要なことだと思うんですね。

もう一つ、船舶の停船検査等についてですけれども、これは、このパネルには海上輸送規制法に基づく措置と書かれています。これは、行き交う船舶が敵国の軍用品などを輸送していることが疑われる場合に停船を命じ検査や回航を行う、例えば日本の港に連れてくる、こういうことをやるんだというわけですが、この存立危機事態における船舶検査というのは、例えば重要影響事態のときには、その相手の船の船舶を管轄する国、旗国、旗の国というふうに言うんだと思いますが、その同意などの要件とは違って、軍事作戦の一環として強制措置として行うということですね。

○国務大臣(中谷元君) 存立危機事態におきましては、海上輸送規制法、これに基づきまして、防衛大臣が定める実施区域を航行している船舶、これが外国軍用品等を輸送をしているという疑うに足りる相当な理由がある場合には、当該船舶に対して停船検査等の措置を行うことができるということであります。

実施する場所についても一概にお答えすることはできませんが、基本的に公海において行われることになると考えております。その上で、外国の領海については、当該外国の同意がある場合に限り行うことができることでございます。

この海上輸送規制法に基づく停船検査等の措置は、対象が民間船舶であることなどから、憲法上自衛権の行使そのものではなくて、自衛権の行使に伴う必要最小限度の措置と位置付けられており、従来から武力の行使には当たらないと整理をされておりまして、存立危機事態において新三要件に該当する場合にこれらの措置を実施することは、憲法上問題を生じるものではないと考えております。

○仁比聡平君 一概に言えない、基本的に公海なんてどこにも書いていない。

この船舶検査も、これ、軍事作戦の一環として行われるということは、おっしゃるとおり、お認めになっているわけですよね。相手が従わない場合には戦闘に発展する危険性もある。つまり、この四つの活動は、武力の行使として、あるいはその一環として行われるということです。

次のパネルを御覧いただきたいと思います。

この海自の幕僚監部の資料には、この一枚目の資料を踏まえて、説明を踏まえて、次のページに存立危機事態における海上作戦例と題してこの図が示されているわけです。先ほどの四つの海上作戦が図解をされている。

ちょっと御覧いただきたいと思うんですが、真ん中で海上自衛隊が機雷掃海を行っています。左下の方ですね、米軍、あるいは密接な他国、B国ということで、その艦艇と並んで海上自衛隊の艦船が後方支援を行っている。先ほどの武力行使としての後方支援ですね。右の方を見ると、武力行使として米艦等の防護を海上自衛隊が行っていて、恐らく哨戒ヘリ、対潜哨戒ヘリなんだと思うんですけれども、を飛ばして敵A国の潜水艦を索敵している。捜索し、探知しようとしている。そして、一番左側ですけれども、海上輸送規制法に基づく停船検査として、この周辺で先ほどの危険な停船検査を海上自衛隊が行っているという、こういう図解なわけです。

これ、中谷大臣に確認をいたしますが、存立危機事態において、こうした海上作戦を具体的に考えているということですね。

○国務大臣(中谷元君) 先ほど四つの項目の質問がありましたが、これは全て法律に書かれた内容でございます。今、絵でお話がありましたが、例とタイトルで書かれておりますように、後方支援だけではなくて、存立危機事態において海上自衛隊が行う各活動の例について一枚の絵に全て入れ込んで単純化した一つのイメージ図でございまして、このスライドの図におきましては、それぞれの活動における相互の関連、また距離感等は考慮はされていないものと考えますし、また、後方支援は安全に行うということが大前提であることは政府が説明をしているとおりでございますが、先ほど御指摘のあった四項目について、一枚の紙にイメージ図として描かれたものではないかということでございます。

○仁比聡平君 幾つもちょっと疑問のある御答弁だったんですが、まず後方支援ですが、先ほど確認したように、存立危機事態における後方支援というのは武力の行使として行っている。安全な場所で行うなんて、そんな答弁、これまでありますか。

○国務大臣(中谷元君) 武力の行使ではございません。

○仁比聡平君 先ほど確認したように、現に戦闘行為が行われている現場だって行くわけでしょう、後方支援で。何の制約もないでしょう。何が安全な場所で行うんですか。

○国務大臣(中谷元君) 憲法上は制約がなくて、存立危機事態において新三要件に該当すると判断する場合には、このような後方支援を実施することは憲法上問題が生じるものではないということでございます。

○仁比聡平君 いや、憲法上問題が生じないとあなた方勝手に言うけれども、現に戦闘行為を行われている現場で後方支援するわけでしょう。違うんですか。認めなさいよ。

○国務大臣(中谷元君) 武力行使をするようなものではございません。後方支援を実施するということで、これは安全を確保しながら実施をするということでございます。

○仁比聡平君 どこに、どこに根拠があるんですか。法案上、何も排除されていないじゃないですか。何が根拠があるのか示しなさい。

○国務大臣(中谷元君) これは新三要件に該当するという場合で、憲法上は問題はないんですけれども、実際に活動する場合には後方支援でございますので、安全に配慮をしながら行うということでございます。(発言する者あり)

○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こして。

○国務大臣(中谷元君) これは、存立危機事態において新三要件に該当すると判断する場合でございます。しかし、そういった事態におきましても後方支援を実施するということはできるわけでございまして、武力行使そのものではございませんが、後方支援として実施をするということで、これは当然、安全に配慮し、また円滑な活動が実施できる、そういう範囲で後方支援を行うということでございます。

○仁比聡平君 いや、法案には、先ほど確認しましたが、米軍等の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置とするだけで何の留保もないんですよ。一方で、重要影響事態法案などには、もうこれは周辺事態法のときもそうですが、対応措置の実施は武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない、あるいは、先ほど来の現に戦闘現場でと、今回の法案で皆さんがおっしゃっているようなことが書いてある。

だけれども、この存立危機事態における後方支援というのは違うじゃないかと。排除されるというのだったら、その根拠を示しなさいというのに、あなたは答弁されない。なぜですか。

その排除される根拠を示していただきたい。

○国務大臣(中谷元君) 存立危機事態が認められる重要影響事態と存立危機が認められない場合の重要影響事態、これは違うわけでございます。この米軍行動関連措置法というのは日本の武力攻撃事態を作る際にできた法律でございまして、いわゆる米軍に対する後方支援、これが行われるというのがその内容でございまして、今回、存立事態におきましてもこれを適用するということで、基本的には米軍等の後方支援、これを行うことができるということで、武力行使ではありませんが、後方支援として米軍の支援をするというのがこの法律の内容でございます。

○仁比聡平君 もう法案担当大臣とは思えない、全然混乱して訳分からないんですよ。

性格が違うというのはもうはっきりしたと思いますから、これは委員長、統一見解を出していただくように理事会で御協議いただきたいと思います。

○委員長(鴻池祥肇君) その件に関しましても、後の理事会においてお諮りをするようにいたします。

○仁比聡平君 つまり、次に進みますけれども、一つ一つの作戦はできるようになるというのが法案なんですね。これが同時に、あるいは一体に行えないなんというようなことは、法案にはどこにも書いてないわけです。そうでしょう、大臣。

○国務大臣(中谷元君) 実際に可能なものを列挙して、それをイメージした図でございまして、同時に実施するとか、一つやるとか、それはそれぞれの状況、態様によるものでございまして、全て同時に実施するというような話ではないということでございます。

○仁比聡平君 いや、全て同時に実施するって、ほかにもいっぱい活動はあるわけですから、それはいろいろあるんだろうけれども、同時に実施してはならないなんという条文はない、排除されない。それはお認めになりました。

そこで、総理にお尋ねしたいんですが、あなたは、機雷掃海は事実上の停戦合意があるとか、あるいは静穏な状況でなければできないとこれまで答弁をしてこられました。しかし、この図は到底そんな状況ではありません。御覧のとおり、B国、密接な他国である例えば米軍の艦船は、敵A国の艦船に対してミサイル攻撃を行っている。まさに戦争のさなかなんですね。この作戦例は、敵艦へのミサイル攻撃を米軍が行っている状況の下で自衛隊が後方支援する、米艦防護をする、機雷掃海をする、停船検査もするという言わば日米の統合作戦の例、日米共同の作戦の海上作戦例でしょう。

総理、そういう中で武力行使としての機雷掃海も行うということになるんではないんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは一枚の紙に描いた、ある意味では単純なイメージ図であります。

基本的には、従来からお答えをしているように、掃海艇自体が木造あるいはプラスチックでできているという脆弱性を持つものであり、事実上、戦闘行為が行われているさなかにおいて機雷掃海をすることはできないと、こう考えているわけでございます。

それと、ホルムズの例として挙げさせていただきましたのは、ホルムズにおける機雷掃海については、これは言わば外国の領海で行うものについては、一般に海外派兵は禁じられているという中において、受動的、制限的になるということをもって必要最小限の中に入ると、このように申し上げているわけでありますが、同時に、実際のオペレーションにおいては今申し上げたとおりでございまして、これはまさに、繰り返しになりますが、単純に一枚の紙に全てを描いているということにすぎないと、このように思います。

○仁比聡平君 いや、一枚の紙に描いただけのイメージだと勝手に言うけれども、海自の幕僚監部がこういう想定で例として出しているわけでしょう。実際、法案上はそれぞれできるわけじゃないですか。同時に、あるいは一体にできないなんということはどこにも排除されていない。あなたの念頭には静穏なとか事実上の停戦合意がとかとあるかもしれないけど、これ前提にしていないでしょう。こういうことも今度の法案で行えるということじゃないですか。中谷大臣、違いますか。

○国務大臣(中谷元君) これはまだ法律が通ったわけではございません。そういう白紙的な状況で、その法案に書かれている項目に対して一枚の絵に入れ込んで単純化をした一つのイメージ図でございまして、この内容等につきましては全く省内においても具体的に議論をしていなくて、全て国会の御議論を経て法律が成立してから運用するわけでございまして、その前段で示された四つの事項をただ単純にイメージとして描かれたものにすぎないということでございます。

○仁比聡平君 いや、何を言っているんですか。そういう運用の実施などを検討するというのがこの幕僚監部、この幹部学校の任務じゃないですか。この法案の審議中に、衆議院でも大問題になっている中でこうした議論がされている。私はもう国会審議がひっくり返る大問題だと思うんだけれども、この図もホルムズに限定しているわけじゃない。

総理に改めてお尋ねしたいと思うんですけれども、あなたはこういう海上作戦はやらないとおっしゃるのかということなんですよ。

四月に、総理がこの夏までにとあの議会演説をされた訪米がありましたが、その直前に、あなた方は改定ガイドライン、日米防衛協力指針を合意をされました。この海幕が出している四つの作戦、海上作戦例のどの項目もガイドラインで協力項目として掲げられているでしょう。読みますか。「D.日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」という合意項目がありますが、日米両国が、各々、米国又は第三国に対する武力攻撃に対処するため、武力の行使を伴う行動を取ることを決定する場合であって、日本が武力攻撃を受けるに至っていないとき、日米両国は、当該武力攻撃への対処及び更なる攻撃の抑止において緊密に協力する。自衛隊は、武力の行使を伴う適切な作戦を実施すると。少し要約しましたけどね。

その協力項目として、作戦の例の三つ目に出てくるのが海上作戦じゃないですか。そこには、海上交通の安全を確保することを目的とするものを含む機雷掃海、艦船を防護するための護衛作戦、当該武力攻撃に関与している敵に支援を行う船舶活動の阻止、この三つが書いてある。その後に、後方支援として、作戦上各々の後方支援能力の補完が必要となる場合、柔軟かつ適時に後方支援を相互に行うと。あなた方が約束しているんでしょう。

この海上作戦例というのはガイドラインそのものじゃないですか、総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) いかなる事態が存立危機事態に該当するかについては、個別具体的な状況に即して、政府が全ての状況を総合的に、客観的、合理的に判断する必要がありますが、その上で申し上げれば、今挙げていただいた存立危機事態として認定されていることを前提とすれば、機雷掃海や米艦防護、後方支援、船舶の停船検査、いずれの活動についても関係法令の規定に基づき行われるものであると、こういうことでございます。

○仁比聡平君 いや、そんなことはガイドラインにも書いてありますよ。その上でこういう合意をしているわけでしょう。まさに海上作戦です。それは、事実上これ認めたのと同じですよ。これ、やるんでしょう、もう。やるんでしょう。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この絵は、これは非常に単純化をしているわけでございますし、この概念図においても、防衛省内あるいはもちろん官邸ともこれ認識を共有しているものでも全くないわけでございまして、実際に我々がやれること、やろうと考えていることについては既にるるこの委員会等を通じて述べてきたとおりでございます。

○仁比聡平君 この図を描いたのは、私ではなくて海上自衛隊の幕僚監部なんですから、そのことを改めて申し上げておきます。

この海上作戦の例で続けて伺いたいと思うんですが、この米艦等の防護なんですね。これは先ほど確認したように、自衛隊法八十八条に基づく武力の行使です。元々自衛隊法八十八条というのは、我が国が武力攻撃された我が国事態、日本有事の下での武力行使の規定として置かれてきたものですが、これを今回の法案で存立危機事態の集団的自衛権に基づく武力の行使の根拠にすると政府はおっしゃっている。これをもって何をどこまでできるのか、存立危機事態における武力の行使というのは一体何をやるということなのかということなんですね。

まず、この絵にあるのは、B国、米軍が敵A国を攻撃している、ミサイル攻撃をしているその周りで哨戒ヘリを飛ばして敵潜水艦を捜索、探知し、牽制、警戒すると。これはあるわけですね、中谷大臣。

○国務大臣(中谷元君) 具体的に全く検討はいたしておりません。先ほど、項目をイメージとして、例と書いていますが、まさに本当にイメージで、この法律のイメージを描いたにすぎないわけでございます。

そこで、お尋ねの米艦防護につきましては、存立危機事態においては我が国は存立危機事態を終結させるために必要な行動を取るということになりまして、この場合に我が国が排除することが可能なものは存立危機武力攻撃、すなわち、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるものでございまして、何が存立武力攻撃になるかにつきましては、どのような状況を存立危機事態として認定しているかによって全く異なります。

したがって、米艦に対する攻撃がこれに該当するという前提に立つならば、新三要件の下に我が国が武力を行使することによって、米艦に対する攻撃を排除するために必要な活動を実施するということが可能になるということでございます。

○仁比聡平君 いや、全く検討していないなんて、だって、ガイドラインでアメリカと合意をして、これができる法案をこうやって提案をしておられる。全然弁解になっていない。

その下でこういうことがやれるというのは確認をされたと思うんですが、つまり、そうすると、先ほど排除するために必要なことはやると言いましたけれども、自衛隊が防護している例えばB国の艦艇ですね、撃っている、この軍艦への攻撃がなくても敵A国潜水艦への攻撃もできると、そういうことですかね。

○国務大臣(中谷元君) 一概に答えられません。

いずれにしましても、三要件が成立した場合が大前提でございます。そして、その範囲におきましても、我が国の存立事態をもたらしている武力攻撃、これを排除するのにとどまるという範囲でございます。

○仁比聡平君 今のお話だと、自衛艦がこのA国の艦船にミサイルを撃つと。これ、平時の米艦防護でミサイルを撃つことはあるということを衆議院で答弁されているんですが、これは存立危機事態なので、これもあるわけですね。

○国務大臣(中谷元君) 新三要件の下、我が国が武力行使をすることによって米艦に対する攻撃を排除するために必要な活動を実施することは可能にはなるわけでございますが、そういった状況がどういう状況であるのか、こういうことを見て判断をするということになろうかと思います。

○仁比聡平君 総理、私は恐ろしいことだと思うんですよ。存立危機事態において、海上自衛隊だけ見てもこれだけのこと、つまり、こうした一連の存立危機事態における海上作戦をやる、やれるということです。我が国に対する武力攻撃はないわけですから、我が国に対する武力攻撃はないにもかかわらずこれだけのことをやるということがはっきりした。これが憲法九条違反でなくて何だというんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、まさに法律が成立をした場合の存立危機事態、言わば我が国の存立が危うくなる、この三要件の範囲内の中において何ができるかということについて、これは単純なイメージ図で、できることをこの一枚の紙にまとめて書いているわけでございますが、当然、前提となるものは三要件が当たると。まさに我が国の存立が危うくなり、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される、そういう明白な危険があって、かつ必要最小限度の実力行使の中にとどまらなければならないわけでありまして、そうした中において、まさにこの存立危機を発生させている攻撃を排除するということにとどまるわけでございまして、この中のものを全部できる、やるということではなくて、今言ったようなものの中において総合的に判断をしていくということになるわけでございます。

○仁比聡平君 いや、必要最小限度なんと言ってごまかして、強弁して、強行できると思ったら大間違いです。そんなのは全部時の政府の判断次第でしょう。

自衛隊は、政府は、我が国への武力攻撃を排除するための必要最小限度の実力組織だから合憲だとしてきた。それを一変させる。憲法九条をめぐって歴史的に積み重ねられてきた武力行使とは何か、戦力とは何か、交戦権の否認とは何か、全面決壊させる、そういうことになるじゃありませんか。

あさって八月六日です。長崎の日も来ます。戦後七十年の終戦の記念日も迎える中で、押し通そうとすればするほど、私はあなた方は追い詰められるだけだと思いますよ。憲法違反の戦争法案は断固廃案にするほかないということを強く申し上げて、質問を終わります。