○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、少年法一部改正案に反対の討論を行います。

 本法案の少年審判における国選付添人制度の拡大は当然の方向です。さらに、虞犯、そして全ての身柄拘束事件への拡大、権利としての付添人保障へ前進させることを強く求めるものです。

 しかしながら、検察官関与導入を始めとした二〇〇〇年改定以降、我が国少年法は、国連子どもの権利委員会からも、子どもの権利条約の原則及び規定と適合しないと、度重なる厳しい指摘を受けるようになりました。

 本法案は、これまで殺人、強盗など重大事件に限定していた少年審判への検察官関与を窃盗、傷害などにも広げ、身柄拘束された少年の八割にまで対象事件を拡大することになります。にもかかわらず、法案には裁判官の裁量的判断以外、限定的運用の保障はなく、これまでの運用を超えて広く検察官関与が行われる危険性は拭えません。少年法の保護主義の理念を壊しかねないものです。

 適正な事実認定のためといいますが、その必要性を基礎付ける立法事実は示されたとは言えません。逆に、検察官の関与は事実の精査につながらないと参考人からも指摘をされました。既に、検察官が訴追官的、糾問的に詰問した事例、要保護性審理にまで立ち会った事例、手続の主宰者たる裁判官の協力者といいながら、抗告受理申立てを濫用し、著しく少年の権利を侵害した事案が現れ、その下で冤罪も報告されていますが、それらは元来、国家刑罰権の実現を職責とする検察官が少年審判に関与すること自体の矛盾の現れというべきです。適正な事実認定には、何より警察、検察における少年捜査の全過程の可視化こそ実施されなければなりません。

 少年の不定期刑や緩和刑の上限引上げは、少年の可塑性、情操の保護の必要性などに鑑みた不定期刑の理念を損ない、厳罰化を強めるものです。それは、少年の改善更生、社会復帰をますます困難にすることが懸念されます。

 厳罰化ではなく、二〇〇〇年改定以降の運用実態を徹底して検証し、国際基準にのっとった少年司法の実現を強く求めて、反対討論を終わります。