外国人技能実習生の失踪・死亡事案について調査していた法務省のプロジェクトチーム(PT)は3月29日、2012~17年に43人が亡くなっていたことが新たに判明したなどとする調査結果を発表しました。

 失踪者5218人をめぐっては、賃金台帳などの資料を入手できた事例のうち759人について、最低賃金違反など企業側の違法・不正行為の疑いを認める一方、約2300人については「書類不備」として違法行為等の有無を判断しませんでした。死亡事案を把握できていなかった政府のずさんな体制と、違法行為等は氷山の一角であることが浮き彫りになりました。

 死亡事案は、法務省入国管理局が各地方入管局からの報告・届け出に基づいてまとめたもの。調査報告書は、地方入管局の報告漏れや本省の確認不足が主な要因で、「実習生の死亡事案を確実かつ網羅的に把握するための仕組みが整備されていなかった」としました。12~17年に亡くなった実習生は、従来の発表と合わせて171人。

 失踪者5218人(4280機関)に関する調査では、受け入れ企業の協力拒否や倒産・所在不明等が383機関・475人分ありました。客観資料を入手できた事例でも、賃金台帳の一部不記載など「軽微な書類不備」が2060人、台帳廃棄など「重大」な書類不備が222人に上り、調査の不十分さが示されています。調査は、昨秋の臨時国会で野党が失踪実習生への聴取票を共同集計し、「最賃違反が約7割」などの実態を明らかにしたことを受けたもの。

構造的問題 解決されず

 日本共産党の仁比聡平参院議員の話 PTが報告した最賃違反などの違法・不正行為は氷山の一角であり、「協力拒否」「倒産・所在不明」の事案こそ、深刻な権利侵害を疑うべきです。高額な手数料を徴収する母国の送り出し機関は調査さえしていません。これでは、多額の借金を負わされ、低賃金や劣悪な環境でも声を上げられない構造的な問題は解決されず、実習生は救われないままです。技能実習制度を土台とする「特定技能」でも、外国人労働者を食い物にする人材ビジネスや悪質ブローカーを排除できません。政府は4月からの「特定技能」の強行をやめ、技能実習制度の違法・不正行為を徹底して摘発すべきです。(しんぶん赤旗 2019年3月30日)