日本共産党は12月2日、地表から40メートル以深の地下を地上地権者の同意も補償もないまま工事を行うことを可能としてきた「大深度地下使用法」の廃止法案を参院に提出しました。発議者の山添拓政策委員長と、小池晃書記局長、山下芳生、倉林明子、井上哲士、大門実紀史、仁比聡平、岩渕友の各参院議員が、小林史武参院事務総長に手渡しました。

 法案提出にあたり、山添氏は大深度地下使用法に基づいて行われている東京外郭環状道路(東京外環道)の地下トンネル工事中に、東京都調布市の住宅地で陥没事故が発生(2020年)し、4年がたっても地盤補修や地域住民が戻る見通しが立っていないと強調しました。

 また、同法に基づくリニア中央新幹線の地下トンネル工事現場付近でも、東京都で水と気泡が湧きだし、岐阜県で水枯れや地盤沈下が起きていると指摘。「大深度地下とシールド工法という工事のあり方で、地表に大きな影響が出る事態が相次いでいる。大深度地下の利用をやめ、地下を掘る場合の安全な規制を定めていく法案だ。ぜひ審議を願いたい」と述べました。

 法案は(1)大深度地下使用法は廃止するものとし、政府は法施行後、1年以内に必要な法制上の措置をとる(2)すでに大深度トンネル工事が進んでいる場合、事業者は地上地権者の同意等を得なければならず、その間の工事は中断する(3)以上にかかわる損失について適正に補償する―という内容です。土地価格の減少などによる補償額の算定見直し、大規模地下開発による災害発生防止のための措置強化を盛り込んでいます。(しんぶん赤旗 2024年12月3日)