仁比聡平議員は4月16日の参院法務委員会で、法務省プロジェクトチーム(PT)による外国人技能実習生の失踪事案等に関する調査報告書の欠陥を指摘し、「これで幕引きは許されない」と迫りました。

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 報告書は3月29日に公表されたもの。山下貴司法相は、仁比氏に対し「可能な限り客観資料を入手し、調査したファクト(事実)を示した」と述べました。

 これに対して仁比氏は、「軽微な書類不備」を理由に違法・不正行為の有無を判断しなかった事例が2060人分と、調査対象の約半数に上ると指摘。「軽微」の中身について、出入国在留管理庁の佐々木聖子長官が「賃金計算期間の不記が多かった」と答弁したのに対し、「賃金台帳は、3年の保存期間が罰則付きで義務付けられている。賃金計算の基礎となる事実関係が記載されていないのは重大な権利侵害を疑うべき事例であり、『軽微』など、とんでもない」と批判しました。

 仁比氏は、不備のある資料を信用し、違法判断の対象にしない法務省の姿勢をめぐり、労働基準監督当局の一般的な対応を確認。厚生労働省の田中誠二大臣官房審議官は「労働者と使用者の主張に齟齬(そご)がある場合は、台帳だけでなくタイムカードや労働者への聴取等で判断する」と答え、法務省の不十分さが浮き彫りになりました。

 仁比氏は、調査で「軽微な不備」や不正行為の疑いがあるとされた事案は労基当局に通報されているとし、「労基当局の調査を踏まえ、失踪が生み出される構造的原因を究明し、対策をとるべきだ」と主張。山下法相は「労基署等の調査結果を待つ」と述べるにとどまりました。(しんぶん赤旗 2019年4月25日)