日本共産党の仁比聡平議員は5月13日の参院決算委員会で、建設アスベスト(石綿)被害について「大企業のもうけ優先が引き起こした公害というべきだ」と指摘し、国の責任で十分な調査、管理、除去・処分、暴露防止対策を進め、被害者の完全救済を行うよう求めました。
石綿被害をめぐっては1972年にILO(国際労働機関)、WHO(世界保健機関)が発がん性を警告していたのに、日本政府と企業は逆に使用を拡大し、2006年に、ようやく石綿含有0・1%超の建材の製造・使用を禁止しました。
仁比氏は、建設アスベスト対策と被害者救済が世界的に見ても大きく立ち遅れたことに対する政府の責任は重大だと指摘。政府は業界が自主規制する1989年以前の大規模建築物(約27万棟)、小規模建築物(約130万棟)について対策をすすめるとしているものの、調査台帳へのリストアップさえ終わっていない物件が今年1月末で47%と半数に上っているとして(1)専門職による調査を法的に位置づけること(2)調査対象と調査手法を明確化すること(3)石綿含有建材を使用している建築物全てを対象にハザードマップを整備すること―を提案しました。
厚生労働省の坂口卓労働基準局長は「適切な能力を有する事前調査者を育成確保することが求められていると認識している」と答弁。根本匠厚労相は「対策の充実を図っていく」と述べました。
さらに、仁比氏は、裁判ではすでに10度にわたって国の責任が断罪されていることをあげ、被害者の十分な救済を国の責任で早期にはかるよう要求。根本厚労相が「現行の救済制度の順守に取り組む」としか述べなかったことに対し、仁比氏は「それでは被害者は救済されない。被害者が置き去りにされれば、被害は根絶できない」と批判し、国と企業の責任を明確にして完全救済をはかるべきだと重ねて主張しました。(しんぶん赤旗 2019年5月14日)
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