4月20日に確認された宮崎県における口蹄疫は、その後被害を広げ、5月19日現在、牛、豚など12万5266頭にも及ぶ戦後最大の畜産被害となっている。バイオセキュリティが高いはずの宮崎県家畜改良事業団にまで感染が広がり、種雄牛49頭が疑似患畜として殺処分対象となるなど宮崎県と我が国の畜産の根幹を揺るがす事態となっている。

 手塩にかけて飼育してきた家畜の殺処分を受ける被害畜産農家の苦悩は筆舌に尽くせず、被害畜産農家以外の畜産農家もいつ感染するかと日々不安の状況におかれ、その精神的重圧は極限にまで達している。

 関係市町村、宮崎県などは、懸命な防疫措置をとっている。しかし、感染の急速な拡大は、その防疫措置が完全なものでないことを事実で明らかにしている。関係者の指摘でも、車両の消毒対象は、農業関係車両に限られ、一般車両は,消毒対象外となっていたなど防疫措置として不十分なものであった。

 しかし、被害は拡大する一方、依然として、埋却処理は進まず、被害農家の再建対策は、融資にとどまっており、不安が一層広がっている。また、九州をはじめ、いくつかの県においては、家畜市場の閉鎖に伴う収入途絶や畜舎などの消毒経費増など生産者の負担と不安は広がっている。

 日本共産党は、4月27日にいち早く調査団を宮崎県に派遣し、翌28日には、農林水産省副大臣に対して、国が埋却処理を責任持って行うこと。発生市町村に対して、国が一定額の資金提供を行い、市町村が機動的に防疫対策に取り組めるようにすること。
国としての人的な支援措置をおこなうこと。融資措置を中心とする支援策では、現実的ではない。直接補助支援が出来るように支援対策を転換することなどを申し入れた。

 感染の急速な拡大は、国の危機管理が不十分であったことを裏付け、反省が求められるが、今日の深刻な事態の広まりを踏まえ、改めて、口蹄疫を押さえ込み、宮崎の畜産業と地域経済を再建するために,左記のように申し入れる。



一、国の責任での防疫措置の徹底

1、口蹄疫を押さえ込み、感染を県外に何としても広げないために、国が防疫措置に全面的に責任を持ち、あらゆる人的資源を集中して、徹底的な防疫を行うこと。

2、処分家畜の埋却が迅速に行われるように、処分地の選定から埋却まで、国が責任を持って県と協力しながら行うこと。

3、感染ルート解明に全力を挙げ、ネズミなどウイルス媒介動物などの可能性についても究明し、効果的な防疫を行うこと。

4、全車両の消毒措置とともに公共施設以外の民間集客施設における靴底消毒措置の徹底を図ること。

5、関係市町村が機動的な防疫措置がとれるように、使用使途を定めない交付金を関係市町村に交付すること。

6、消毒機材が決定的に不足しており、政府の責任で早急に関係市町村に消毒機材を配備すること。

二、速やかに再生産可能な補償と営農再開の支援を

1、感染被害農家については、全額補償はもちろん、家畜の評価額の算定に当たっては、農家が再生産可能な価格で評価するなど生産者の立場に立った評価にすること。また、評価額が確定するまでに仮払いを実施し、生活支援をすること。

2、感染被害農家の家畜の埋却までの間のエサ代の補償を行うこと。

3、感染被害農家の経営再建のためには、殺処分対象家畜の補償にとどまらず、新たに導入する家畜が販売できるまでの3年程度の無収入期間の支援が必要であり、国が直接補助を行うなど支援措置をとること。

4、感染被害大規模経営農家の従業員の雇用の支援事業を行うとともに、社会保険、雇用保険等の支払の免除を検討すること。

5、 鳥インフルエンザの際に移動制限区域及び搬出制限区域をこれまでの20キロ、50キロから10キロ,20キロに区域を縮小した。そして,補償措置をこの区域内に限っているが、今回の口蹄疫の発生は、宮崎県全域に深刻な影響を与えている。
区域内農家に限らず、家畜市場の閉鎖で畜産農家は,家畜の出荷が出来ず,エサ代は,かさむ一方で深刻な打撃を受けている。また、動物用薬品や人工受精士,食肉加工メーカーなど関連産業も影響を受けている。また,自治体の様々な行事の中止で、弁当会社や関連企業にも影響を与えている。速やかに、実態を調査把握するとともに、地域・業種の隔てなく、これまでの移動制限区域内にとどまる補償でなく、国として全般的な補償・支援が出来るように検討すること。

三、全国的な対応の強化

1、口蹄疫の