(写真)質問する仁比聡平議員=11日、参院法務委

  DNA再鑑定によって冤罪(えんざい)が明らかになった「足利事件」をめぐり、日本共産党の仁比聡平議員は6月11日の参院法務委員会で、DNA鑑定の捜査上の位置づけを根本的に改めること、虚偽の自白強要を許さぬ「取り調べの全過程の可視化」の実行を強く求めました。(会議録全文→)

 仁比氏は、DNA鑑定は「型の判定」でしかなく、精度がいくら向上したところで「犯人を特定」することはできないこと▽逆に「型の不一致」の鑑定はアリバイの成立と同じく犯人でないことを示すものであること―を指摘。法務省の大野恒太郎刑事局長は「その通り」と認めました。

 しかし、実際の裁判ではDNA鑑定があたかも決定的な有罪証拠であるかのように使われ、危険な役割を果たしています。大野局長が精度の向上などで証拠採用も可能だと答弁。仁比氏は「それが『DNA鑑定神話』だ」と批判し、今後のDNA鑑定制度では試料の保存など再鑑定が可能なようにすることが最低限の義務だと主張しました。

 仁比氏は、過去にさかのぼってDNA鑑定の技法の変遷、それぞれの件数、裁判で証拠採用された事案の内容を明らかにするよう要求。大野局長、警察庁の米田壮刑事局長はそれぞれ「努力」を約束しました。

 仁比氏は、警察による自白強要が冤罪の温床となったことを指摘、こうした問題をくりかえさないために取り調べの「可視化」を実施するべきだと求めました。森英介法相は「捜査の必要」を理由に可視化の実施に消極的な態度を表明。仁比氏は「『取り調べの必要』で人の人生を奪うことは許されない」と厳しく批判し、過去の冤罪の検証と「可視化」の実現を強く要求しました。(2009年6月12日(金)「しんぶん赤旗」)