2008年6月4日(水)「しんぶん赤旗」

取り調べ一部可視化批判

参院委「捜査に悪用」と仁比議員



(写真)質問する仁比聡平議員=3日、参院法務委

参院法務委員会は6月3日、容疑者に対する取り調べの全過程を録画・録音(可視化)することを柱とした刑事訴訟法一部改正案(民主党提案)を採決し、日本共産党、民主党、社民党の賛成多数で可決しました。

賛成討論した日本共産党の仁比聡平議員は、取り調べの透明性の確保、冤罪(えんざい)の防止などの点から法案の必要性を強調。一方で、徹底した審議が行われなかったことには遺憾の意を表明しました。

仁比氏は、採決に先立つ質疑で、検察庁・警察庁が主張する一部可視化が捜査側に悪用される危険を明らかにしました。

仁比氏が一部可視化についてただしたのに対し、警察庁の米田壯刑事局長は、「心から自白している場面があれば、供述調書を被疑者に読み聞かせ、署名・押印させ、自己の供述内容に間違いないと語っているような状況を録音・録画する」と答弁しました。

仁比氏は、これでは裁判所に出てくる映像は自白を認めた映像だけになると指摘。来年度から裁判員制度が始まることをあげ、「裁判員、裁判所の判断を誤らせることになる」と批判しました。

また、二〇〇三年の県議選をめぐり、人権を無視した自白強要で公職選挙法違反がねつ造された鹿児島県志布志事件を取り上げ、「取り調べの過程を検証可能にすることなしに、どうやって再発を防止するのか」と強調。県警と検察が、強要の事実もみ消しに口裏あわせまでしていた事実を示し、「こういう取調官が録画する場面を決めるようなことになれば、無法を覆い隠すことになる」と批判しました。