自動車メーカーのマツダ(本社・広島県府中町)を派遣切りされた男性(43)=広島市中区=が、失業手当の給付日数を不当に減らされたとして国へ請求した再審査で、労働保険審査会(中嶋士元也審査長)は本澤さんの主張を2月10日付で認めました。広島公共職業安定所長が給付日数を減らした処分を取り消すとの審査会の裁決書が、郵送で届きました。

 男性の再審査請求代理人を務めた大山泰弘地域労組ひろしま副委員長と広島県労連の尾野進議長、門田勇人事務局長が2月15日、県庁内で記者会見して明らかにしました。マツダの元派遣労働者が失業給付すら十分に受けられない理不尽さについては、日本共産党の仁比そうへい参院議員が昨年3月12日、参院予算委員会で取り上げ、「違法の実態が認められる場合は、実態にふさわしい失業給付日数を認定すべきだ」と求めていました。

 男性は2004年12月から08年12月までの4年余、マツダの生産ラインで働きました。マツダは、3年を超える派遣労働者に直接雇用を申し込む義務があるとする労働者派遣法の規定を免れるため、本澤さんを4年余のうち「生産サポート社員」と呼ぶ約3カ月間の期間工として2回雇用しました。

 期間の定めのある労働契約では、3年以上働けば180日支給される特定受給資格が認められますが、男性の場合、最後の派遣期間が1年11カ月余りと広島公共職業安定所長に判断され、一般の離職者扱いで90日だけ支給されました。

 裁決書は、マツダのサポート社員制度について「法律上の義務に形式的に対応するため派遣労働者の雇用関係を派遣元から派遣先へ一時的に付け替えるための制度にすぎない」と指摘。男性の場合は「(04年12月に)派遣元に採用されてから3年以上経過した後の離職である」と判断しています。(2010年2月16日(火)「しんぶん赤旗」)