水俣病をめぐり多くの被害者が救済から取り残されている問題で、国、熊本県、加害企業のチッソに損害賠償などを求めている原告、弁護士らと日本共産党の国会議員が9月28日、参院議員会館で面談し、全ての被害者の早期救済を求める要望書を受け取りました。ノーモア・ミナマタ第2次近畿国賠訴訟弁護団の西念(さいねん)京祐、川上高史両弁護士、原告の石橋英子さん(71)、本(もと)良夫さん(67)が参加。共産党からは山下芳生副委員長(参院議員)、仁比聡平参院議員、宮本岳志衆院議員が参加しました。
水俣病特措法の運用の妥当性をめぐって争われた「ノーモア・ミナマタ近畿第2次訴訟」について大阪地裁は27日、原告128人全員を水俣病と認定し、国などに賠償を命じました。
面談で原告らは、判決を踏まえ、原告にとどまらない全ての被害者の救済のために、政治が役割を果たすべきだと求めました。
石橋さんは、鹿児島県長島町で生まれ、幼いころから熊本県水俣湾の周辺でとれた魚を食べていました。石橋さんは「水俣病はタブーとされ、自分が被害者だと知らなかった。亡くなった原告もいるので早く救済してほしい」と述べました。
本さんは手足のしびれや味覚障害があり、週3回リハビリに通っています。「判決結果を聞いてものすごくうれしかった。国は控訴せず、交渉のテーブルについてほしい」と涙ながらに語りました。
山下氏は「水俣病が被害者一人ひとりの人生をいかに苦しめてきたのか国は分かっていない。疫学をもとに出された判決を重く受け止めるべきだ」と述べました。
仁比氏は「今回の判決は被害者の苦しみを正面から認めたものだ。国は裁判で争うことがいかに非人道的であるか真摯(しんし)に受け止めるべきだ」と強調。控訴を断念させ、岸田文雄首相に被害者を早期救済させるために全力をあげると語りました。 (しんぶん赤旗 2023年9月29日)