日本共産党の仁比聡平議員は6月6日の参院法務委員会で、入管法・技能実習法改定案に税金や社会保険料が未払いの場合などに永住許可を取り消せる制度を盛り込むことに対し、「華僑や在日韓国人、日系ブラジル人などの当事者から撤回を求める声が広がっている」と述べ、岸田文雄首相に撤回を迫りました。(質問動画はコチラ
 神奈川県弁護士会は5日、「外国人市民に対する苛烈な差別」だとする会長談話を発表。その記者会見には横浜華僑総会の曽徳深顧問と台湾籍永住者の楊縵儀(ヤン・マンイ)氏が同席し、「永住権取り消しの不安は大きなストレスになる」と述べました。

 仁比氏が「この声にどう応えるのか」と迫ると、岸田首相は「当事者のヒアリングは行っていないが、当事者の意見は適切に踏まえている」と強弁。仁比氏は「当事者の声も聞かず、生活基盤を奪うのか。底深い外国人差別を拭い去る徹底審議こそ参院の重大な責任だ」と強調しました。

 岸田首相が「適切に踏まえた」とする法相の私的懇談会「第7次出入国管理政策懇談会」(2020年)では、有識者から「政策を決定する前に根拠を見せる必要がある」などの慎重・反対意見が相次ぎました。小泉龍司法相は「厳しい意見を聞いた」と認めました。

 仁比氏は「根拠も示さず、永住権を剥奪してはならない」というのが有識者の一致した意見であるにもかかわらず、法務省は有識者の批判を聞き置き、当事者へのヒアリングもせずに法案提出したと批判。岸田首相が「当事者の意見を適切に踏まえた」と答弁したことは「事実に反しており、立法事実は成り立たない。総理答弁は撤回すべきだ」と主張しました。(しんぶん赤旗 2024年6月7日)