国外退去とされた外国人のうち帰国していない「送還忌避者」を出入国在留管理庁(入管庁)が、2022年度に456件減らす「縮減目標」をたてていたことが6月4日、本紙の調べで分かりました。「縮減目標」の具体的な数値が明らかになったのは初めて。入管法改悪案を審議している参院法務委員会では「縮減目標」を定めて業務を進めることは「送還ありきだ」(日本共産党の仁比聡平議員)との強い批判が出ていました。
政府は、「送還忌避者」に難民認定申請中の外国人なども含めています。入管庁は「送還忌避者」を22年12月末現在で4233人としています。
関係者などによると、護送官をつけて国費で送還する場合と、説得で帰国させる場合を合わせた22年度の目標件数は、全国13官署で456件でした。
最多は東京の184件です。次いで一昨年にスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった名古屋が125件。医師による飲酒診察疑惑が浮上した大阪は85件でした。札幌や広島など4カ所では目標がゼロでした。
また、21年4月~22年1月にかけての国費送還と説得による送還の実績は合わせて147件ありました。内訳は東京が54件で最多。次いで、名古屋が41件、大阪が22件などとなっています。
入管庁は先月、参院法務委理事懇談会で、仁比議員が求めてきた「送還忌避者」についての資料を提出しました。これによると、同省は18年から「縮減目標」を定め、各入管官署は毎月設定する目標値に向かって遂行することとされています。
入管問題に長く携わる児玉晃一弁護士は、縮減目標の件数について「これまで100件、200件ぐらいだと思っていた」とした上で、「456件とかなり具体的な数が明らかになった。送還する収容者とその家族を特定して目標を決めている印象だ」と指摘しています。(しんぶん赤旗 2023年6月5日)
- 投稿タグ
- 憲法・人権