「“保険あって介護なし”という現実の打開は待ったなしだ」―日本共産党の仁比そうへい議員は参院決算委員会で2月4日、介護保険の利用者1割負担を当然視した鳩山首相を批判し、もっとも介護保障を必要としている高齢者、とりわけ低所得者がサービス利用から排除されている実態の是正を迫りました。
仁比氏は、介護保険制度が始まってから介護疲れによる心中事件などは400件、家族介護による離職者は年14万4800人にのぼると指摘。介護保険に関しては政府の来年度予算案は自公政権時の予算と変わらないと述べ、一歩でも半歩でも前進させる政治が求められていると力を込めました。電気を消した真っ暗な部屋で寝たきりの女性(78)を訪ね、「死んだほうがまし」と涙ぐまれたことなど現場の実情を切々と訴え、利用料1割の「応益負担」が低所得者から必要な介護を奪っていると追及しました。
介護保険法は2005年に大改悪され、軽度者は介護ベッドや車いすを原則として利用できない、要支援とされた人は訪問介護に厳しい利用制限を受けるなどの「介護切り」がされました。
鳩山首相は、「大変に介護の現実は厳しいと認識している」と述べつつ、「低所得者の負担は1万5000円が上限なのでご理解を」と弁明しました。
仁比氏は、「自己負担は1万円も払えない」という高齢者の声を示し、平均月4・8万円の国民年金から介護保険料、後期高齢者医療保険料などが引かれ食費や水光熱費を切り詰めざるをえない生活実態を告発しました。鳩山首相が野党時代に介護保険の負担軽減策を求めていた質問にも触れ、国としての減免制度と低所得者利用料の無料化を求めました。首相は「介護全般の問題について検討したい」と答弁せざるを得ませんでした。
さらに仁比氏は、介護労働者が全産業平均の6割の賃金、1年で5人に1人が離職するという実態を告発しました。
処遇改善のための交付金が時限措置のうえに、介護職に限定されているという問題点を指摘、利用者負担増につながらないように国の責任で賃金を月4万円引き上げる改善を呼びかけました。
長妻厚労相は、「時限措置は2012年に切れるがその後の継続と月4万円の賃金アップもめざす」と答弁しました。(しんぶん赤旗2010年2月5日)