政府提出の入管法改悪案と野党の対案に関する参考人質疑が5月23日、参院法務委員会で行われ、日本共産党の仁比聡平議員は、一時的に収容を解かれても就労が認められず、住民票も保険もない「仮放免」の苦しみについて質問しました。(質問動画はコチラ)

 北関東医療相談会の長澤正隆事務局長は、長期収容などで精神疾患を患った人のほとんどは、定期的に入管に通うなかで「“また帰ってこられないんじゃないか”という不安のなかに生きている」と指摘。若い人がそうした状況に陥るまで、入管内で現実にいじめが起きてきたと強調しました。

 仁比氏は、日本で育った在留資格のない子どもたちが、自分だけに在留特別許可が出ればよいのではなく、「家族が一緒にいることが大切」だと訴えていることへの受け止めを質問。長澤氏は、子どもだけが日本で生き残っていくことは「考えられない」と主張し、家族で日本に残れる体制づくりを求めました。

 入管庁が「国家にとって好ましくない外国人」の強制送還は「国家の主権に関わる問題」と答弁したことについて、阿部浩己明治学院大国際学部教授は「出入国を管理する国家の権限が強いのは、20世紀に確立した国際法の在り方だ」と批判。21世紀にかけて基本的人権を擁護する考え方が強まり、在留資格のない人でも「最低限の人権を保障する義務が国に課せられる」と述べました。(しんぶん赤旗 2023年5月24日)