○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
私は、十年五十九兆の道路中期計画で候補路線とされています海峡横断プロジェクトについてお伺いをしたいと思います。
これは、東側から東京湾口、伊勢湾、紀淡、豊予、そして島原・天草・長島、そして関門、この六つの海峡に巨大な橋を更に架けようという際限のない構想なわけです。このパネルを御覧いただきたいと思いますけれども、(資料提示)これは関門海峡について国交省がホームページに今掲載しているイメージでございますけれども、これは総理も御存じのように、関門海峡には一本立派な橋が架かっているわけですね。渋滞もありません。なのに、もう一本橋を架けるという計画でこのイメージが作られている。
このプロジェクトについて、私ども共産党は、国土交通省がこの調査にこれまで二十年近くの間に六十八億円というこの巨額を費やして、その四割方を天下りOBと業界団体でつくる財団法人海洋架橋・橋梁調査会というところに発注し続けてきた、それも随意契約で、このことを明らかにしてまいりました。
衆議院で冬柴大臣は、この海洋架橋・橋梁調査会は解散し、プロジェクトの調査は中止するとようやく答弁をされたわけですが、ところが、このプロジェクトそのもの、それ自体をやめるとはおっしゃらないわけですね。今月末までに閣議決定をされるという国土形成計画、ここにどう書くかは今後慎重に検討させてほしいとおっしゃってきました。
おかしいんじゃないんでしょうか。調査というのは、構想や計画を進めるためにやるわけでしょう。この調査をすべてやめるというんだったら、計画もそのものが成り立たなくなるというのが私は素直な話ではないかと思うわけですが、どうして計画をやめると言えないのか。大臣にお伺いをしたいと思います。(発言する者あり)
○国務大臣(冬柴鐵三君) こういう意見もたくさんありましてですね。
私は、こういう海峡、長大橋とか、まあトンネルかどうかは知りませんけれども、これは、今審議しているこの問題から見ても、とてもじゃないけれどもすぐにできるような問題ではないと思っています。
したがいまして、一般的に、こういう長大橋とか、超長のトンネル、これは津軽海峡を越えたあのトンネルを掘った日本の技術というのはすばらしいものでもありますし、それから、本四架橋も、これは明石の架橋は橋間距離千九百九十一メートルで世界最長なんですね。そういう技術は必要ですけれども、これを今から六つ本当に造れるんだろうか、そういう感じがいたします。
それで、しかしながら、今おっしゃるように、各地方においては夢としてもう長い間温めてきたものなんですね。それを私の代で、今ここでそれを全部芽を摘んでしまうということは、これはなかなか難しい。しかしながら、こういう各海峡における、六つあると言われましたが、そういうものの個別的なものについての調査研究は一切もうやめるというふうに私は申し上げているわけでございまして、そういうところにはお金は出さないということでございます。
それじゃ、この法人はどうするのかと。それについては、先ほども言いましたように、ただ、橋梁とか、全国の、これは長大橋じゃないですよ、今の道路橋というのはたくさんあるわけです。これが……
○仁比聡平君 なぜ計画を中止しないのかと聞いているんです。
○国務大臣(冬柴鐵三君) それで、そういうものについては我々はやっていかなきゃなりませんので、法人格を変えて、そしてこの会社にはもう解散をしていただくという決断をしたわけです。
ただ、これについては、平成十年の二十一世紀の国土のグランドデザインにも書いてあるとおり……
○仁比聡平君 大臣、長いですよ。計画をやめるとはなぜ言えないのか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) それは長い、長い歴史と、そしてそれまでの意思決定の積み重ねがあります。やめるんであればやめるでそれについてはその手続が必要でありますから、私がここで申し上げる、直ちにこれは全部やめますなんということは言うべき筋合いのものではないというふうに思っております。
○仁比聡平君 いや、長い夢だから、だからやめるとここで言えない筋合いのものだといって、長い夢だと今おっしゃったのは自見庄三郎議員がこの議場でおっしゃったんですけれどもね。そういうところにこういう計画の、私、結構根っこがはっきりしているんじゃないかと思うんですよ。
大臣、調査は中止するとおっしゃるけれども、この調査がどこまで進んでいるかというのは御存じですか。私たちはもう一か月も前から調査報告書を明らかにするように求めてきて、ようやく先週末になって、段ボール二十箱分あるんだけれども、そのうち二箱、関門に関するものが提出をされた。これ見て私、驚きましたよ。ここにある三冊だけ持ってきましたけれども、これで五千七百万円なんですけれどもね。
二年前の三月に提出されたこの報告書で、それまでの調査を踏まえて橋の詳細な予備設計がされて、詳細な図面が何枚もできているわけです。その中心の一枚をこのパネルにして持ってまいりました。(資料提示)
最終構造案だということで構造計算をやって、設計条件や橋脚の基礎をどこに据えるのかというそういう検討も終わっているわけです。既に九年も前、平成十一年にはルートの検討は終わって、下関西道路から彦島インターチェンジで橋とつないで、小倉に渡ったら北九州都市高速と西港ジャンクションで接続するということになっている。工法や工事費、用地買収費も詳細に積算をされて、私は大いに疑問ですけれども、ここでは総事業費を千五百五十七億七千万円、こういうふうに見積もっているんですね。
ルートも図面も事業費も、これはもう全部はじかれている。こんなリアルな夢があるんでしょうか。ゴーサインが出ればすぐにでも事業化できるというところにまでおぜん立てが済んでいる。大臣は調査会は解散するというふうに言うけれども、ほとぼりが冷めたら後はもう決定して、これやろう、そういうことだってできるんじゃないですか。
しかも、この調査では、事業主体をどうするかということについても、高速料金で造るJH案、地元に負担を押し付ける北九州市の道路公社案、民間事業体案の三つの枠組みまで具体的に検討されておりまして、そこでは、関門トンネル、今百五十円の料金ですが、これの値上げが必要だというようなことまで言っているんですよね。建設ありきで二本目の橋を架けて、車が来ないと困るから、とっくの昔に建設費の償還も終わったトンネルの料金を値上げする、そんな自分勝手な話がありますか。
こんなことは全く初めて分かったことでございます。政府も、福岡、山口両県も、北九州、下関両市も、これまで言を左右にして口をつぐんできた。秘密裏に国民の知らないところで詳細に進めてきた国民不在ぶり、これはっきりしているわけです。閣議決定をするなんということは、私は断じて許されないと思います。プロジェクトそのものを中止すべきではないのかということなんですよ。
総理、こんなことでいいんでしょうか。何をどう調査し何を検討すべきかということも、この報告書を見ると、この財団が仕切っているということは明らかです。道路特定財源の聖域に隠れた国民不在、そこに真剣な反省があるのなら、こんな調査で進められてきたプロジェクトはきっぱりやめて、これまでの調査内容を明らかにするべきだと私は思いますが、総理、いかがです。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 私は、そういうものを、これ候補ですよ、候補路線から予定路線とかに格上げするというようなときには、私ここではっきり申し上げますよ、国会に諮りますよ、一本一本法律にして。それ否決してください。それでいいじゃないですか。やったらいいんですよ。
私は、そういうことは、もう今、今それをきっぱり、きっぱりやめなさいと、こうおっしゃるけれども、きっぱりなかなかできないでしょう、それは。そういう人たくさんいらっしゃるんです、日本中。今九州の人が大きいことを言っていますけれども、あちこちありますよ。ですから、そういうのを実務的に解決していったらいいんじゃないでしょうか。私は調査はもう一切打ち切るわけですから、これから。そういうことです。
○仁比聡平君 そういうことは国会にその法案を提出してからおっしゃっていただきたいと思います。
暫定税率廃止、全額の一般財源化を強く求めて、質問を終わります。 |