○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
私ども日本共産党の吉田紋華三重県議が三月二十五日、Xで、今日いきなり生理になって困った、用があって寄った津市役所のトイレにはナプキンは残念ながら配置されてなかった、家に帰るまでちゃんと対処できなかった、二十七歳でもこんなこと起こります、トイレットペーパーみたいに生理用ナプキンをどこでも置いてほしいと発信したのに対し、すぐさまこれを攻撃する大量のメッセージが届き始め、ついに県議会事務局に八千件を超す殺害予告メールが届くに至りました。いい年して非常用ナプキンを持ち歩かない吉田紋華議員を殺害しますなどというものです。共産党三重県委員会には、吉田紋華県議を誘拐して包丁で刺し殺す、家族も同様に殺す、三重県委員会、津市役所、三重県庁、県議会を爆破する、津駅に塩化水素ガスを発生させ大勢を殺す、全ての銀行口座に一千八百十三万送金しろなどという成り済ましメールが大量に送り付けられています。
お手元の一枚目に赤旗記事をお配りしていますけれども、四月一日の衆議院法務委員会の本村伸子議員の質問に対して警察庁は、法と証拠に基づき適切に対処する、被害に遭った方の不安解消へ必要な措置を講ずると。現在捜査を進めてくれているところですけれども、吉田県議は避難を余儀なくされています。そして、家族への危害を恐れています。
そこで、男女共同参画局にまずお尋ねをしますけれども、生理の貧困というのは一体どういう性格の問題なのかということです。特にコロナ禍以降、政府も交付金での支援を続け、今年の二月公表している調査では、庁舎のトイレに備え置いている自治体は百二十一、全公立高校のトイレに置いている都県が十五、全小中学校のトイレに置いている区市町村は二百九十五と、大きく広がっているわけですね。内閣府の資料もお付けしました。
こうした取組も踏まえて、生理用品の無償配布や、中でもトイレへの備置き、この意義をどう捉えておられるのか、いかがですか。
○政府参考人(小八木大成君) お答え申し上げます。
経済的な理由等で生理用品を購入できない女性がいるという生理の貧困につきましては、女性の健康や尊厳に関わる重要な課題と認識しております。
内閣府におきましては、地方公共団体が不安や困難を抱える女性に寄り添った相談支援の一環として行う生理用品の提供を地域女性活躍交付金により支援しております。
令和六年十月時点で生理の貧困に係る取組を実施している地方公共団体は、自治体独自の取組を含めまして九百二十六団体と承知しております。生理用品をトイレ個室内に設置したり意思表示カードなどを使用し声を出さずに利用できるようにするなど、周りの目を気にすることなく利用できるような配慮、工夫されている例もございまして、困ったときには誰でも利用できる環境を整えている地方公共団体もございます。
地方公共団体が地域の実情に応じて創意工夫を凝らして取組を進めていただけるよう、先ほどの交付金の活動を促すとともに、地方公共団体における取組に関する情報提供を引き続き行ってまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 今朝の中日新聞の三重版、四月八日付けの三重版で、「県議のX投稿波紋 調べてみた」という記事が掲載されています。ここで、トイレに設置をしている伊賀市の稲森稔尚市長はこう言っているんですね。個人の自己責任にするのではなく、生理の問題は社会的な解決が必要との認識を性別問わず広げていく必要性があると。私、そのとおりだと思うんですよ。取材してこの記事書いた記者さんは、殺害予告という幼稚な犯罪行為で議論を萎縮させようとするのはもってのほかだと、男女問わず深く考え、話し合うことが必要だろうと、男性記者の方なんですけど。
国際社会でいうと、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツ、つまり、性と生殖に関する健康の問題というのは、これは権利だということですよね。この権利を実現しよう、前進させようと求めることは、これは極めて正当なことであって、これに対して攻撃をするというのは、これは人権を侵害するということだと思うんですね。
先ほどの男女共同参画局のこの間の取組の中で、そういう認識というのはお持ちなんですか。
○政府参考人(小八木大成君) お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたように、生理の貧困につきましては、女性の健康や尊厳に関わる重要な課題というふうに認識して取組を進めているところでございます。
○仁比聡平君 つまり、申し上げているとおりなんですよ。うなずいていらっしゃるけど、答弁の言葉ではっきりおっしゃらないところに何だか政府の曖昧さがある。私、それを乗り越えなきゃいけないと思うんですよ。
発信は当然の要求なんです。ところが、これに殺害予告までして攻撃するというのは一体何かと。つまり、それは、住民とともに切実な声を上げる女性議員を嫌悪し、攻撃することで、同様の願いを抱いている多くの人々を黙らせ、従わせようとするものだと思います。
被害者の人格を攻撃し、権利、自由を侵害すると、黙らせよう、排除しようという、こういう言動というのは、大臣、ジェンダーに基づく暴力、蔑視、ミソジニーなのであって、許されないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木馨祐君) 私どもの人権擁護機関の方では、女性の人権を守ろうということで、まさにそれは健康や尊厳ということも当然そのうちでありますけれども、そういったことを強調事項として掲げているところであります。
今回、そういったことの中で、殺害予告ということで、その背景等についてということについては、私も、捜査機関の活動内容に関わる事柄でありますので、法務大臣としての所感ということについては差し控えをさせていただきたいと思いますが、やはりそうした女性の人権を守る、健康、尊厳ということを守るということの中で、やはり女性に対するそういった意味の偏見については、やはりその不当な偏見、差別、これはあってはならないものというふうに私は強く認識をしております。
○仁比聡平君 女性の尊厳、偏見は許されないと、その大臣の言葉、大事なんですよね。いずれにしろ、こうした人権問題に対して政治家が及び腰になっては駄目だと思います。
自民党が参議院選で全国比例で公認すると言っておられる杉田水脈元衆議院議員が、この吉田県議の投稿に対して、そういうときのために常時ポーチの中にナプキンを一つ入れておきなさいってお母さんから教えてもらいませんでしたか、女子のたしなみですよ、お洋服汚して困ったり恥ずかしい思いをするのはあなた自身ですと投稿しました。
こうした特定の女性観や家族観を押し付ける政治家の発信が、結果として攻撃メッセージをあおる形になりました。これ、大臣、どうお感じですか。
○国務大臣(鈴木馨祐君) まさに、女性の健康やあるいは尊厳ということに関わるそうした人権ということの中で、女性に対する不当な偏見、差別、これは断じてあってはならない、そうしたことを私としては認識をしているところであります。
個々の政治家の発信ということで、法務大臣としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ、やはりそうした中で、私は、そうした偏見、差別、これは断じてあってはならないと考えております。
○仁比聡平君 個々の政治家の発信に対して曖昧にしちゃ駄目なんですよ。人権を尊重する、保障する、侵害は許さないということを政治家が明確に示すことが、こうした人権侵害をなくしていく上での大切な大きな力だと思います。
吉田県議への攻撃は極めて悪質で、被害者の避難、そして県議会への業務妨害などという重大な結果を招いているわけ、引き起こしているわけですね。
警察庁にお尋ねしますが、正当な発信、議員活動に対して殺害予告などの害悪を告知し脅し、正当な活動をやめさせようと名誉、人格を傷つける、それは、脅迫罪、強要罪、威力業務妨害罪、名誉毀損罪、侮辱罪などの刑法犯を構成し得るのではありませんか。
○政府参考人(松田哲也君) お答えいたします。
お尋ねのような行為が特定の犯罪に該当するか否かについては、個別の事案ごとに具体的な事実関係に即して判断されるべきものであります。
その上で、あくまで一般論として申し上げれば、例えば、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した場合は刑法第二百二十二条の脅迫罪、脅迫を行い、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した場合は刑法第二百二十三条の強要罪、威力を用いて人の業務を妨害した場合は刑法第二百三十四条の威力業務妨害罪、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合は刑法第二百三十条の名誉毀損罪、公然と人を侮辱した場合は刑法第二百三十一条の侮辱罪に該当し得るものと承知しております。
○仁比聡平君 そのとおりなんですよ。
しかも、手口は極めて執拗かつ巧妙で悪質です。複数の他人のアカウントを乗っ取って、海外サーバーを通して攻撃を行っているために、加害者の特定が困難だというふうに聞いております。しかも、これは今回だけでなく、例えば性搾取に遭う若年女性を支援するColaboやその代理人に対しても、大量のこういう攻撃メールが送られてきた経過があります。
今回の吉田県議に対する加害者を特定し厳正に処罰するということによって、こうしたやり方を根絶すべきではありませんか。警察庁。
○政府参考人(松田哲也君) お答えいたします。
御指摘のような大量のメールを無関係な第三者のアドレスから送り付けるという手口については、悪質なものであると考えております。
個別の事案の詳細についてお答えは差し控えさせていただきますが、御指摘の事案につきましては、三重県警察において被害届を受理し、所要の捜査を進めており、今後、具体的な事実関係に即して、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しております。
○仁比聡平君 たとえ困難であっても、摘発は可能なんです。加害者を特定し一罰百戒と、それを厳しく求めたいと思います。
資料四枚目に三月二十五日付けの朝日新聞、「離婚扱う弁護士 相次ぐ誹謗中傷」「共同親権巡り過熱 日弁連警告」という記事をお配りしています。これ、前回、三月二十四日のこの委員会で取り上げた議論ですけれども、こうした攻撃のターゲットにされているのが、もう一人、女性弁護士たちなんですね。
法務省のパンフレット、最後にお付けしていますが、父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、子供の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければなりませんとし、父母の一方が特段の理由なく他方に無断で子供を転居させることがこの義務に違反する場合がありますとしか読めない、そういう記述をしていることが、こうした弁護士たちへの攻撃材料に使われている、当事者を傷つけている、支援の現場を混乱させている。
これ、大臣、改めるべきではありませんか。
○国務大臣(鈴木馨祐君) このパンフレットをお読みをいただければ分かりますように、例えば、特段の理由なくということでこれは書いてあります。その趣旨といたしまして、私どもとしても、例えば明白にDVやあるいは児童虐待から避難をする場合であれば、当然、それは親権者が単独で子を転居することも当然許されるということであります。そのことはここで明言をさせていただきたいと思います。
もちろん、これはDVなのかどうなのかという、その認定のことはこれ個別に判断されるべきでありますけれども、ただ、明白にそういった状況があれば、当然それは許されるということと解されることでありますし、そういった趣旨でここに特段の理由なくという記載をしているところでございます。
○委員長(若松謙維君) 時間が来ておりますので。
○仁比聡平君 大臣、前回の民事局長の答弁等も併せて、今の答弁、ちょっと考え直すべきですよ。特段の理由があれば許されるというのは、つまり例外的に許されると述べておられるのと同じですよ。おかしいでしょう。既に離婚成立していて単独親権なんだったら、自由でしょう。DVにさらされているんだったら、そこから逃げるというのは正当でしょう。
その理解がこの表現や今の答弁では伝わらないのだと厳しく申し上げて、引き続き議論を求めて、質問を終わります。