住民から“ムダな公共事業”との批判がでている鹿児島県奄美市の国道58号おがみ山バイパス事業(160億円)や末広・港土地区画整理事業(98億円)について、日本共産党の仁比聡平参院議員は10月3~4日、奄美大島入りし、市当局から計画内容を聞き取り、実際に現地を歩くなどして調査しました。
調査したのは、仁比氏を団長、松崎真琴党鹿児島県議を副団長とする「奄美市まちづくり事業現地調査団」。地元住民や、奄美大島商工会議所幹部らとも懇談し、意見を交わしました。
調査後の記者会見で仁比氏は、両事業は「結論として凍結すべきだ」と述べました。
そのうえで、奄美群島振興開発計画(奄振)について「抜本的に見直す時期が来た。共産党として奄美の島づくり、島おこしのための共同を真剣に探究したい」と表明。従来の「建設・土木型」奄振を、サトウキビや大島紬のような基幹産業の振興や、「医療・福祉型」に転換する必要性を強調しました。
調査では、末広・港土地区画整理事業の予定地となる商店街を実際に歩き、商店主らから事業についての意見を聞きました。反対を主張する女性は「道路を必要という人は、まずいない」。別の女性(58)も「(住民が)将来設計できる公共工事を考えてほしい」と語りました。
商工会議所幹部らとの意見交換では、浜崎幸生会頭が「航空運賃、貨物運賃(の補助)ができないか。(離島の)物価が下がることで、一気に経済は活性化する」と述べ、奄振基金の使い道に注文を付けました。
崎田信正党奄美地区委員長(奄美市議)は「政権が代わり、公共事業を見直す良いきっかけができた。両事業の凍結に向けて、あらためて意思表示したい」と今回の調査の意義を語っています。
末広・港土地区画整理事業は「市街地への良好なアクセス」などを理由に、中心市街地を区画整理する市の事業。おがみ山バイパス事業は「交通の混雑緩和」などを理由に、国道58号のすぐ脇にトンネルを通しバイパスを造る県の事業。市議会、県議会の共産党議員団は「ムダな公共事業」だとして住民と共同、一貫して反対してきました。(しんぶん赤旗・社会面 2009年10月5日)