日本共産党の仁比聡平議員は3月22日の参院予算委員会で、政府が県営佐賀空港(佐賀市)に陸上自衛隊のオスプレイ17機を配備しようとしている問題を追及し、「佐賀空港は豊かな漁場を失った代償でできた。住民に説明なく自衛隊駐屯地を新設し、オスプレイを配備するのはただちにやめよ」と計画の撤回を求めました。(質問動画はコチラ) (関連記事)


仁比氏「住民の反対の声やまない」
防衛相「地元は了解」と答弁できず

仁比氏は、2014年、当時の安倍晋三政権が突如として佐賀空港に自衛隊佐賀駐屯地を新設し、オスプレイ配備を言い出したと語りました。

仁比 この9年、住民から反対の声はやまない。私の質問に対して安倍首相は3回にわたり「地元の了解は得られていない」と答弁してきた。

浜田靖一防衛相 安倍首相は16年に「地元の了解は得られていない」と答弁した。

 仁比氏は、自衛隊との共用を否定する「佐賀空港建設に関する公害防止協定」について言及。これは佐賀県と8漁協が佐賀市長と町長を立会人として交わしたもので、「重い約束であり、空港存立の基礎だ」と強調。また、昨年11月の「協定見直し」に書かれているのは、合併後の県有明海漁協組合長の署名だけだと指摘しました。


仁比 漁協の主役は組合員だ。防衛相も「覚書」見直しで、
「地元の了解」が得られたとは答弁しなかった。

 その上で、仁比氏は21年総選挙のさなか、岸田首相が密室で県有明海漁協組合長と会食し、オスプレイ配備に理解を求めた旨の報道を示し、「どう報告を受けたか」と質問。防衛相の「報告は受けていない」との答弁に議場はどよめきました。


仁比氏「協定改定前に説明したか」
防衛相「漁協支所に未説明」認める

仁比氏は、昨年末から5回行われた住民説明会でも「全ての会場で反対の声が圧倒的だった」と強調。「公害防止協定」の見直しを山口祥義県知事と県漁協幹部だけで押し切ったことは、「日本一のノリ養殖を支え、多額の投資も背負っている漁業者そっちのけでされた」と批判しました。

さらに仁比氏は、「公害防止協定」の「覚書」が焦点であり続けるのは、「政府がオスプレイ配備で取得しようとしている土地は合併後の南川副(かわそえ)漁協(現支所)のものだからだ」と強調。佐賀空港周辺に広がる干潟は、ラムサール条約に登録され、カキやアサリ、希少種のウミタケが採れる「宝の海」だったと指摘しました。

仁比氏は、佐賀空港の計画が持ち上がった1969年以来、漁業民、住民は30年にわたって「空港建設は絶対反対」と生活をかけてたたかい、2度の計画撤回をへて、98年の開港に至った歴史を示し、住民への説明の経緯をただしました。

仁比 地権者でつくる「国造搦(がらみ)60ヘクタール管理運営協議会」は漁協組合員と地権者の総意で一括管理している。「協議会」に自衛隊駐屯地の計画について、昨年11月の「協定」見直し以前に説明したか。

防衛相 佐賀県有明海漁協関係者などに累次の説明を行った。

仁比 土地を管理・運営する南川副支所には説明していない。だからこそ昨年7月、「地権者有志の会」は、「一部の組合幹部・役員のみで公害防止協定の見直しが行われるとすれば、民主的な方法での意思決定ではない」として、「協定見直し前に説明会を」と求めてきた。


買収価格文書郵送 防衛省「答弁困難」

仁比氏は、防衛省が今月17日、土地の買収価格を記した文書を漁協幹部の頭越しに土地共有者254人に郵送し、今後は個別訪問を始める計画について質問。

仁比 共有者が誰か、持ち分がどれだけかをこっそり調べ、文書を送り付けるのは不誠実で卑劣なやり方だ。

防衛省・深澤雅貴地方協力局長 相手方との調整に支障を及ぼす恐れがあり、答えるのは困難だ。

仁比 国会でも説明できないのは、地元地権者の了解が得られていないからだ。こんな卑劣なやり方は直ちにやめるべきだ。50年来の漁師は「漁民全体にはかったわけでもない」「絶対に戦争をしちゃならん」と述べている。佐賀空港の軍事利用はしない、させない、あり得ないという住民総意は不変だ。(しんぶん赤旗 2023年3月23日)