○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
大臣の昨晩の発言は、軽率な言動がないようにとか今後慎重になどで済む話ではない、法務大臣として不適格であると私は思います。
そこで伺いますけれども、大体、法務大臣というのは、朝、死刑の判こを押しまして、それで昼のニュースのトップになるというのはそういうときだけという地味な役職という、その発言部分についてですが、今朝の記者とのやり取りの中で、大臣はその真意を説明するというくだりで、法務大臣があの光が当たるような形でニュースのトップニュースになるというのはそういうときぐらいだと述べておられます。
この光が当たるような形でトップニュースになる。大臣は死刑執行を決裁するということを何だか高揚感みたいなものを感じておられるんでしょう。光が当たる、トップニュースになるというのはそういう意味でしょう。
○国務大臣(葉梨康弘君) いえ、全くそういう意味ではございませんで、現実に、ファクトとして、ライトアップされる形でトップニュースになるというのはそういうときぐらいだけれども、そういうのは実は本意ではなくて、もっともっといろんな形であの仕事をしているということも知っていただきたいということであったんですけれども、まさに、今、仁比委員がおっしゃられたような形で受け止められる方もいると思います。ですから、私自身は、その印象を与えるということじゃなくて、この発言についてはしっかりおわびをして撤回をさせていただいたわけです。
○仁比聡平君 大臣のおわびと撤回というのは、つまりその程度の話なんですよ。
私が問うているのは、死刑執行の決裁、この重みについて光が当たるというような表現が自分の中から出てくるという、そこに適格性があるのかと、大臣としての、そこを問うているんです。今の御答弁でも、今朝の御発言でも、死刑執行以外に大切な仕事をほかにもいっぱいしているということを何だか弁明しておられるけれど、死刑執行の決裁、死刑の判こを押すということの重みをどう認識をしているのか。その死刑執行の決裁についてこうしたパーティーの場でですね、ほかの政治家の持ち上げのために、何だか軽い形でこの発言をするというその大臣の適格性、そのことが私は大問題だと思うんですね。
大臣、先ほど他の委員の議論でもおっしゃっていましたが、法務副大臣を二回されました。そして、法務委員長、衆議院の法務委員会委員長もしてこられて、死刑の問題についてのいろんな議論は少なくとも見聞きはしておられるはずなんですが、副大臣として死刑の執行に関与した、大臣に上げると、それ何回ぐらいあるんですか。
○国務大臣(葉梨康弘君) 個別案件について何件というのはちょっと申し上げるのは差し控えさせていただきますけれども、あの発言自体、軽率で撤回をさせていただいたんですが、死刑の執行の判断、これについて申し上げたわけではありません。死刑の執行の判断というのはやっぱり極めて重いものでございますから、慎重に検討しながら厳正に対処する、このことが必要だと思います。
○仁比聡平君 いや、死刑の執行の判断の重さということが本当に大臣の体にといいますかね、信念に刻まれていれば、パーティーの他の政治家の持ち上げのための材料として出したりしないですよ。
先ほど、副大臣として関わった決裁については御答弁がありませんでしたから、私もちょっと調べてみたいと思いますけれども、大臣は、死刑が誤判の下で行われる、死刑判決が確定しているけれどもその判決が誤っていることがあるということについてはどんな御認識ですか。
○国務大臣(葉梨康弘君) ですから、死刑の執行に当たっての判断、これについては、先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、確定判決が出た後であっても、いろいろな要素、個別の事案によって違いますが、一つは、やはりその事案がしっかり確実であるということをしっかり点検しないといけませんし、また被害者の感情等々、いろんな個別の事情をしっかり慎重に判断しながら厳正に対処するということだと思います。
○仁比聡平君 今日になって取って付けたようにそんなこと言ってるけれども、朝、判こついて昼のトップニュースになる、そういうときがなかなかない地味な外務と法務と、だから皆さんよろしくお願いしますという挨拶でしょう。朝、判こついて昼のトップニュースになるというそんな発言出てきますか、死刑執行の決裁をするということの重みを御自覚になっていれば。
私は、誤判による死刑確定判決が執行されるということはあっているし、あり得るし、それは取り返しの付かない国家による人権侵害だと思いますが、大臣はどんなお考えなんですか。
○国務大臣(葉梨康弘君) 誤判による死刑というのは、それは私もあってはならないというふうに思います。
今おっしゃられましたけど、実際に決裁をする前には極めて、まあケースによって違いますけれども、場合によっては何日もしっかりその記録を見ながら検討をした上で決裁をするわけですから、それを、朝、その場で持ってきたものに機械的に何か決裁をするというようなことは法務大臣としてはないというふうに思います。
○仁比聡平君 免田事件あるいは財田川事件始めとした四大冤罪事件、再審無罪判決というのがあります。あるいは、現に今、我々の課題としてある一九六六年に起こった袴田事件。袴田巌さんが四十五年以上この死刑判決の下で拘禁されて、二〇一四年の三月に再審開始決定と死刑及び拘置の執行停止という決定の下で、この間、社会に出てこられましたよね。この当委員会の委員の皆さんも、この袴田さんの御様子、それから救援に頑張り抜いてこられたお姉さんの言葉を直接お聞きになった方がたくさんいらっしゃると思うんですよ。大臣だって、法務委員会あるいは副大臣として御覧になってこられたでしょう。検察は、この事件、あくまで争い続けている。
そうした死刑をめぐる深刻な問題、それを、光が当たるような形でトップニュースになるとか、ほかの政治家の政治資金パーティーで何だか持ち上げのために使うとか、私、あり得ないと思いますね。しかも、今日弁明をしておられるのは、法務の職務を軽んじるような印象を与えたとすればと言うだけで、その中身として今おっしゃっているのは、死刑執行だけではなくていろんな大切な地味な仕事をやっていると、国士だと、そう言いたいということなんでしょう。
肝腎のこの、朝、死刑の判こを押して昼のトップニュースになるというのを何だか高揚感を持って語ったこと自体というのは、これ全然反省されていないじゃないですか。
○国務大臣(葉梨康弘君) いや、高揚感を持って語ったというつもりはなくて、また他の政治家を持ち上げるということではなくて、やはり、この法務行政というのは極めて大切な行政であるということの逆説的な導入として扱ったわけなんですが、その逆説的な導入というのがやはりそういう印象を与えてしまったということで、この発言自体をおわびして撤回をしたということです。
また、この委員会における発言というのが最もオーソライズされた発言でございまして、私自身もいろいろと発言の仕方、これについては注意をしなければいけないということで、この法務委員会では、私の発言、このような印象を与える発言についておわびを申し上げるとともに、撤回させていただくというような発言をさせていただきました。印象を与えたとすればという言い方はこの委員会ではしておりません。
○仁比聡平君 一九六一年に起こった名張毒ブドウ酒事件という事件がありますが、奥西勝さんという方が三十五歳のときに身柄を拘束されて、残念ながら死刑判決が確定をして、四十三年たって獄死をされました。再審請求が認められなかった。最期八十九歳。この死刑制度というのは、そうした人権の本当に恐ろしいほどの制約を伴っているものなんですよね。そこの認識がない大臣に、私は法務大臣は務まらない、そう思います。
先ほど、私の誤解でなければ、先ほどの委員の質疑の中で、謝罪し、撤回をするのは、今私が議論している部分、それから統一協会の問題に抱き付かれてしまいましたなどという部分、この前段の部分とおっしゃったと思うんですけれども、後段の、外務省と法務省、票とお金に縁がない、外務副大臣になっても全然お金がもうからない、法務大臣になってもお金は集まらない、なかなか票も入らないというくだりについては、政治家の資金パーティーでの挨拶ではよく言われていることだと、そういう御答弁だったと思うんですよ。
そうなんですか。自民党というのはそういう政党なんですか。自民党の皆さん、そうなんですか。大臣のこの発言というのは撤回の必要がないんですか。外務副大臣やあるいは法務大臣というのは票もお金も集まらないと。それは先ほども議論あったけど、そうしたら、ほかの大臣は集まるのかとか、あるいは所管との関係で贈収賄、賄賂などの話があるかないかもさっき答弁されなかったですよね。それが自民党の政治資金パーティーでの挨拶の当たり前だから謝罪も撤回もしないと言うんですか。
○国務大臣(葉梨康弘君) いえ、ここで申し上げたのは、いわゆる経済官庁についてはいろいろな形で企業の皆様とのお付き合いができる、そういう中で、政治資金パーティーなんかでも来られる方が多い。ただ、なかなか外務省とか法務省というのは、そういう企業とのお付き合いというのはそれほどあるものではありませんし、ですから、そういった意味でなかなか、政治資金という意味で、政治資金という意味ではなかなか集めづらいところはある、そういうことでございます。
○仁比聡平君 語るに落ちているんじゃないですか。公明党さん、あれですか、国交大臣は事業官庁でたくさん業界があるから、大臣の政治資金パーティーだとかやったら、その関係の企業がいっぱい来てくれてパーティー券買ってくれるんですか。今、葉梨大臣が言っているの、そういうことでしょう。そうした政治資金パーティーでの他の政治家の持ち上げのために、死刑制度やあるいは統一協会の被害救済に極めて重い責任を負っている法務大臣がこんな軽々しい発言をするっていうのはあり得ないことです。
私は、葉梨大臣は法務大臣として不適格だということを強く申し上げて、質問終わりたいと思います。