【10.02.05.】174回国会 決算委員会

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174-参-決算委員会第2号 平成22年2月4日 仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。
決算に付されています〇八年度の予算は、自民、公明の福田内閣の手によるもので、後期高齢者医療制度を始め、あくまで構造改革路線を強行するものでした。今日は、総理にまず介護の現状について基本認識をお尋ねしたいと思います。 

このパネルを御覧いただきたいと思うんですが、(資料提示)東京新聞によりますと、介護保険が始まりました二〇〇〇年から二〇〇九年の十月までに、介護疲れ、介護苦をめぐる心中を始めとして介護される高齢者が亡くなられた事件で、少なくとも四百件に上るわけですね。御覧のように増加傾向にありまして、〇六年以降は五十件を超えるという、こういう状況ですが、これは氷山の一角です。

〇六年七月二十一日の京都地裁判決、総理も御記憶があるかと思いますが、衝撃を広げました。八十六歳の認知症のお母さんの介護のために退職せざるを得なかった五十代の男性が介護と両立する仕事も見付からないまま、デイケアの利用料やアパート代も払えなくなり、生活保護も受けられませんでした。献身的な介護の末に母親に、もうお金もない、もう生きられへんのやでと話しかけ、お母さんは、そうか、あかんか、おまえと一緒やでと語って心中を図られて、御自身も包丁で首を切ったけれども果たせなかったという本当に深刻な事件でした。裁判所は執行猶予の言渡しの中で、被告人の絶望感は言葉では言い尽くせなかったと推察される、裁かれているのは日本の介護制度や行政だという異例の指摘を行いました。

もう一枚パネルを御覧いただきたいと思いますけれども、(資料提示)総務省の調査でも、家族介護のために仕事を辞めざるを得ないという、そういう方が〇六年十月からの一年間で十四万四千八百人、こういう本当に大変な数に上っているわけですね。介護保険が介護を社会で支えるとそういって導入をされながら、現実には保険があって介護なしという実態は一層深刻です。

私はまさに待ったなしだと思うんですが、来年度予算案を拝見しますと、この介護保険の分野については自公政権の時代と全く変わりがありません。なぜでしょうか。総理は介護がこのままでいいと考えておられるわけはないと思うんですけれども、基本認識をお尋ねしたいと思います。

○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 基本認識ですから、私の方からお答えをいたします。
今、仁比委員からグラフまで拝見させていただきましたけれども、大変に介護の現実が厳しいという状況は認識をいたしております。いのちの予算を組んだという割にまだまだ介護が不十分ではないかという御指摘だと思います。

介護を必要とする、私どもが今ちょうど団塊の世代でありまして、団塊の世代、両親がまだ存命の者も多くいると思います。そういう方がこれからある意味での老老介護的な状況になってくるとも思っておりますし、私ども団塊の世代がやはり数が多いものですから、介護これから大変必要な方々が急激に増えてくるという状況も理解をしています。

それだけに、私どもも選挙を戦わせていただくときに、介護というものの重要性を認識していながら、大変厳しいお仕事、介護のヘルパーされる方々の厳しさというものを考えたときに、やはり厳しさの中で報酬が低過ぎるというところで四万円給料をアップさせないといけないんじゃないかと、まずはそこをやろうではないかというような思いを訴えながら選挙を戦ってきたことも事実です。現実の財政の問題で必ずしもそこが一〇〇%できていないというところは認めなければならないところだと思っておりますが、介護の施設などが三年ごとに比べると二倍増やしているというような状況など、できる限り介護に力を入れてこれからやってまいりたいという思いは持っているところでございます。

地域の包括ケアシステムというようなものなどもつくらせていただくなどいたしまして、これから介護というものをもっと我々新しい政権の中で力を入れていかなければならない分野だと、そのような認識をしております。

○仁比聡平君 総理は、これから急激に高齢者が増えていくと、このお話をされましたけれども、私もそれはそうだと思います。けれども、現に、今現在、現場で待ったなしなんだということを今日お訴えをしたいわけです。

介護保障が、だれもが人間として大切にされて老後が生きがいある安心、そして人権、生活が守られるものになることをみんなが願っています。自民・公明政権が残した数々の傷跡を速やかに是正して、社会保障を削減から拡充へ抜本的に転換せよと、それが国民の声であり、この皆さんの声にこたえて、来年度予算案で具体的に一歩でも半歩でも踏み出してこそ将来へ国民が希望を持てる、そういう政治をつくることができると思うんですね。

具体的にお伺いをしたいんですが、私は幾人ものケアマネジャーの方から、自己負担は月一万円以内でお願いしますと頼まれるたびにつらいという話を聞いて胸が詰まる思いをしてまいりました。

八十三歳で要介護三の奥さんがいらっしゃいます。背骨を圧迫骨折して、一人では寝返りもできません。胃を全摘してほとんど食べられない奥さんの食事を八十二歳の御主人が毎日何回も作って、排せつや入浴も御主人が介助しているわけです。年金が月五万円そこそこしかなくて、病院代の窓口負担も心配で、一割の利用料が払えずに、週二回の訪問介護しか利用できないからなんですね。デイケアやデイサービスが利用できればいいんですよ。だけれども、お金が払えないから、できるところまでは自分でと頑張っている御主人が倒れてしまわないかとケアマネジャーさんは大変心配をしています。

高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子さんは、昨年三月三日の読売新聞で、低所得者にもサービスを行き渡らせるために原則一割の費用負担を見直すことを求めたいと、そう語っていらっしゃるわけです。

総理にお尋ねしたいんです。この一割の利用料という介護保障に持ち込まれた応益負担が、最も介護保障を必要としている高齢者、とりわけ低所得者を必要な介護から排除しているというこの実態を直視すべきじゃありませんか。総理、いかがです、総理。総理。時間ないんですから。

○国務大臣(長妻昭君) いや、まず、前の政権と同じというような御指摘がありましたけれども、介護につきましては、先ほど総理も申し上げましたように、過去三年、在宅サービスとか施設サービスのベッド数を八万床増強しましたけれども、今後三年間はそれの倍の十六万床。そして、今まで、お給料を引き上げると、介護の職員の方々の、その基金についての利用率が半分だったものを、我々、通知あるいはアピール等々をして、今は八割の事業所が申請をして、一か月のお給料が一万五千円上乗せと。ただ、それが給料に回らないで一時金のような形で使われているんで、これも是正してくださいと。

そして、もう一つ言われていましたのが、同居家族がいることのみをもってその介護の援助を拒絶される場合があるというようなこともあるんで、それについても是正をする通知を出したと。

今の質問でありますけれども、これ今も低所得者の方々に対してはサービス料を抑えると、こういうような措置もしております。そして、先ほど申し上げました介護の職員の方々のお給料のアップについても、介護報酬でやると御本人の自己負担に跳ねるんで、これは基金という形で税金で投入するというような工夫も含めて、何とかその自己負担の範囲の中で望まれるサービスができるように我々も工夫をしているところであります。

○仁比聡平君 介護報酬の問題については後ほど聞きますが、質問してないことに答えないでくださいよ。
今大臣がおっしゃった一般世帯で三万七千二百円、住民税非課税世帯で一万五千円というのが利用者負担の上限ですよね。この上限があっても実際には一万円しか払えない、五千円しか払えない、だから必要な介護が受けられないというのが現実じゃないかと私は言っているんですよ。

私が訪ねた七十八歳の寝たきりの女性は、市営住宅の全部の部屋の電気を消して、真っ暗な中で朝から晩までじっと寝ているしかない、もう死んだ方がましだとおっしゃっていました。ヘルパーさんの利用をケアマネさんが勧めても、ガスを使うから入れられないという高齢者がいらっしゃいます。火の元が心配なのかと思ったら、そうじゃなくて、ガス代を節約して、スーパーで総菜や弁当の見切り品を買ってきて数食分に分けて食べているというのが実際だからですよ。ヘルパーさんに来てもらっても買物に行ってもらうお金がない、年金が入る月だけ訪問介護を受けていると、そういう方もたくさんいらっしゃいます。

国民年金の平均は四万八千円しかありません。非課税でも、わずかな年金から介護保険料や後期高齢者の保険料差し引かれて、手元は残りが本当にわずか。だから、とことん切り詰めて、一万円、五千円しか月に払えませんからその範囲内でという、そういう切ない話になるんじゃありませんか。

総理にお尋ねしたいんですが、総理は、野党時代の二〇〇六年の十月二日、衆議院の本会議の代表質問で大阪の七十歳の男性からのお手紙を紹介されました。ようやく特別養護老人ホームに入れたけれども、介護保険の自己負担が一気に十六万円に引き上げられて、十二万円しかない年金からは賄えなくなったという、そういう声です。当時の安倍総理大臣に、一連の負担増が高齢者、年金生活者を直撃しているこの現実について、どのように弁解され、その是正に取り組まれるのか、明快な見解を求める、そう迫っていらっしゃるわけですね。この代表質問での質問に対しての当時の安倍総理の答弁は、利用限度額の上限があるからこれで十分に配慮していると、そういう答弁だったんですよ。

こうした苦しみをなくすために、応益負担を改めて国として減免制度をつくる、せめて住民税非課税世帯の低所得者は利用料を無料にする、こうした方向に足を踏み出す、そういう政治姿勢で臨むべきじゃありませんか、総理。

○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 仁比委員のその幾つかの具体的なお話を伺うと、まさに切実な思い、私にも伝わってまいります。

ただ、例えば障害者のサービスとこういった介護、これは保険という、今保険で賄っている話になりますと、やはりサービスを受けておられる方とサービスを全く受けておられない方との間の公平感ということも考えていかなければならないということで、そういう意味で応益負担を一割と定めて、しかし低所得者の方々に最低のところでは一万五千円という水準を決めたと、そのように理解をしております。その一万五千円も払えないから介護を受けられないということも伺いまして、大変に深刻な状況が進んでいるという認識はいたしております。

一万五千円をじゃ一万にすればいいかとかいうような議論もあるいはあるかもしれませんが、私どもとすれば、まずはこの一万五千円というところで御理解をいただくということで今進めているところでございますが、なお介護の問題全般にわたって様々な問題が生じておると思っておりますので、検討をいたしたいと思います。

○仁比聡平君 一万五千円では絶対に理解ができないんですよ。
今、保険だからとかあるいは公平感というふうにおっしゃいましたけれども、そうした論理というのは、前の政権が財界の要求にそのままこたえた形で、介護という福祉の分野に応益負担とそして保険原理を持ち込んできた、そういうときの論理ですよ。今の総理や大臣の答弁は、前の小泉内閣や安倍内閣のころと言っていることは変わらないじゃありませんか。そんな姿勢で本当に構造改革路線から抜け出せますか。

介護に続いて応益負担が持ち込まれた障害者自立支援法の応益負担の問題で、これが障害者の自立と尊厳を根底から壊したということはもはや明白になりました。作業所で働いてもその三倍の負担、食事や排せつなど生きる上で不可欠な支援を益だといって、障害が重いほど負担が重くなるというこの応益負担が憲法十三条、十四条、二十五条に反すると提訴された違憲訴訟に対して、総理の政権は、一月の七日、基本合意を結んで訴訟の解決を図られたわけです。そこにはこうあります。応益負担の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、心から反省の意を表明すると。私はそのとおりだと思うんです。

高齢者の介護も、生きる上で不可欠な支援です。介護保険の応益負担はそのままでいいという理屈は私はどこにもないのではないかと思うんですけれども、総理、いかがですか。総理。

○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 障害者の皆様方に対しては、応益負担ではなくて私どもはやはり応能負担だと、そのように考えておるところでございます。

すなわち、介護と今障害をお持ちの方々、障害がおありの方々との違いというものは保険か保険でないかという部分がやはりあって、介護は保険で今やっているわけですから、そうなると、どうしても応益の部分もどこかはつくらないといけないのではないかという発想で、その違いというものがまだ存在をしているというように私は理解をしております。

○仁比聡平君 十分な介護の保障がなされれば、だれもが人間らしく老後を生きていくことができるんですよ。そのことを現場の実践は私は証明していると思います。

ところが、制度の矛盾と負担増が福祉の心を壊しているわけですね。そこを直視しないと、応益負担という構造改革論のそのかなめの部分、試金石の部分を直視して改めないと、本当にみんなが安心できる介護も社会保障もつくれないんじゃないですか。

時間がなくなりましたから、介護報酬の問題についてお尋ねをします。
先ほど長妻大臣からもありましたが、マニフェストで、介護労働者の賃金を月額四万円引き上げるという、そういう項目を掲げていらっしゃるわけです。私は、すぐやろうじゃないかということをお訴えをしたい。

始まった介護職員処遇改善交付金というのがありますが、これは前政権で時限措置としてつくられました。今のところ、二年半たったらこれは賃下げになってしまうのかとか、あるいは期限後の保障がないと賃金体系の見直しには踏み切れないと、こうした声がたくさん聞こえてくるわけですね。

この声にこたえて恒久化する。そして、なぜ介護職だけなのかという声にもこたえつつ、介護労働者の賃金が四万円引上げということになるように、一歩でも半歩でも来年度予算あるいは速やかに足を踏み出すという、その決意を是非総理にお尋ねしたいと思いますが、いかがです。

○国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。
今のお話でございますけれども、今言われたような基金でお給料を上げているという措置が平成二十四年の三月に切れるということになっているんですが、私としては、そこで切れることなくそのまま継続をしていくということを目指していくと同時に、鳩山政権一期四年の中で月額四万円賃金をアップする、介護職員の方々の賃金をアップするということを目指して取り組んでいくということでございます。

そして、前段に触れられた介護のいろいろな問題、私も土曜日ごとに自ら介護の体験をしてきておりましてよく理解しているつもりでございまして、介護だけではなくて年金も含めた高齢者の制度の一体的な改革の中でいろいろな問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。

○仁比聡平君 日本共産党は、国の責任で安心できる公的な介護を保障すること、介護保険への国庫負担を今の二五%から直ちに五%引き上げ、さらに、かつての五〇%に計画的に戻して、三十八万人が待機する特別養護老人ホームの増設を含めて、保険料を抑えながらだれもが安心して利用できる介護制度にしていくことを強く求めて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。


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