昨夏、つれあい・寿美(享年59歳)に厳しい病の再発が判明し、持ち前のがんばりで長女の結婚式にも参列し一時は職場復帰も果たしたのですが、年末から再入院を余儀なくされ、5月15日、泣き叫ぶ私たちに抱かれるようにして息をひきとりました。

 もっと早くに見つけてやれなかったか。何かもっとしてやれることはなかったか。ほんとうに怖かったろうに。思いが涸(か)れることはありませんが、およそ10ヵ月過ごさせていただいた二人三脚の闘病生活は私たちにとってかけがえのない時間でした。みなさんのお心遣いに深く感謝申し上げます。

 斎場があふれた児童相談所の同僚の方々の別れを惜しむ涙に、つれあいのがんばりを改めて教えられました。

 春先、休職を決断して職場へ書いた手紙には、「児相はとても厳しい福祉現場です。が、今のケースとのやりとりは何ひとつ無駄なことはなく――プラスにしろマイナスにしろその子の明日に繋(つな)がっている――こどもや家族に何らかの力となっている。そんなことを思いながら私はこの仕事をしてきました」というくだりがあります。

 「今のやりとりに何ひとつ無駄なことはない」。私もその信念に学びたいと思います。

 昨秋の私の還暦には、「たくさんの人たちの生命と暮らしを守る重大な責務を抱えて激走する人だから、私のことでそんな動きを邪魔したくはない…と思ってきたけれど、今度ばかりはどうにもならず思いっきり頼りにしています。心から感謝しているよ。ありがとう。

 これからは何よりもまずは、自分自身の心と身体の声をしっかり聞いて、十分に気をつけること~まずは元気でいることが一番の宝物。いつまでもいつまでも~笑顔で~そして健康で~やりたいことを続けていって下さい。ずっとずっと元気でいてね」と書き遺しています。