長崎県の国営諫早湾干拓事業をめぐり、潮受け堤防排水門の開門を強制しないよう国が求めた訴訟の差し戻し審の第5回口頭弁論が2月19日、福岡高裁(岩木宰裁判長)でありました。

 弁論後の報告集会で漁業者側弁護団は、「国は『確定判決以降、諫早湾近傍部における漁獲量が増加傾向に転じている』と主張しているが、確定判決では『魚類』にしぼった漁獲量の減少を被害と認定している。国のデータを分析すると、増加しているのは魚類ではないシバエビに限られている」と指摘しました。

 弁護団は「漁業被害に苦しむ漁民たちが、単価の低いシバエビを頑張って取っているから起きた現象で、被害はむしろ深刻化している」と訴えました。

 集会参加者からも次々と発言がありました。仕事のため参加できなかった漁業者の妻が発言し「残っている漁師はほとんど70代。みんな身体が続く限り漁がしたいという気持ちはあるが、漁に出ても魚は取れない」と述べ「周りの人たちに現状を伝え、運動を続けていきたい」と語りました。

 弁護団で日本共産党の仁比聡平前参院議員は「開門しないことで幸せになった人は誰もいない。有明海再生に向けた話し合いの場をつくるためにみんなで頑張り抜こう」と呼びかけました。(しんぶん赤旗 2021年2月21日)