【16.05.19.】法務委員会『無限定で無制限な盗聴拡大は洗いざらいのプライバシー侵害』

190回国会質問 国会質問一覧

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

まず、盗聴の対象犯罪の拡大について、大臣も、そして一貫して政府は、四類型の組織犯罪に限定したと、暴力団が組織的な犯罪の手段として行うもの、あるいは組織窃盗、特殊詐欺、組織的な児童ポルノ事犯、こうした四類型に限定をした、厳格な要件を付していると繰り返してきたわけですが、しかし、その限定したという組織犯罪の性格、言わば組織犯罪性は、法案では令状審査の対象犯罪要件にも傍受要件にも反映されていないということが前回、前々回の私の質問で明らかになったと思います。

加えて、限定されるどころか、逆に二人以上があらかじめ役割を分担する意思を通じていれば、それだけで窃盗や詐欺など一般的構成要件の容疑で広く通信傍受の令状が発付があり得、実施され得るというのが法案の仕掛けなんですね。市民団体や労働組合もそこからは排除をされません。極めて危険です。それにより膨大な市民のプライバシー情報がひそかに侵害され、蓄積される膨大な情報があらゆる警察活動に利用される危険がある、この重大性も指摘をしてまいりました。

そこで、更に伺います。

まず、将来起こるかもしれない犯罪に関する通信の傍受についてです。現行法は、これまでの別表第一の組織的犯罪で将来の犯罪の傍受を認めているわけですが、今度の法案はこの対象を一般的な窃盗や詐欺を含めた構成要件にまで全部広げてしまうわけですね。そこで、将来の犯罪がどんなふうに令状発付の要件になるのか、これは極めて重大な問題になります。

そこで、お手元に法案そのものをお配りをしていますが、三条の一項の一号、これが、過去行われた犯罪を疑うに足りる状況があるとき、そうした趣旨の規定ですけれども、二号は、それが犯され、かつ、引き続き犯されると疑うに足りる十分な理由がある場合という規定をしています。その具体的なケースとしてイ、ロの二つを挙げるわけですが、イは、同様の態様で犯されるこれと同一又は同種の罪というふうに規定をしているわけですが、まず、林局長、これはどういう場合を指し、何を証拠として疎明をしなければならないんでしょうか。

○政府参考人(林眞琴君) 通信傍受法第三条の第一項第二号イに関しまして、まず、「同様の態様で犯される」というものがございますが、これにつきましては、犯行の客体の同一性とか類似性、また犯行の手段、方法の同一性、類似性、手段、方法の反復性、継続性、またこれらの行為の時間的近接性、こういった諸要素を勘案して判断されるものと考えております。

そして、その同一の罪とは構成要件が同一の罪のことでありまして、また、同種の罪というものにつきましては、この構成要件的行為とか客体、その結果、また法益などを考慮してこの同種かどうかが判断されるものでございます。

こういった要件の疎明の方法でございますが、実際に既に犯されている罪と今後引き続き犯されると疑われる罪が、同種の態様で犯される同一又は同種の罪であることを事件の具体的な事情に即して明らかにしていく必要がございます。例えば、営業的に行われている薬物の密売事案や多数の銃器を密輸入して順次売りさばく事案など、こういったものは同一の犯罪行為が繰り返されるという事案でございますので、その事情を明らかにするための供述調書あるいは捜査報告書などを裁判官に提出することによって疎明していくこととなろうかと思います。

○仁比聡平君 今の、そうした具体的事件に即して明らかにする必要があると言われるわけですけれども、そのイの今御答弁をいただいた要件を踏まえた上で、その二号の柱書き、「引き続き次に掲げる罪が犯されると疑うに足りる十分な理由」がなければならないんでしょうが、この疑うに足りる十分な理由というのは、これはどのような場合をいうわけですか。

○政府参考人(林眞琴君) この点につきましては、別表第一又は別表第二に掲げる罪が既に犯されていること、かつ、引き続き、先ほど申し上げましたような罪が犯されると疑うに足りる、このことが、両方とも疑うに足りる十分な理由というものが要求されます。したがいまして、単に疑うに足りる理由があるというだけではなくて、疑うに足りる十分な理由というものを証拠によって疎明していく必要があるということになります。

○仁比聡平君 皆さん、分かりますか。疑うに足りる十分な理由というけれども、過去に起こった犯罪であれば、これが日時や場所によって特定をされるわけですね。何年の何月何日頃にどういう場所で誰が、もし相手がある犯罪行為であれば誰に対して行ったというのが容疑ということになるわけですが、将来発生するかもしれない犯罪というのは、これはそういう日時や場所では特定はあり得ないですよね、いつ起こるか分からないわけですから。これを、いつか起こるかもしれないといってこれ疑って掛かる、それが通信傍受の令状の発付の根拠になると。

これは極めて私は曖昧であり、濫用のおそれが極めて高いと思うんですけれども、そうした指摘も踏まえて、局長、どんなふうに限定されるんでしょう。

○政府参考人(林眞琴君) 同じように、犯されると疑うに足りる十分な理由というものを疎明するというときに、過去に起きた犯罪について、それを犯されると疑うに足りる十分な理由があるということを疎明するものと同程度に、これから起きる犯罪についても、それが犯されると疑うに足りる十分な理由というものを疎明しなければならないわけでございます。

将来、今後引き続いて犯されるであろうという犯罪について、過去の犯罪と同様に十分な理由を求めているという点におきまして、ここでの疎明の程度というのは非常に高いものがあろうと考えております。

○仁比聡平君 過去起こった犯罪、しかも、これまでは組織的な犯罪なわけです、例えば覚せい剤取締法違反などの。これは暴力団が行うであろうというような罪なわけです。これが行われたのではないかという容疑というものの具体性、特定性と同様に将来起こるかもしれない容疑を特定するって、これ一体どうやってやるんですか。私は、今おっしゃるとおりなんだったらば、これはあり得ないと思うんですけれども。

その立場から、続けて二号のロ、一連の犯行の計画に基づいて犯されるという、この一連の犯行の計画に基づいて犯されるという意味とその疎明の仕方、三号の一体のものとしてその実行に必要な準備のために犯されるというこの意味と認定の仕方、疎明の仕方について、それぞれお答えください。

○政府参考人(林眞琴君) まず、通信傍受法第三条第一項第二号のロに関しまして、この一連の犯行の計画といいますのは、各行為の内容、その客体などが個々あるいはグループとしまして識別可能な程度に特定された複数の関連する犯罪行為の計画でございます。例えば、暴力団が、敵対する組織の縄張を乗っ取ることを目的として敵対組織の幹部を殺害するという計画の下に、既に殺人を実行し、さらにまた計画に従って別の殺人を行おうとしていること、こういった事案が考えられます。

この要件の疎明方法につきましては、やはり一般的には、関係者の供述調書やその犯行の手口などに関する客観的な証拠などを裁判官に提出することによって疎明していくことになろうかと思います。

もう一つの通信傍受法第三条第一項第三号に規定します、死刑又は無期若しくは長期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪が別表に掲げる罪と一体のものとしてその実行に必要な準備のために犯されという内容でございますが、これは、別表に掲げる罪の実行に必要な準備のために既に起こされた犯罪と、当該別表に掲げる罪との間に言わば客観的な一体性が認められることが必要であります。例えば、これについては、無差別大量殺人を行う計画、謀議の下で大量の毒物を違法に製造している事案などが考えられるところであります。

この場合の疎明の方法でございますけれども、一般的には、それぞれの犯罪自体の性質、それから一連の犯行の計画、謀議の存在に関係する証拠物あるいは供述調書、捜査報告書などによって疎明することになります。

○仁比聡平君 今、林局長が例として挙げた暴力団の事犯などだけを聞けば、そうしたものの計画というのは疎明できるのか、あるいは限定されるのかというふうに思われるかもしれないけれども、定義として述べておられること、例えば、三号の一体のものとしてというのは客観的一体性である、それは、客観的一体性であると言って何を言ったことになっているんですか。あらかじめ犯行の実行の段取りをしていれば二号ロの一連の犯行の計画に基づくというふうに、これ容疑は掛けられ得るんじゃないですか、局長。

○政府参考人(林眞琴君) ここでは、単に過去の犯罪と今後の犯罪が関連性を有するということではなくて、これがまず、その両者が一体のものであること、そして、先に行われた犯罪がその後に行われる犯罪のための実行に必要な準備のために起こされていること、こういったことを疎明しなければならないわけでございます。

こういったことによって、客観的な一体性とともに、先行する犯罪が後行する犯罪の準備のために犯されているということを疎明しなければならないということでございます。

○仁比聡平君 私が恐ろしいと思うのは、つまり今局長がおっしゃるような捜査官の被疑者、市民に対する容疑の問題なのであって、しかも、令状が発付されたか、通信が傍受されているかどうかはひそかに行われ、知らされないということなんです。

捜索、差押えであれば、前の委員会でも申し上げましたけれども、現実に踏み込んできてガサを入れるわけですから、誰しもこれは容疑が掛けられているということが明らかになって、不服申立てをする、その不当を争うということができるわけですが、通信傍受は、一貫して議論されているように、ひそかに行われるわけですよ。

将来どんな犯罪を起こそうとしているのではないか、こんな犯罪を起こそうとしているのではないかと容疑を掛けて、令状さえ出れば当事者には全く秘密のままこの傍受が行われ得るということになるわけですね。

これを過去起こった犯罪と同じように特定するということは私はできないと思うんだけれども、だけれども、この法はできるということを前提にして、裁判所の令状が出るということを前提にしているわけですね。そういう仕組みなわけです。となると、日時や場所では特定できない将来の行為について、こういうことが起こるかもしれないということで、結局、何でもかんでも通信を傍受できるような令状だって、裁判官が大間違いをすれば、これは出得るんじゃないですか。

大臣、この過去の犯罪行為と違って、つまり特定性がない、曖昧である、こういうものによって当事者に知らされることのない傍受令状を発付するというのが一体どこが限定されているというのか。大臣、いかがですか。

○国務大臣(岩城光英君) おただしのありました通信傍受法第三条第一項第二号及び第三号は、いずれも、既に行われた犯罪とこれから行われる犯罪から成る一連の犯罪行為を全体として傍受の対象とすることを認めるものであります。これらの各号のいずれかに該当するものとして傍受令状が発付される場合におきましても、これから行われる罪についても被疑事実が特定されていなければならず、また、特定された被疑事実は傍受令状に記載されることとなります。また、そのような被疑事実を前提として傍受令状には傍受すべき通信が特定され、記載されることとなります。

このような傍受令状に基づき傍受の実施をする捜査官は、当該傍受令状に記載された被疑事実及び傍受すべき通信を前提に、傍受の実施をしている間に行われた通信について該当性判断のための傍受を行うこととなります。その際の該当性判断のための傍受の在り方は、傍受令状に記載された被疑事実がこれから行われる犯罪を含まない場合と異なるところはなく、犯罪関連通信に該当すると判断できる通信以外は、傍受すべき通信として傍受することはできません。

したがいまして、傍受令状に記載された被疑事実にこれから行われる犯罪を含む場合には該当性判断の適正さの担保が困難になるといった御指摘は当たらないものと考えております。

○仁比聡平君 いや、大臣、これから行われる罪を特定しなければならずというふうにお答えになりましたけど、だからどうやって特定するんですかと言っているんです。

特定できなければ、私は、裁判所、裁判官の皆さんにこの場を借りて申し上げたいですが、将来行われる行為を特定できない、これ、条文にあっても一切この令状というのは発付すべきではないということを強く申し上げたいと思うんですね。

加えて、確認をしますが、林局長、十四条においては、一旦傍受令状が発付をされれば、他犯罪の通信に関連するのではないかという通信、これは傍受できるということになっています。これは私は、別件傍受というのが盗聴において行われ得るということだと思います。何らかの罪で令状を取って、そして狙う本罪についての盗聴を行うということだってこれは可能になっている、別件盗聴ですね。その別件盗聴の対象に今度広げようとしている窃盗や詐欺などの罪、これも含まれるということになるわけですが、このときには組織性の要件というのは要求をされない、そういう法文の仕組みになっていると思いますが、そのとおりですか。

○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおりで、その組織性の要件というものがこの十四条の他の犯罪の実行を内容とする通信の傍受を行う要件としては求められておりません。

○仁比聡平君 つまり、この将来犯罪の傍受令状という要件を聞いていただいたら分かるとおり、更に曖昧になる。そこで他犯罪の傍受は可能であって、別件傍受の場合その組織性さえ問われないということになれば、犯罪捜査と、将来起こり得る犯罪の捜査、監視を理由にした市民社会に対する監視、ここへの警察の干渉というのは、これは極めて危険になるわけです。

そこで、これまで現行法の下で組織的犯罪について行われてきたこの傍受令状の一号の過去犯罪に対するもの、二号のイ、ロ、そして三号、この三つの将来犯罪に対するものについての実施件数は国会には報告をされておりません。それぞれどうなっていますか、警察庁。

○政府参考人(三浦正充君) 傍受を実施した事件が法第三条第一項各号のいずれに該当するかにつきましては、警察においては網羅的には把握をしておりません。

○仁比聡平君 網羅的に把握していないと言って、一件一件は全部警察が請求しているんですよ、令状を。調べれば分かることを答えようとしない。一体、その陰に隠れてひそかに何をやっているんだと。

その盗聴の実態がこの法案によって一般犯罪にまで拡大をされ、申し上げてきたような盗聴の自由化というべき事態になるならば、その実態を国会に明らかにし、国民に明らかにして、徹底して検証する。違法を絶対に許さない、この監視と、そして濫用を絶対に許さない。もし濫用が明らかになるならば、この法、その仕組みそのものを、これ私は断固として法案、廃案にすべきだと思いますけれども、与党、他の党の立場の皆さんにとったって、こんな制度は廃止するべきだという議論をやる材料を国会でちゃんと報告をさせなければならないのではないでしょうか。

私、大臣、今申し上げた件数について国会報告をすべきではないかと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(岩城光英君) 私でよろしいんですね。

政府としては、現行通信傍受法第二十九条に定めるところに従いまして、傍受令状の請求及び発付の件数、その罪名、傍受の対象とした通信手段の種類、傍受の実施期間、その間に行われた通話の回数、そのうち犯罪関連通信が行われたものの数や、傍受が行われた事件に関して逮捕した人員数といった制度の在り方や運用状況についての検討に資する事項について毎年国会に御報告するとともに、公表してまいりました。さらに、衆議院における本法律案の修正によりまして、本法律案により新たに導入する方式により傍受の実施をしたときは、その旨も国会に報告することとされたところであります。

こうした事項は通信傍受の制度の在り方を検討する上で十分有用なものでありまして、現時点において制度上それ以上の項目を加える必要があるとまでは考えておりませんが、さらに、どのような統計的資料を把握することが有用であるかにつきましては引き続き検討してまいりたいと考えております。

○仁比聡平君 いや、引き続き検討するというのではなくて、与党はこの委員会で、今日の委員会で質疑を終局し、採決を求めているわけですよ、私は断固として反対をしていますが。その段階において引き続き検討したいと言っていて、一体どうなるんですか。

法律上は確かに大臣が言うようにしか書いていませんよ。けれども、私が申し上げているような疑問に真剣に答えようとするのであれば、それは国会にはちゃんと報告しますと約束をするべきではありませんか。大臣、そして河野国家公安委員長のそれぞれの御認識を伺います。

○国務大臣(岩城光英君) 先ほど申し上げましたとおり、通信傍受の制度の在り方を検討する上でただいま御指摘の件につきましては必要なものであるとまでは考えておりませんので、現時点では加える必要があるとまでは考えておりません。さらに、どのような資料を把握することが有用であるかにつきましては検討課題とさせていただきたいと存じます。

○国務大臣(河野太郎君) 警察といたしましては、法第二十九条に定められた事項について確実に国会報告を行っているところでございます。今後とも適切な通信傍受の運用を積み上げ国会への報告を確実に行っていくことが、通信傍受に対する国民の信頼を一層確かなものにする観点からも重要だと思っております。

○仁比聡平君 これまでの使い勝手が悪いと言ってきた、その盗聴をこれだけ自由勝手にやろうとする、そういう提案をしてきて、この段に至って、広くプライバシーが侵害されるではないか、将来の犯罪なんて特定のしようがないじゃないか、その指摘を受けながら実施件数さえ報告を約束をしないと、とんでもないことだと私は思います。

続けて、スポット傍受について一問、局長の答弁に関わってお尋ねをしますが、前回、五月十二日の質疑で私の質問に対して、スポット傍受というのは必要最小限度の範囲に限るための一つの方法にすぎませんというふうにお答えになりました。私、これ意味が分からないんですね。

一つの方法にすぎませんというのは、つまりスポット傍受以外に、犯罪関連通信であることの該当性判断を誤らせない手段として、スポット傍受よりほかに強い抑制手段があるという意味が日本語の普通の読み方です。ほかに何があるというのでしょうか。

○政府参考人(林眞琴君) 通信傍受法では、該当性判断のために必要な最小限度の範囲に限り傍受することができる旨を規定しているわけでございます。

この通信傍受法が予定している必要な最小限度の範囲に限りというものを実施する際、すなわちその傍受の最小化を図るためにスポット傍受が一つの方法としてあるということを申し上げたものでございます。逆を申し上げれば、スポット傍受をやっていることイコール必要最小限度の範囲になっているかということは、それは実際の通信傍受の、実際に傍受がされた通信の内容等によって判断されるということを申し上げたものでございます。

そして、このスポット傍受で行われるのがその最小化を図る一つの方法であると申し上げた意味といたしまして、では、そのほかに、スポット傍受、他の方法による最小化があるのかということでございますが、例えば、それまでに行ってきた傍受の結果などに照らして、通話の相手方からしてこの当該通話においては犯罪関連通信が行われないと判断して、その後その通話については該当性判断のための傍受も行わないという方法、こういった方法につきましては、これはスポット傍受というやり方ではなくてそれよりも少ない傍受の範囲となりますので、そうした形でその必要性、必要な最小限度の範囲に限りという法の求めをそうやって満たすということもあり得るかと考えております。

○仁比聡平君 結局その捜査官の判断次第ということをおっしゃっているだけで、スポット傍受以外に何か強い抑制手段があるのかといったら、ないわけじゃないですか。

今の局長のお話は、例えばこの間出した例で言えば、私の携帯電話が傍受されているとする、そのときに、私が娘と電話をするときには犯罪関連の通話は、これは過去行ってきた限りにおいてはない、だから私が娘と話している限りについてはこれはもう傍受はしないというようなことをおっしゃっているんでしょうけれども、けれども、本当に私と娘の間の通話だけは傍受しないというふうにやっているかどうか、その判断の適正というのは一体どうやってただされますか。実際には通信の当事者にさえ通知をしないわけですから不服申立てのしようはないし、結局、将来裁判の有罪証拠として出てきてその違法を争うというとき以外、ただされることないじゃありませんか。

該当性判断の是非がどこでただされるのかという問題と今の局長の答弁は同じ話でしょう。

○政府参考人(林眞琴君) この通信傍受法は、該当性判断のための傍受も含めて、捜査官による傍受が適正に行われたか否かを事後的に検証することができるようにするために、捜査官が傍受した通信は全て記録媒体に記録して遅滞なく裁判官に提出するということを定めているわけでございます。そして、その傍受をされた通信の当事者はその傍受の原記録の聴取等をしてその内容をチェックすることができ、さらに、傍受記録の内容が公判の証拠として用いられる場合には、被告人やその弁護人もその傍受の原記録の聴取等をすることができるわけでございます。

この該当性判断のための傍受が必要最小限度の範囲に限定されるということは、このような傍受の原記録の聴取等を通じて通信当事者等により事後的にチェックされ、また、その不服申立て等において裁判所、裁判官による審査を受け得るという事後検証可能性の仕組みによって必要最小限度の範囲に限定されるということが担保されることとなると考えております。

○仁比聡平君 結局、洗いざらいのプライバシーを侵害し得る危険性をはらみながら、その違法、濫用の抑止の実効性を持った闘う機会というのは極めて限られるわけですよ、極めて限定されるわけです。

ですから、令状さえ出れば、あとは第三者の目による監視のない、警察署にいながらにしての警察による秘密処分、特定電子計算機の設定も前回明らかにしたように警察が行うと言っているわけですから、そうしたものを本当に許していいのかということがここで問われているわけです。警察、捜査機関を本当にそんなに信頼するんですかという問題として、特別部会以来、刑事司法改革だといって進められてきたこの法案の骨格部分について、重大な問題がこの参議院の審議の中で明らかになりました。

二つ伺いますけれども、まず、司法取引について。元々、密告が他人を引っ張り込む、その危険が制度化されるのかという大問題ですけれども、前回の質疑で私は、捜査段階で被疑者やその弁護人には知らされないままひそかに司法取引が行われる、そこで合意がされた書面、それに基づく供述調書が有罪証拠として裁判に出されるとき、あるいは証人として出てくるとき、その氏名や住所を公判に至っても弁護側に隠し得るという、そういう制度ではないかと二百九十九条の四という条文について問うたら、そのとおりですという確認になったわけですね。

前回聞く時間が残りませんでしたから改めて伺いますが、林局長、法制審の特別部会ではそのような説明をしていましたか。

○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の証人等の氏名、住居を秘匿する措置についてでございますが、法制審議会の特別部会の議論の中で、まず作業分科会における検討結果、それに続いて事務当局の試案、そして最終的な答申案、こういったものが順次出されていくわけでございますが、そのいずれの段階におきましても、証人や供述録取書の供述者等を所定の要件を満たす限りにおいて一般的に秘匿措置の対象者とすることについては、一見して明白な記載となっております。

そして、そのような今申し上げた三つの文書の議論の中で、委員からは、被告人側の防御への配慮の観点から、秘匿措置をとることができない要件となる実質的な不利益を生ずるおそれがあるときについて例示を設けるべきであるという意見は述べられたものの、この合意制度の下で合意に基づいて作成された供述録取書の供述者や合意に基づいて証言する証人については、これをこの秘匿措置の対象者から除外すべきであるとの意見が述べられたり、これが含まれるのかといった質問がなされたことはなかったことでございます。

逆に、合意に基づく供述者について、秘匿措置の要件を満たして秘匿措置がとられる場合があることは当然に想定されております。例えば、暴力団による薬物事件などで子分の共犯者が検察官との合意に基づいて親分の指示について供述、証言する場合において、当該子分は暴力団関係者の知らない土地に住居を移しているけれども、その住居を知られれば子分に対して加害行為がなされるおそれがあるというときには、現住居を知らせなくてもこれに代わる連絡先を知らされれば、防御に実質的な不利益を生ずるおそれがないことも想定されるわけでございます。

そのために、事務当局から特に説明するまでもなく、当然にこの対象者に含まれるという前提で特別部会での議論が行われたものと承知しております。

○仁比聡平君 大臣始め皆さん、後になって今のような説明をするのが法務省当局ということですよ。だって、司法取引というのが捜査段階で被疑者側には分からない形で行われる、そこで出てきたうそかもしれない供述、これが有罪証拠として使われるような段階になっても弁護側には氏名、住所を明らかにしないことがあり得る、法律はそういうことになっているということが弁護側のその防御権を侵害するのではないか、重大な問題なのであって、それが書いてある表現で一見して明らかであったはずだと、特にそこの焦点を当てた議論がなくても全会一致だったんですと、そんなことで物事が通りますか。

もう一点は、部分録画と、その有罪証拠としての、実質証拠としての利用という問題ですけれども、皆さんのお手元に五月十六日付けの産経新聞、「可視化法案 日弁連内から異論」、「法務省解釈と相違」という記事をお配りをいたしました。もう皆さん御存じのように、日弁連の河津参考人がこの委員会で述べた理解と法務省林局長の答弁、つまり起訴後勾留はこの録音、録画の義務付けの対象とならないという林局長の答弁が日弁連内から異論が出ているわけですね。

その記事にもあるように、日弁連刑事法制委員会の岩田委員長は、身体拘束下の取調べであることは同じであって法務省の解釈は誤りであるというふうに述べていますが、特別部会では、身体拘束下の、つまり起訴後勾留だって身体拘束下なんですから、その被疑者、被告人に対する取調べは、これは全過程録音、録画するという前提での議論だったんじゃないんですか。

○政府参考人(林眞琴君) 御指摘の点につきまして法制審議会の特別部会の議論の経過を説明させていただきますと、まず、録音、録画の制度の対象について、当時、事務当局から示された試案がございました。その試案の中におきましては、一として、その録音・録画記録の証拠調べ請求義務の対象については、被疑者として逮捕若しくは勾留されている間に当該事件について同法百九十八条第一項の規定により行われた取調べとすること、五といたしまして、録音・録画義務の対象については、一に掲げる事件について逮捕若しくは勾留されている被疑者を刑事訴訟法第百九十八条第一項の規定により取り調べるときとすること、こういったことが明記されておりました。

このように、事務当局試案の文言上明らかになっていたものが最終的な答申となりまして、特別部会において全会一致で取りまとめられ、また法制審議会の総会においても全会一致で答申がされたものでございます。

したがいまして、録音・録画制度の対象となるのが、被疑者として逮捕、勾留されている間に対象事件について行われる取調べであるという趣旨は、この答申の記載から、また答申の経過から明らかでございます。

このように、こういった録音・録画制度の対象が明確に示されて議論されて答申に至ったものでございまして、こういった経過に照らしますと、この特別部会の委員に誤解を生じさせるようなことはなかったものと承知しております。

○仁比聡平君 大臣、法務当局の説明というのはそういうことなんですよ。何が誤解を生じさせるようなことはなかったですか。

この点は、前にも議論しましたが、この特別部会の委員であった後藤昭教授は、任意同行の問題について、名目は任意同行であっても実質的に身体拘束に当たる状況で取り調べた場合には録音・録画義務の潜脱という違法が生じると法律論文にお書きになっているわけですが、それは、つまり実質的に身体拘束に当たり得る任意同行であればこれは録音・録画義務が課せられるという前提なんですね。学者の委員もそうなんですよ。日弁連の代表は、この参考人質疑で法務当局の解釈は間違っていると言っているわけですよ。ところが、間違っていないと言い張っているのが今の局長。初めからちゃんと説明していたと言うんでしょう、誤解など与える余地がなかったと言うんでしょう。

大臣、これはだましたと同じなんじゃないのか。これ、全会一致なんといってこの法案を推進したけれども、この法案の提出者の態度自体が関係者に対する説明という意味でも極めて不誠実であり、卑劣だったとは思いませんか。

○国務大臣(岩城光英君) 法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会に関わるおただしでありますけれども、先ほど刑事局長から詳しく答弁をさせました。

法制審議会の特別部会におきましては、取調べの録音・録画制度に関し、被疑者として逮捕、勾留されている間に対象事件について取調べが行われる場合が録音・録画制度の対象となることが明確に示されて議論され、答申に至ったものと承知をしております。そして、同部会におきまして全員一致により取りまとめられた答申案の記載もその趣旨を明らかにするものであると考えております。

このような特別部会の調査審議の経過等に照らしますと、委員に誤解を生じさせるようなことはなく、日本弁護士連合会出身の委員を含め、各委員の御理解の下、全員一致で答申案の取りまとめが行われたものと考えております。

なお、現時点におきましても、日本弁護士連合会は本法律案に全体として御賛同されているものと承知をしております。

○仁比聡平君 そうした法務当局、政府に対して、私はこの法案の断固とした廃案を改めて求めたいと思うんですね。

国家公安委員長にお尋ねをしたいと思いますが、私が指摘しているようなこの部分録画とその実質証拠としての利用の危険性について、三宅理事が四月二十一日の質疑で、運用できちんと対応すると明言すべきではないかという質問を林局長に行いまして、いろいろ理由はあるけれども、局長は、運用の中で起訴後の勾留の被告人の余罪取調べについても必要な録音、録画を立証責任を負う立場から行っていくものと考えておりますと答弁をされました。これは警察も同じように行うんですか。

○政府参考人(三浦正充君) 例えば、殺人事件及び死体遺棄事件の捜査を行っている場合など、両事件の関連性が高く、公判においても審理が併合されることが見込まれる場合には、裁判員裁判非対象事件である死体遺棄事件についての取調べについても、録音、録画を行うという運用が想定をされます。この点、現在警察において取り組んでいる録音、録画の試行においても同様の運用がなされているところであります。

さらに、この例で申し上げますと、当該死体遺棄事件の起訴後の勾留中に行われる殺人事件の取調べの多くの場合でも録音、録画が行われているというのが現在の運用でありまして、今後においても同様に考えているところでございます。

○仁比聡平君 何が多くの場合で行われているですか。今市事件において、二月十八日に別件起訴後、六月三日に殺人罪で逮捕するまで三か月半、警察は録画を行っていないじゃないですか、取調べは何度もやりながら。

この間発表された録音、録画の比率というのは四八%程度でしょう。林局長は、検察においては一〇〇%、ほぼ一〇〇%録音、録画を現に行っているということを前提に、義務付けの対象ではないが行うとおっしゃっているのかもしれないが、警察はそうではないんですよ。こうした捜査機関の運用で濫用を防ぐという議論の仕方、接近の仕方をするのは、私は憲法と刑事訴訟法の大原則を掘り崩すことになると思います。

大臣、適正手続を保障する憲法三十一条に照らせば、法と令状主義で捜査権限の濫用を防止すべきなのであって、被疑者、被告人の防御権、弁護権の侵害はあってはならないのではないか、その大原則に照らしたときに、私が指摘してきた数々の問題点をどのように理解をしておられるんですか。

○国務大臣(岩城光英君) 仁比委員から様々な御指摘をいただいております。

憲法第三十一条は、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と規定しておりまして、適正手続を保障したものと解されているものと承知をしております。

刑事手続が適正なものでなければならず、また被疑者、被告人の防御権が不当に侵害されることがあってはならないことは、委員御指摘のとおりであります。本法律案による改正内容は、いずれも被疑者、被告人の防御権にも適切に配慮した適正なものになっているものと考えております。

○委員長(魚住裕一郎君) 仁比君、時間ですのでおまとめください。

○仁比聡平君 とんでもない。繰り返し申し上げてきたとおりです。

かつて、警察、検察による弁護人の接見妨害が極めて著しく行われてきた時代に、昭和六十二年のことですが、日弁連が、捜査と弁護権に関する決議というのを上げたことがあります。弁護権は、不安動揺の最中にある被疑者に対して、法律専門家として援助の手を差し伸べ、その黙秘権を保護し、適正手続の監視を通じて誤った自白による誤起訴及び誤判を未然に防止することに任務がある。しかるに我が国の捜査機関は、刑事訴訟法の理念とはおよそ相入れない旧態依然たる糾問主義に立ち、被疑者の当事者的立場を認めようとはせず、ひたすらその自白ないし不利益供述を求める密室における取調べを捜査の中心に置く誤りに陥ったまま今日に至っている。このような現状に対し、我々のあるべき対応は、違法、不当な捜査官による接見制限ないし事実上の拒否、妨害に対しては、これに遭遇した弁護士が一人でも多く、当該被疑者の立場、被疑事件の特質などを配慮しつつ、ちゅうちょすることなく準抗告をもってその是正を裁判所に迫ることであると記しています。

○委員長(魚住裕一郎君) 仁比君、時間が過ぎていますので、質疑をまとめてください。

○仁比聡平君 私は、この法案の重大問題に対して、とりわけこの危険な捜査権限の拡大という新たな局面において、私たちがこの濫用を絶対に許さないという闘いが極めて重要だと思います。

日本共産党は、国会内外の皆さんと力を合わせて、その先頭に立つ決意を申し上げまして、質問を終わります。

○委員長(魚住裕一郎君) この際、お諮りいたします。

本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕

○委員長(魚住裕一郎君) 多数と認めます。よって、本案に対する質疑は終局することに決定いたしました。

河野国家公安委員会委員長は御退席いただいて結構でございます。

これより討論に入ります。

御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、盗聴法の大改悪など刑事訴訟法等改定案に断固反対の討論を行います。

本法案は、我が国の刑事司法に問われてきた根本問題である冤罪の根絶をすり替えて、盗聴法の大改悪と司法取引導入を柱にした憲法違反の治安立法というべきです。衆議院にも出席した冤罪被害者の桜井参考人は、昨年の六月の当時と私たちの危機感は全く違います、部分可視化によってますます冤罪をつくるものという確信になりました、私たち国民がどれだけ冤罪に苦しんだら冤罪をなくす法律を作ってくださるのでしょうかと、この委員会で訴えました。この怒りに背を向け、成立を図ろうなど、断じて許されるものではありません。

反対理由の第一は、盗聴の拡大です。

盗聴の本質は、犯罪に無関係の通信を根こそぎつかむ盗み聞きであり、憲法が保障する適正手続と令状主義を侵害する明白な憲法違反です。現行法は、一九九九年、厳しい国民的批判にさらされる中、辛うじて、対象犯罪の限定、通信事業者の立会いという与党修正によって強行されました。それが使い勝手が悪いからといって対象犯罪を広く一般犯罪へ拡大するとともに、立会いを廃止し、警察署にいながらにしての盗聴を許し、傍受する情報をあらゆる捜査への利用を許すのが本法案です。この盗聴の自由化というべき拡大は、渕野参考人がプライバシー侵害は聞かれた瞬間に完成していると語ったとおり、携帯電話、メール、SNSなど、憲法が保障する国民の通信の秘密、プライバシーの権利を広く侵害する違憲立法であり、国民監視の社会に変質させる危険があります。

第二に、捜査官の判断で取調べの部分的な録音、録画と、それを有罪立証の実質証拠としての利用を可能とするものだからです。

取調べの録音、録画は、憲法三十八条の黙秘権の実効性を保障するため、全事件、全過程を義務付けるものとするのが当然であります。ところが、政府は、義務付けの対象を全事件の三%、ごく一部に限定し、さらに、今市事件のように、非対象事件による別件逮捕、起訴後勾留中の対象事件の取調べや任意同行下での取調べは義務の対象にはならないとしています。これでは違法な取調べが抑止できず、逆に自白偏重の部分録画で新たな冤罪を生み出しかねません。浜田参考人も、そうでなければ虚偽自白は防げないと語ったとおりです。

第三に、司法取引は、自らの罪を免れようとして他人を罪に陥れ、引っ張り込む危険を本質的に持っています。しかも、密告者の氏名、住所を公判においても弁護人に隠し、防御権を侵害し得る仕組みも明らかになりました。豊崎参考人は、研究者の良心に懸けて、あるべき法改正は、公判中心主義にかなう刑事手続に向けた抜本的な改革であり、端的に捜査、取調べを抑制することでありますと述べられました。

うその自白の強要や卑劣な非合法盗聴に何の反省もない捜査機関に適正な運用を期待するのは誤りです。本改定案は廃案とし、冤罪事件を生み出す刑事司法の根本問題を徹底的に検証、究明した抜本的改革こそを強く求め、反対討論を終わります。


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