【16.12.01.】法務委員会『再犯防止に福祉連携を』

192回国会質問 国会質問一覧

 

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

先ほど小川委員の方から、理念は大事だというお話があった。受刑者を始めとして、犯罪を犯した者というふうに法案が規定をしていこうとしている方々の社会復帰、それを通じた再犯防止ということを実らせていく上で、特に福祉的な支援との連携ということの重要性という角度でちょっと私は聞いていきたいと思うんですけれども、提案者に伺う前に、今の特に高齢者をめぐるこの再犯の状況について大臣に御認識をお伺いをしたいと思うんです。

最近出されました犯罪白書について、各新聞が、高齢者再犯、四割は半年未満という大きな見出しで書きました。つまり、刑務所を出て五年以内に再び罪を犯した高齢者を調べると、その四割が再犯に至るまで半年未満だったという衝撃のような数字なんですね。ですから、立ち直り困難、支援急務と、そうした見出しが立てられているわけですが、大臣、この実態や要因を法務省としてどのように認識をし、そして急務とされている支援をどのように進めていかれますか。

○委員長(秋野公造君) まずは、大臣官房高嶋審議官。

○政府参考人(高嶋智光君) まず、数字的なところにつきましては……(発言する者あり)ええ、簡潔にお答えします。私の方からお答えいたします。

委員御指摘のとおり、母数は出所後五年以内に再び刑務所に入所した者でございますが、そのうち六十五歳以上の者については四〇・二%が半年未満で再び刑務所に入っている、これは御指摘のとおりでございます。刑務所に収容されている受刑者の数というのは最近では減少傾向にあるんですが、高齢者受刑者につきましては増加を続けておりまして、平成二十六年には受刑者の高齢者率、六十五歳以上率が初めて一〇%を超えるなど、受刑者の高齢化が急速に進んでいるところでございます。

高齢受刑者の中には、歩行、食事等の日常的な動作が全般にわたって支障があり、福祉的支援なくして社会復帰が困難な者や、親族等との関係が疎遠であるため帰るべき場所のない者が少なくなく、こうしたことが再入率を高めている原因というふうに考えておるところでございます。

政府としましては、今年七月の犯罪対策閣僚会議におきまして、薬物依存者・高齢犯罪者等の再犯防止緊急対策を決定しました。その中で、具体的には、刑務所内におきましても介護、病気、健康状態が良くない者等に対する処遇をしっかり展開していくこと、それから、各刑事手続の段階におきまして福祉・医療機関へしっかりとつないでいくこと、それから、特に薬物依存の高齢者につきましては立ち直りに向けた息の長い支援を実現するということを考えておるところでございます。

○国務大臣(金田勝年君) ただいま私どもの審議官から御説明申し上げたとおりでありますが、本年の七月に決定しておりますこの緊急対策における施策を着実に実施することによりまして、より一層効果的な再犯防止対策、ただいま申し上げた、具体的には二点申し上げておりますが、これを推進していきたいと、このように思っている次第であります。

○仁比聡平君 ありがとうございました。

そこで、提案者の皆さんにお尋ねをしたいと思うんですけれども、この法案は、目的として、再犯防止等に関する施策をしっかりすることによって私は申し上げているような社会復帰を図っていくということを全体として目的にしていることは間違いないことだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○衆議院議員(井出庸生君) お答えを申し上げます。

この法律の目的というところでございますが、この法律は、一条のところにその目的を具体に規定をしております。先生御指摘のように、この法案の一条では、冒頭に、再犯の防止等が重要であることに鑑みと書いてございます。そしてまた、末尾には、もって国民が犯罪による被害を受けることを防止し、安全、安心して暮らせる社会の実現をすると。ただ、こうしたことは今までいろんな施策の中で言われてきたことでありまして、今回の法律というのは、まさに今先生御指摘のように、国や地方公共団体が施策の基本事項を定めて、政策を総合的、計画的に推進をしていくと。ですから、国や地方団体が、一度犯罪に手を染めてしまってもう二度と犯罪と関わりたくないと、犯罪と関係を断ち切りたいと、そういう方にその環境整備をしていくと、そういう意味で今回の法律を出させていただいていると御理解いただければと思います。

○仁比聡平君 今の点、社会復帰がまずは目的の大事な柱ですよということ、それが法文上から明確に読み取れるということも大事かなと私思うんですよね。

もう一つ、先ほど小川先生の方から御議論があっていましたけれども、典型的には未決拘禁者、あるいは刑期を満了した者、そうしたいわゆる保護観察上の指導の対象にはならないというふうになっている方々について、これがその対象になるように読まれかねないような部分というのは、できたら形が整えられればなという思いを私持っておりまして、先ほどの御答弁で、その指導という概念が私が想定していたよりももっと幅の広いものを提案者としては考えておられることが先ほどちょっと初めて私分かりまして、ということであると、いろんな書きぶりもまたあるかなと思います。指導及び支援というふうに一くくりにすると、ちょっといろいろやっぱり誤解を生む面もあるのではないかなと思いますので、それはちょっと、できるだけいい形でこの法案を世に送り出すことができるように御協議を願えればと、これは御要望を申し上げておきたいと思います。

そこで、ちょっと具体的な、まず出口支援について伺いたいと思うんですけれども、法務省と厚労省が連携をしまして、いわゆる特別調整ということが行われております。今度の犯罪白書を見ますと、その結果、福祉施設などにつながった人員は実質七一・二%に上っておりまして、これはやっぱり見るべき成果だと言うべきだと思うんですよね。一方で課題もあるかと思うんですが、局長、どんなふうに御覧になっているでしょうか。

○政府参考人(畝本直美君) この特別調整の取組、平成二十一年度から地域生活定着支援センターと連携を始めて行っているものでございます。そして、その数値、今先生が御指摘のとおりでございまして、この連携は一定の成果を上げているものと認識しております。また、一人でも多くの人がその必要な福祉的な支援に確実につながっていくように、今後ともしっかりと情報交換を行うなどして緊密な連携に取り組んでいく、そのように考えております。

以上でございます。

○仁比聡平君 お手元に新聞の記事を二枚配らせていただいているんですけれども、左側の方のですね、北九州で地域生活定着支援センターの助力で安定した暮らしが始まったと、記事には、「初めて福祉にたどりついた安心感をのぞかせた。」という記事がありますけれども、下関駅を放火で焼いてしまったという事件なんですが、私、当時、生活保護の窓口で本当にニーズに応えられていたならばこうしたことにはならなかったのではないかという問題意識で国会での質問をしたことがある方なんですね。

厚生労働省にお尋ねしたいと思うんですが、やっぱり施設から出てきたときにつながっているということがとても大事と。なかなかいろいろな問題があれこれある中でこうして福祉につながっているということについて、この厚労省の事業の大事な意義があると思うんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。

○政府参考人(中井川誠君) お答え申し上げます。

先生御指摘のとおり、地域生活定着支援センターにつきましては、まさにそのつながるという観点で、福祉サービスへのつなぎということで、コーディネート業務で平成二十七年度には七百五十名の方が受入先に帰住するなど、非常に実績を上げているというふうに認識しております。

この事業を通じまして着実に出所後の居住先の確保ですとか福祉サービス等の支援につながるようになれば、矯正施設から出所した人が再び犯罪をしにくくなっているのではないかと考えられ、非常に社会的意義が高いものと考えております。

○仁比聡平君 ありがとうございます。

そこで、大臣に、法務省と厚労省の連携でこの特別調整や地域定着支援センターの取組が大きく成果を上げ始めていると思うんですけれども、全体のニーズということを考えると、もっと安定してもっと発展的にこうした取組が前進していくならば、今特別調整の対象になっている例えば七百三十人というような方々よりももっとたくさんの方々をそうした福祉的な支援につなげていけるのではないかと、そういうニーズというのは矯正の現場にはたくさん実はあるんじゃないかと思うんですよ。

そうした観点からすると、これまで法務省がこの支援センターについては言わば所管みたいなことをしているわけじゃないんですけれども、先ほどの七月の閣僚会議の決定もあることですし、政府を挙げてこの定着支援センターの事業を安定的に発展をさせていけるように是非頑張っていただきたいと思うんですが、まず、この事業の再犯防止という観点から見たときの意義について、大臣、お願いできませんか。

○委員長(秋野公造君) では先に、大臣官房高嶋審議官。

○政府参考人(高嶋智光君) まず、概略的なところを事務サイドの方から説明させていただきたいと思います。

議員御指摘のとおり、刑務所から出所した者については福祉につなげることが非常に大事なプロセスになっております。ただ、それだけではなくて、不起訴になった者やそれから執行猶予判決を受けた者の中にも、やはり同様に社会福祉につなげていくことが重要な場合が多くございます。特に高齢者については多くございます。

そういう観点から見ますと、先ほどから委員御指摘の地域生活定着支援センターというのは非常に大きな意義があるというふうに考えておりまして、障害者施設、介護保険施設等の受入先の確保に対しては非常に役立っているところでございます。

このように、センターは刑務所出所者等の自立更生、さらに再犯防止のため重要な役割を果たしておりまして、今後とも同センターとの連携を密にしていく必要があるというふうに認識しているところでございます。

○国務大臣(金田勝年君) ただいま委員の御指摘がございましたように私も受け止めておりまして、地域生活定着支援センターというのは、私どもの今審議官からも申し上げました、刑務所出所者等の自立、再犯防止、改善更生のために大変重要な役割を果たしていると認識しておりまして、今後ともこのセンターと連携した取組を推進していきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。

○仁比聡平君 大臣から大事な意義があると御答弁があったこと自体がまずとても大事なことだと思うんですね。

加えて、お配りしている資料の右側の方なんですが、その地域生活定着支援センターがなかなか大変だという記事なんですよね。毎日新聞のアンケートで、二十六か所が職員不足などで体制に苦慮していると。でもって、下から二段目のところにありますが、厚労省の補助の仕組みなんですけれども、これがこの間、実質、私なりに言えば引き下げられたような格好になっていて、具体的には年間五百万円を持ち出す、そうしたセンターなんかも出ているというなどの、やっぱりこれなかなか財政、つまり予算ですよね、それを通じて職員さんも含めて安定的な体制をつくっていく、発展させていくということには、やっぱり政府が挙げてここをよく考えなきゃいけないと思う。

今度の法案で、そうした民間団体の活動に対する財政的な措置の拡充ということを提起されているのもそういう趣旨だと思うんですが、大臣、政府を挙げて、そうした予算や人的な体制の支援なんかも含めて考えていく上で、こうしたセンターの実態をまずつかんで、そして頑張って検討していくということをお願いを是非したいと思うんですが、いかがでしょう。

○政府参考人(高嶋智光君) 度々申し訳ありません。

委員御指摘のとおり、検察庁、刑事施設、保護観察所、地域定着支援センター及び地域の関係機関が相互に実務の実情というのを把握することは、そして情報を共有するということは、入口支援を含む、犯罪に及んだ者の円滑な社会復帰を効率的かつ積極的に行う上でも非常に重要であるというふうに考えております。

法務省としましては、こうした取組を進めるとともに、再犯防止対策をより一層推進するために必要な予算を確保できるよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○国務大臣(金田勝年君) これも私は委員の御指摘よく理解できるところであります。

したがって、ただいま申し上げましたように、厚生労働省あるいは地域生活定着支援センターとの連携を密にするということとともに、再犯防止対策を一層推進するためにも、その必要な措置を講ずるように、連携をしながら、所管の厚労省の方にも頑張っていただくというか、定員、予算も含めて必要な措置を講ずるように私どもも一緒になって取り組んでいきたいなと、こういうふうに思っているところであります。

○仁比聡平君 厚労省、審議官、大臣が一緒になって取り組んでいきたいとおっしゃったのは僕大事だと思うんですよね。これまでの事業の枠組みからして、実態については厚労省がまずは御存じなんだと思うんですけれども、法務省を含めて一緒に実情をよくつかんでいただくと、ここから始めてもらいたいと思うんですが、一言いかがですか。

○政府参考人(中井川誠君) ただいま大臣から非常に有り難い御指摘いただきましたので、私どもといたしましても、今後、法務省との連携を強化しながらセンターの運営実態の把握に努めて、必要な予算の確保に当たってまいりたいと考えております。

○仁比聡平君 是非よろしくお願いしたいと思います。

法務省がとても丁寧な答弁をしてくださったものですから時間がなくなってしまいまして、ちょっと要の問題として、申し訳ない、提案者じゃなくて大臣になっちゃうんですけど、こうした法案の趣旨を本当にかなえていこうと思ったら、コーディネート役の要になる保護観察官のこの体制というのは拡充がもう急務だと思うんですよね。全国で、皆さん、どれぐらいいらっしゃるか御存じですか。千人前後という、そういう数字で、どんどん仕事は大変になるのに増員が、私ずっと抜本的に増員をといってこれを求めるんですが、なかなかそれがかなわないできているんですね。最近、刑の一部執行猶予というとても難しい制度も運用が開始をされたと。提案者の皆さんうなずいていただいていますので、全く同感という思いだと思うんですよ。体制の整備をというのはそういうことを含んでいるという御趣旨だと思うんですが。

そこで、大臣、この複雑、デリケートな更生保護の要になる保護観察官の抜本増員ということは、これもう絶対やってもらいたいと思うんですが、決意を伺いたいと思います。

○国務大臣(金田勝年君) 要になる保護観察官のお仕事、非常に増えているというお話の指摘ございました。

保護観察官が更生保護の体制の要になっていることは事実であります。再犯防止策を推進する上で非常に重要な職務であると、こういうように考えております。例えば、十年前に比べれば大幅に増えております。しかし、ここのところの状況の中で、これを含めてどういうふうにこの重要性を受け止めていくか、また、今後とも必要な保護観察処遇体制の整備というものも重要でありますので、そういう点については私どももしっかりとこれからも対応していきたいと、このように思っております。

○仁比聡平君 是非頑張ってください。

終わります。


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