【16.12.09.】本会議『部落差別の固定化・永久化は許されない』

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○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、部落差別の解消の推進に関する法律案に対し、断固反対の討論を行います。

その理由は、本法案が、部落差別の解消推進のための理念法といいながら、部落問題解決の歴史に逆行して、新たな障壁をつくり出し、部落差別を固定化、永久化する恒久法であり、その危険は極めて重大だからであります。

部落問題は、封建的身分そのものではなく、その残滓です。その解決は、民主主義の前進を図る国民の不断の努力を背景に大きく前進しました。国の同和対策特別事業は二〇〇二年三月に終結し、十四年たつ今日、社会問題としての部落問題は基本的に解決された到達点にあります。

時として起こる、不心得な非科学的な認識や偏見に基づく言動がその地域社会で受け入れられない民主主義の力を強めていくことこそ重要です。行政の施策は全ての国民に対し公平に運用するのが原則であり、人権問題の相談、教育、啓発活動は、憲法に基づき、一般施策として行うべきであります。

本院で実現した関係団体が出席する参考人質疑は、極めて重要なものとなりました。部落解放同盟からは、部落差別はいまだに根深く厳しい旨の認識が示されましたが、自由同和会推薦の参考人は、その現状認識は差別の過大評価であり、日本は差別をうまくなくしてきている旨の評価が語られました。全国地域人権運動総連合は、従来の部落の枠組みが崩壊し、部落が部落でなくなっている状況であり、国民の多くが日常生活で部落問題に直面することはほとんどなくなったと明確に述べました。部落問題の特別扱いを復活させようとする本法案に、立法事実はないのであります。

にもかかわらず、法案が「現在もなお部落差別が存在する」と言う部落差別とは何か。その定義規定はありません。法案提案者は、依然として存在する、肌で分かっているなどと述べるだけで、何をもって部落差別とし、それがどのように存在するというのか具体的に示すことはできませんでした。提案者は、定義を置かずとも一義的に明確、その者が部落の出身であることを理由とした差別と言いますが、それは部落解放同盟が示す考え方を法に持ち込むものです。極めて曖昧であり、濫用によって表現や内心の自由が侵害される重大な危険があります。

かつて解同は、部落民以外は差別者、差別かどうかは解同が認定するとして、八鹿高校事件を始めとする数々の暴力的確認糾弾事件を引き起こしました。今日も綱領の解説文書で、糾弾の取組を堅持するとしています。

昭和六十一年、地対協部会報告は、何が差別かというのは一義的、明確に判断することは難しいことである、民間運動団体が特定の主観的立場から恣意的にその判断を行うことは、異なった理論や思想を持つ人々の存在さえも許さないという独善的で閉鎖的な状況を招来しかねないと述べています。

民間運動団体の行き過ぎた言動、その圧力に屈した行政の主体性の欠如が新しい要因となって新たな差別意識を生むことこそ歴史の教訓であることを我々は銘記すべきであります。

更に懸念されるのは、不公正な同和行政による特権と利権の復活であります。法案の言う部落差別の解消に関する施策、相談、教育及び啓発、実態調査の条文は極めて無限定であり、同和対策事業の復活を排除するものとはなっていません。これが、民間運動団体のあれも差別、これも差別といった圧力の根拠となり、補助金や委託事業による施策を押し付けられ、学校や自治体、企業や地域で、あるいは人権擁護委員にまで、特定団体による教育、啓発が実質強制されかねないのです。各地になお残る個人給付を含む同和対策の特別扱いを固定し、助長することにもなります。

行政に義務付けられる実態調査は、旧同和地区と地区住民の洗い出し、精密調査や行き過ぎた意識調査によって、それ自体が国民の内心を侵害し、分け隔てなく生活する旧地区住民とそうでない者との間に新たな壁をつくり出す強い危険があります。これらが部落問題についての自由な意見交換を困難にするものとなり、部落問題の解決に逆行することは明白です。

提案者はインターネットにおける差別事象を言いますが、削除要請などの具体的課題は、ヘイトスピーチを始め他の人権問題も同様である上、本法案によって具体的解決が進むものとはなっていません。

法案は断固廃案とすべきことを重ねて強く申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)


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