国際刑事裁判所(ICC)がイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことへの報復として、トランプ米政権がICC職員に経済制裁を科している問題で、日本のNGOが10月9日、国会内で学習会を開きました。「法の支配」が脅かされているとして、日本政府にICC支援でリーダーシップを発揮するよう求めました。

 主催団体ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子副理事長は、現在ICC裁判官の3分の1に当たる6人が制裁対象で、今後ICC本体が制裁対象となる懸念があると指摘。その場合、ICCは存続の危機に陥ります。

 伊藤氏は、ICCに加盟する79カ国・地域が2月、米国による制裁を非難する共同声明を出した際に、日本は参加せず、制裁に反対する姿勢を公に示していないと批判。人道に対する罪を処罰する制度を壊すことに傍観者でいることは、パレスチナ自治区ガザなどで起こる「虐殺に国際社会が加担していることになる」と厳しく指摘しました。

 慶応大のフィリップ・オステン教授は、ジェノサイド(集団殺害)など「重大犯罪を起こす個人の刑事責任を追及できる裁判所はICCだけだ」と強調。日本政府に対し、▽ICC職員に外交官と同等の身分を与える「ICCの特権および免除権に関する協定」の批准▽アジアのICC未締約国に対し誘致活動などを行うためICC日本支部の開設▽ジェノサイド条約への加盟―などに踏み出すよう提起しました。

 日本共産党の仁比聡平参院議員は、司法機関への制裁という人類の歴史に逆行するトランプ米政権にどこまでもついていくことは許されないとして「日本は米国に対し今こそものを言うべきだ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2025年10月12日)