原爆投下後に放射性物質を含む「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたのに、国の援護対象区域外とされた広島県内の84人が被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の控訴審の第2回口頭弁論が2月17日、広島高裁(西井和徒裁判長)であり、結審しました。

 判決は7月14日に出される予定です。

 原告団を代表して高東征二さん(80)が意見陳述し、高校の教員を定年退職後、20年かけて黒い雨の被爆者を訪ね歩いてきたとし、「病気だらけの人生に苦しみ、満足に働けず、お金にも困っていた。『自分の体が弱いせいだ』と無理に言い聞かせ、多くの方が亡くなった」と告発。「黒い雨被爆者は一日一日をやっとの思いで生きてきた。原告だけでなく、その行方を見守っているすべての黒い雨被爆者を被爆者と認めてください」と訴えました。

 弁論後の報告集会で、弁護団の竹森雅泰事務局長は高裁判決の見通しについて「(全面勝訴した昨年7月の)広島地裁判決が維持、ないし強化されるだろうと期待している」と述べました。

 高野正明原告団長(82)は多くの支援に感謝し、「勝訴判決に大いに期待したい」と語りました。

 日本共産党の大平よしのぶ前衆院議員・衆院中国ブロック比例候補と仁比聡平前参院議員、藤本さとし衆院広島2区予定候補が参加。仁比氏は「裁判の力で勝ち抜き、問われるのは政治の力。全面解決のためにともに頑張りたい」と表明しました。(しんぶん赤旗 2021年2月18日)