建設現場で建材に含まれていたアスベスト(石綿)粉じんを吸い肺がんなどの健康被害を受けた被害者と遺族らが建材メーカーに損害賠償を求める「九州建設アスベスト2陣訴訟」の判決が6月27日、福岡地裁でありました。

 上田洋幸裁判長は、原告勝訴、5社に1億4819万円余の賠償を命じる判決を出しました。解体・屋外作業の従事者など4人の請求は棄却しました。

 判決では、原因建材の10%シェアを持っていたA&A、ニチアス、ノザワ、太平洋セメント、MMKの警告表示義務違反・共同不法行為を認定しました。山本一行弁護士は、現在、国の責任分のみ支払われている「特定石綿被害建設業務労働者等給付金等支払基金」に建材メーカーも資金拠出し、上乗せ支給すべきだと指摘。「建材メーカーの『逃げ得』は許されないと社会全体で突き付ける。全面解決を迫る大きな力になる判決だ」と語りました。

 遺族原告の女性(78)は、勝訴はうれしいが、同じように現場でアスベスト建材を扱っていた原告が認められないのは納得できないと強調。「原告みんなで勝利を分かち合いたい」と控訴への意気込みを語りました。

 訴訟に先駆け被害者と家族の交流・支援をする「あさがおの会」総会が開かれました。訴訟と総会には日本共産党の仁比聡平参院議員が駆け付け、「恥知らずな建材メーカーや、労働者を犠牲にする社会・政治に対し声を上げ続け、アスベスト被害の根絶に全力を挙げる」と表明しました。(しんぶん赤旗 2024年6月28日)